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原産協会プレスブリーフィング 2016年度産業動向調査 一貫した原子力政策求む声

2017年12月1日

 高橋明男原産協会理事長は11月30日、メディア対象の定例ブリーフィングを行った。
 まず11月28日に発出した理事長メッセージ「米国ユタ大学原子炉研修に初めて若手技術者を派遣して」に触れた。同メッセージでは、原産協会の「向坊隆記念事業基金による国際人育成事業」の支援により、州立ユタ大学研究炉(100kW、TRIGA炉)で11月6日から10日まで行われた原子力研修に、原子力発電所の運転、保守、設計等を担当する5社5名の若手技術者を派遣したことを報告。研修参加者からは「シビアアクシデントに関する米国プラントの対策について知見を深めることができた」「日米の参加者と様々な意見交換をすることで自身の視野が広がり、企業や国を超えてネットワーク構築ができ、大変有意義であった」などの声が聞かれたとして、原産協会は今後も同研修への参加支援を実施したいと述べた。
 続いて名塚正文原産協会地域交流部長が、「原子力発電に係る産業動向調査2017報告書」の概要を報告した。同調査は原産協会が1959年以来毎年行っているもので、今回の調査では3基が稼働していた2016年度を対象として、原子力発電に係る産業の支出や売上げ、従事者を有する企業393社に調査を行い、253社(原子力発電所を有する電気事業者11社、鉱工業他232社、商社10社)から有効回答を得た。
 2016年度の電気事業者の原子力関係支出高は、前年度(2015年度)から206億円(前年度比1%)減少し、1兆8,695億円となった。また、鉱工業他の売上高は前年度から1,116億円(同6%)減少し1兆7,308億円、受注残高は前年度から1,740億円(同10%)増加し1兆9,988億円となった。
 原子力発電に係る産業を維持する上での課題としては、「政府による一貫した原子力政策の推進」との回答が72%と最も大きく、次いで「原子力発電所の早期再稼働と安定的な運転(60%)」、「原子力に対する国民の信頼回復(58%)」となった。
 高橋理事長は質疑応答で、エネルギー基本計画が議論されていることについて、今回の産業動向調査の結果も踏まえつつ、「原子力人材を確保するにも『原子力をしっかり進めていく』というビジョンがないと学生も集まらない」と方向性の明確化が望まれるとした。