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非破壊検査株式会社 有資格者集団として高度な技術力で社会の安全を守る

2018年3月12日

非破壊検査は、原子力や火力などの発電プラントや製油所などの化学プラント、高層ビルや橋梁などに対し、建設時および建設後の各種検査や設備診断などを行って事故を未然に防止し、安全な社会生活を支えている。今後の技術革新にともなう多様な素材への対応など、検査ニーズのさらなる拡大に向けて意欲を見せる同社の龍王晋常務取締役に話を伺った。

龍王晋常務取締役/技術本部長

<各種プラントや社会インフラの事故を未然に防止>
 非破壊検査は1957年、安全を担保する技術を研究するところからベンチャー企業としてスタートした。創業者が教えを受けた故仙田富男大阪大学工学部教授は、将来狭い国土の日本に高温高圧で危険物質を大量に扱うプラントなどが次々と建設されていくことを見据え、こうした建造物の安全を点検するための技術が必要だと提唱していた。その予見どおり日本は高度技術社会の到来を迎え、弊社は大型プラント等の建設時から検査に携わってきた。さらに建造物の事故や故障が多発してくる時代を迎えると、調査や保全なども行ってきた。時代とともに最先端の安全技術を切り開いてきた結果、非破壊検査協会や機械学会などで発表してきた研究論文は、創業からの60年で700件ほどに上る。やがて弊社の検査技術が日本工業規格(JIS)などに適用されるようになり、電気事業法や高圧ガス保安法などのプラント安全に関する法律にも次々と適用されていった。
 現在弊社は、実際に現地に出向いて安全検査を行う部隊である事業本部を本社のある大阪のほか神戸と東京に設置している。さらに北海道から沖縄まで日本全国にわたって、石油精製プラント、コンビナート、火力・原子力発電所などの検査対象となるプラントに隣接した支所を置いている。
 その他、主な検査対象の例としては、関西圏のモニュメント的な高層ビルである京都駅ビル、あべのハルカス、関西空港ビルなどの健全性を確認している。また現在ではJRが独自技術で検査しているが、旧国鉄が当時の最先端技術を結晶させた新幹線用鉄道敷設を計画した際には国鉄とともに一から研究し、レール溶接内部に傷はないか東京大阪間全線の健全性を確認した実績などもある。
 原子力発電所に関しては、加圧水型原子炉(PWR)では三菱重工業や電力会社のもとでほぼ全ての、沸騰水型原子炉(BWR)に関しても半数ほどの非破壊検査作業を手掛けている。現在は運転を停止している原子力発電所が多いが、再稼働時にはいつでも保全に取り組めるよう、定年退職者などを除き作業員数を全く減らさず確保している。

<高度な技術を持った有資格者の育成が大切>

断面画像による構造物検査

 非破壊検査の事業はモノを作って売るのではなく、あくまでも技術を人の技量として確保し、サービスを行っている。そのため社員を優秀な技術者として育成するための教育システムは、非常に重要な位置を占めている。
 関連グループを含め、弊社の社員は大半が技術職で、約1,000人の在籍エンジニア数に対し、計6,000ほどの資格を保持している。つまり1人あたり5~6の資格を所有していることになる。実務経験が必要とされる資格が多いため、入社してから受験することになる。そのため入社5~10年ほど経って初めて一人前という扱いである。ありがたいことに社員の資格取得数は国内検査会社の中でもダントツの陣容となっている。
 技能資格としては、放射線透過試験、超音波探傷試験、磁気探傷試験、浸透探傷試験、渦電流探傷試験、ひずみゲージ試験、赤外線サーモグラフィ試験、漏れ試験などの日本非破壊検査協会資格などがある。さらに、放射線や核燃料の取扱主任者、エックス線やガンマ線透過写真の作業主任者など、現場作業の安全関係の主任者資格を有する社員も多い。
 他にもさらに高度な技術が必要な資格がある。その一つが原子力に特化した検査技術であるPD(パフォーマンス・デモンストレーション)認証制度だ。PDは、原子力発電所ステンレス設備の配管部や溶接部などで発生する腐食割れについて、傷の大きさを非破壊的かつ正確に計測するための非常に高度な解析である。PD認証を持つ技術者は国内に20人ほどいるが、うち13人が弊社の社員である。その他には、世界でも通用する規格となるアメリカ非破壊検査協会(ASNT)の非破壊試験(NDT)があり、こちらは国内60~70人有資格者の11人が弊社の社員である。
 また、同じ有資格者であっても検査技術の優劣はあり、社内検査技術センター内で行う試験体や検査装置を使った熟練技術者によるトレーニングなどを通じ、優秀な人材の育成に努めている。

トレーニング用の試験体

<非破壊検査の重要性がますます高まる将来に対応できる安全技術を開発>
 弊社がメインターゲットとしている分野は、万が一トラブルが起こった場合には社会生活に重大な影響を引き起こし、大混乱を招くものが多い。インフラに関しては、全国的な老朽化と、東日本の復興と、東京オリンピックに向けた準備に加え、さらに将来心配される大型地震にも対応しなければならず、弊社の役割はますます重要となってくる。
 さらに今日では電気事業法、高圧ガス保安法、消防法などの様々な安全対策に関する法律の枠組みを超えた新たな検査対象も出てきており、じっくりと開発を進めている。航空機の機体はこれまでの金属やアルミ等からより軽量の材料へと転換期を迎えており、素材の進化に合わせた検査技術参入へと対応を行っている。また製造業を中心に3Dプリンタが多用される時代となり、材料の検査の必要性が高まってくる。
 また、1993年には社内に安全工学研究所を設立し、従来型の技術に加えIoT、AI、ロボット化などを含め、将来を見据えた独自技術の開発に取り組んでいる。自ら生きるところを自ら作っていくという創業の精神をもって、新時代の安全文化創造に向け、最新の検査技術を先取りしていく所存である。