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通研電気工業 進化する通信技術で電力の安定供給に貢献するものづくりの歴史

2018年4月16日

 東北電力グループとして電力の安定供給を担う通研電気工業は、機器の開発から設計、製造、工事、保守までを一貫した体制でICTソリューションを提供する総合エレクトロニクス企業である。創立71年を迎え、さらなる技術開発への意気込みを語る厨川純一技術本部長と梅辻幸弘経営企画本部課長にお話を伺った。

厨川純一技術本部長(左)と梅辻幸弘経営企画本部課長(右)

<研究所の成果を製品化することから始まり通信技術分野の先駆けに>
 通研電気工業の創立は1946年11月で、第二次大戦の終戦で復員した当時の東北帝国大学電気通信研究所の学生や研究者に、永井健三同研究所教授が「研究所の成果を世に送り出して役立ててみては」と助言し、同研究所の通称である「通研(つうけん)」を冠した「通研電気工業」が誕生した。
 創業当初には、ファクシミリ技術の先駆けとなる音片発振器の開発や、テープレコーダーの原型となるマグノフォンなどを製作した。インターネット通信もなかった頃から、自社の特許技術なども活かしつつ、通信線路の障害点を測定する測定器などを主力製品としながら情報通信技術を確立していった。

テープレコーダーの原型「マグノフォン」

<「監視制御」と「情報伝達」の技術で電気の安定供給を支える>
 戦後の日本では高度経済成長期に入り、電力会社では電力不足を解消すべく、電源開発に取組んでいた。電力の安定供給には電力用通信設備の整備が緊急の課題となり、自社設備の補修維持のため、1956年、地場企業でこの分野に突出していた弊社への経営参加を決断した。東北電力の経営参加により,弊社の経営基盤の安定にもつながった。
 1969年、電力会社は「電力設備総合自動化基本計画」を策定した。これまで有人であった多数の発電所および変電所を1カ所の集中制御所から自動制御しようとする計画で、弊社では発電所および変電所用遠隔監視制御装置を開発し、電力会社の自動化に大きな役割を果たした。また、水力発電所のダム水位データ、ダム制水門(洪水時に水を吐き出す水門)のプログラム制御を行うダムゲート自動制御装置や放流警報装置も開発した。

開閉器制御用子局


 また、配電線に事故が発生した場合、1配電線に設置されている数台の開閉器に順次送電し、事故区間を特定して復旧作業が行われ、復旧までに1時間ほど要していた。1986年、電力会社は、健全区間への早期送電を目的に配電自動化システムを導入した。弊社でも釣鐘状の通信線方式開閉器制御用子局を開発し、配電線の要所に設置することで、開閉器を遠隔から制御することにより、停電を約3分で復旧させることを可能とした。
 こうして電力会社とともに成長しながら、時代のニーズに応じた技術開発を手がけてきた。これらの制御装置は目立たず世間にも知られていないが、電力の安定供給を陰で支えているという自負がある。東北電力の供給面積は全国でも一番広く、変電所などの拠点間を結ぶ情報伝送や監視制御をする装置の設置地点は数千か所に及ぶ。弊社では東北六県と新潟県に支社を置いており、社員もほとんどが東北出身で、電力会社とともに我々の地域を自ら守っていこうという気概がある。

<設計から製造、検査までの一貫体制で個別市場に対応>
 電力分野以外にも、設備の自動化や監視制御、変電所の監視カメラ等のセキュリティ関連や、テレビ会議システム、制御用ソフトウェア開発などを手掛けている。
 防災、福祉、環境などの分野にも力を入れており、筋力に障害のある障がい者がわずかな力でも操作できるパソコンマウスや、災害などの現場状況をタイムリーに伝えるための可搬型カメラ、火山の微細な傾きをとらえる傾斜計の情報伝送などにも携わった。
 弊社では、顧客の市場に合わせた受注生産による個別市場を対象としている。これまで蓄積してきたノウハウから最先端の技術まで全てを駆使して、ものづくりやシステム設計を行っている。
 また、設計から製造、検査、現地での装置据付工事や機器改造などの保守まで一貫体制をとっているため、品質面やコスト面のコントロールもできるのが強みだ。

<仙台発の企業として新たな取り組みに挑戦する人材を育成>
 現在約450名の社員がいるが、新たな技術開発に挑戦し続けていくための担い手を確保していくことは重要だ。女性も積極的に採用しており、育児休職後の復職率も100%で、子育てサポート企業として「くるみん」認定を取得している。
 4月に入社するとまず安全衛生教育から始まり、約1年間を通して徹底した新人教育を行う。近年は、技術進化のスピードがますます上がっている。制御システムのサイバーセキュリティなどについても、より複雑化してきた課題に対応できる人材を育成し、ニーズに応えていかなくてはならない。弊社の頭脳である技術部門や研究開発にはかなりのパワーと費用を注力している。
 学都仙台に本拠地を置くことから、今後は創業当時の原点に返って、東北を中心に各大学との連携を深め、共同研究なども行っていければと考えている。