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カネカ 合成繊維「カネカロン」の吸着性を活かした回収技術で新たな用途を開拓

2017年10月12日

特集のロゴ(仮) カネカの合成繊維「カネカロン」は、頭髪装飾市場などで世界でも大きなシェアを占めているが、新たにイオン吸着機能を付与した繊維を使用した用途の開発が進んでいる。同社の技術を通じて環境浄化などの課題解決に意欲を示す技術統括部の釜田氏に話を伺った。

Performance Fibers Solutions Vehicle
技術統括部(開発) 幹部職 釜田 規 氏

<合成繊維技術で重点分野のひとつ「環境エネルギー分野」へ展開>
 カネカは1949年に創立し、発酵技術と高分子技術の2つのコア技術からスタートした。再来年には創立70年を迎える。現在は、「未来をつなぐ」「世界をつなぐ」「価値をつなぐ」「革新をつなぐ」「人をつなぐ」の5つの“絆”(つなぐ)を掲げて、「変革」と「成長」を実現していこうとしている。さらに当社の名称「カネカ」は、「カ」ガクで、「ネ」ガイを「カ」ナエル研究開発型企業として、創意と情熱をもって、市場ニーズを先取りした事業創造・新製品開発を行っている。現在は、4つの事業ドメイン(Material Solutions Unit、Quality of Life Solutions Unit、 Health Care Solutions Unit、 Nutrition Solutions Unit)で、競争力のある製品によってソリューション(Solutions)を提供する事業を展開している。国内には、高砂(兵庫)、滋賀、大阪、鹿島(茨城)の4工場があるほか、海外にも拠点を広げている。
 近年はテレビCMも継続的に放送されており、認知度も上がってきた。非常に多角的な製品を扱っているので、様々な方面にアンテナを張り巡らせつつ、他社等とのヨコのつながりも活用しながら、これまで手がけてこなかった分野での仕事にも取り組んでいければと考えている。
 当部が手がける「カネカロン・イオン交換/キレート繊維」も、環境浄化につながることから、重点分野である環境エネルギー分野での発展をめざしている。

<カネカロンの難燃性が高く評価され、防護服・資材・インテリア用素材に採用>
 当部が基幹材料として扱っているのは、塩化ビニルとアクリル(アクリロニトリル)の共重合で作った「カネカロン」というモダクリル(改質アクリル)繊維である。
 カネカロンは人毛や獣毛に風合いが近いという特長を活かし、ウィッグ(人工の毛によるかつら)製品や、動物の毛に似たエコファー(人工毛皮)製品で、世界市場で大きなシェアを占めている。さらにカネカロンは難燃性が高いことから、天然素材との組み合わせで、防護服、資材、インテリア等の素材として使われている。

<吸着力に着目したイオン交換繊維/キレート繊維の用途開発>

「カネカロン」不織布とフィルター

 当部では、「カネカロン」の既存技術を応用して環境分野に貢献できる新規事業を模索している。ここではカネカロンに各種イオン交換基を化学的に結合させた繊維である「カネカロン・イオン交換繊維/キレート繊維」について紹介する。
 同繊維は、表面積の大きさを活かし、イオンの吸着速度が速く、低濃度の吸着に優れているという特徴がある。
 繊維に付加する化学物質によって吸着対象イオンを選択することができるので、当部では現在、強カチオン、強アニオン、2種のキレート繊維の開発を行っている。また同繊維は、酸性にもアルカリ性にも非常に安定であり、耐薬品性に優れている。さらに繊度(繊維に使用される糸の太さ)の調整や、不織布やフィルターなどへの形状加工も可能で、様々な装置に対応できる。
 様々なイオン物質が混じった中から、不要なイオン物質を除去したり、特定の物質を回収したりしたいという要望は多く、原子力の研究でも、過去にイオン交換技術で海水からウランを取り出す実験を行った事例もある。
 現在当部では、有価金属の回収などにも興味を持って取り組んでいるが、今後は新規吸着対象に関しても研究開発を進めていき、軟水化、工業製品精製、不純物除去、有価物回収など、様々な用途に弊社の技術を役立てていきたい。