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原文財団 世論調査公表 震災以後の原子力への信頼低下いまだ回復せず

2018年4月6日

 一般財団法人日本原子力文化財団はこのほど、「原子力に関する世論調査2017」を発表した。同調査は、原子力に関する世論の動向や情報の受け手の意識を正確に把握することを目的として、2006年度から同じ調査手法で継続的に実施している。11回目となる今回も全国の15歳から79歳までの男女1,200人を対象に個別訪問留置調査で2017年10月に実施された。調査内容については、飯本武志東京大学環境安全本部/大学院新領域創成科学研究科教授をはじめとする5人の有識者から成る委員会で検討を行っている。
 今回の調査の結果、原子力」のイメージとしては、「危険(68.5%)」、「不安(57.3%)」などの否定的なイメージに回答が集中している。福島第一原子力発電所の事故後に最もポイントが高まった「信頼できない(30.2%)」は依然として高い水準を、最もポイントが落ち込んだ「必要(17.9%)」は低い水準を推移していることが明らかになった。
 エネルギーや原子力などの分野で関心のある項目としては、「地球温暖化(47.3%)」、「原子力施設のリスク(41.7%)」、「福島第一原子力発電所の状況(41.0%)」が上位を占めた。しかし、10代では「特にない/わからない(男性44.4%、女性37.1%)」の回答が最も高く、関心の低さが伺える結果となった。
 また、聞いたことがあるものとして「日本のエネルギー自給率(38.3%)」、「パリ協定での採択内容(29.4%)」などの項目は低い結果となった。海外の原子力政策については、「ドイツやスイスが今後国内の原子力発電を段階的に廃止する方針(35.4%)」という情報の認知度に比べると、「中国やインド、ロシアなどは国内の原子力発電を増やす方針(19.5%)」や、「フランスや英国、米国は原子力発電を主要な電源として利用する方針(19.3%)」という情報の認知度は低い結果となった。
 高レベル放射性廃棄物に関しては、「原子力発電の利用で放射能を持った廃棄物が発生する(68.7%)」ことの認知度は高い一方で、「2017年7月に『科学的特性マップ』が公表された(10.3%)」ことの認知度は低いことが浮き彫りとなった。
 今後の原子力発電の利用に対する考えとして、「しばらく利用するが、徐々に廃止(49.4%)」とする意見がボリューム層となっている。「わからない(22.6%)」とする層も多く、次いで「即時、廃止(14.9%)」の意見が多い。原子力発電を推進する側の「震災前を維持(5.9%)」「増加(1.0%)」の意見は合わせても1割未満にすぎない上、2015年(維持10.1%、増加1.7%)、2016年(維持8.3%、増加1.8%)に比べて割合が減少している可能性がある。

原文財団坂井課長

 今回の結果に対し、日本原子力文化財団企画部の坂井識顕課長は、「同じ手法で継続的に実施している調査だからこそ、経年変化を確認することができる。今後も委員の方々からコメントをいただきながら、分析結果を原子力の知識普及活動などに広く活用していただけるように調査を継続して実施していきたい」と語った。