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サウジアラビア:高温ガス炉建設に関する協力で了解覚書を中国と調印

2016年1月21日

©CNEC

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 サウジアラビアで原子力発電導入計画を担当する「アブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市公団(K.A .CARE)」は1月19日、中国製の高温ガス炉(HTR)の建設を想定した協力で、中国の原子力発電所建設企業である核工業建設集団公司(CNEC)と了解覚書を締結した。中国の習近平国家主席が同国を初めて公式訪問し、両国間における協力強化で合意した14もの文書や覚書の1つだが、基数や出力などの詳細は公表していない。中国は陸と海の新シルクロード構想「一帯一路」に従い、世界中で原子炉の輸出活動を積極的に展開中。独自ブランドの輸出用第3世代PWR設計「華龍一号」と、ウェスチングハウス社製・AP1000技術をベースにした「CAP1400」に加え、脱塩や熱電併給などの多目的利用が可能で固有の安全性を有する第4世代の高温ガス炉も、有力な輸出用設計と位置付けている。

 覚書への調印は両国の国家元首立ち合いの下、K.A.CAREのH.ヤマニ総裁とCNECの王寿君・薫事長がサウジアラビアの首都リヤドで行った(=写真)。サウジは外貨獲得手段である原油資源を温存しつつ国内の電力需要急増に対処するため、今後20年間に1,200万~1,800万kWの原子力発電設備建設を目指しており、中国のほかに韓国、フランス、アルゼンチン、ロシア、フィンランド、ハンガリーなどと原子力の平和利用協力協定を締結、あるいは仮調印済み。2015年3月に、韓国原子力研究所(KAERI)が中東諸国向けに設計した小型炉「SMART」をサウジ国内で2基建設するための可能性調査で了解覚書に調印したほか、アルゼンチンの計画投資省とは原子力導入計画を支援する技術開発会社を両国国営企業の合弁で創設した。同年6月には、アレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)2基の建設を想定した実行可能性調査の実施で、フランス外務省と基本合意書を締結。日本とはまだ原子力協定が結ばれていないが、K.A.CAREはCNECとの覚書調印と同じ日、高木陽介経済産業副大臣の一行がK.A.CAREを訪問し、協定締結に向けてW.ファラジ副総裁と協議したことを明らかにしている。

 中国におけるHTR開発では北京の清華大学が中心的役割を担っており、2003年から同大の研究院で熱出力1万kWの実験炉が稼働中。同大学と協力関係を持つCNECは、華能集団公司を加えた3者の合弁事業体により、現在、電気出力20万kWの実証炉を山東省石島湾で建設しているところ。2017年11月の送電開始を見込んでいる。これに続く商業用HTR開発としてCNECは、江西省瑞金市における60万kWのHTRを2基建設する計画を進めており、予備的な実行可能性研究報告書が2015年4月に専門家による審査をパス。国家発展改革委員会に対する計画申請や承認取得を経て、2017年の着工を目指すことになっている。