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中国が4基分の新増設計画でロシアと枠組契約

2018年6月11日

 中国核工業集団公司(CNNC)とロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は6月8日、中国の既存サイトと新規サイトで2基ずつ、合計4基のロシア型PWR(VVER)を新たに建設するための枠組契約など、原子力平和利用分野における両国間の協力では過去最大級の大型契約を4件、締結したと発表した。
 まず、VVERがすでに3基稼働中、1基が建設中の田湾原子力発電所で、第3世代+(プラス)の最新120万kW級VVERを採用した7、8号機を建設するほか、遼寧省沿岸に位置する徐大堡でも同型設計の1、2号機を建設する。また、中国の独自開発による高速実証炉として昨年12月に福建省の霞浦で着工した「CFR600」プロジェクトに、ロシア側から機器や燃料、関連サービスなどを供給。さらに、中国が月面探査用に必要としている機器の電源として、放射性同位体熱電気転換器(RITEG)をロシアが提供するという。
 これらの枠組契約の総額は200億元(約3,434億円)ほどだが、プロジェクト全体のコストは総計1,000億元(約1兆7,171億円)を超えるとCNNCは強調している。

 中国で営業運転中の商業炉38基は、今のところ仏国のPWR技術をベースに中国の原子力企業が国産化を進めた第2世代および第2世代・改良型のPWRが主流。しかし、中国企業は1990年代末から2010年代にかけて、将来的な国産化の可能性を模索するため、様々な外国メーカーの設計で建設プロジェクトを開始した。田湾発電所のVVERに加えて、カナダ型加圧重水炉「CANDU」が浙江省・秦山発電所で2基、稼働しているほか、米ウェスチングハウス(WH)社製「AP1000」が浙江省・三門と山東省・海陽の両発電所で合計4基建設中、および広東省・台山では仏フラマトム社製の「欧州加圧水型炉(EPR)」が建設中である。

 北京で行われた契約書の署名式には、ロシアのV.プーチン大統領と中国の習近平国家主席が同席した。ロスアトム社のA.リハチョフ総裁は、「ロシアと中国は今や、世界の原子力産業界におけるリーダー的存在であり、今回の契約調印により両国間の戦略的連携関係が改めて確認された」と評価。中国側のパートナーである国家原子能機構(CAEA)、国家能源局(NEA)、およびCNNCとの長年の協力を通じて、かつて無いほど高いレベルの信頼関係が中ロで築き上げられたと強調した。
 同総裁によると、江蘇省の田湾発電所では中ロ両国の専門家が共同で原子炉を設計・建設する枠組が構築されている。実際、1~4号機までは100万kW級のVVER設計(AES-91シリーズ)が採用された一方、建設中の5、6号機では、CNNCが国産化技術で開発した第3世代のPWR設計「ACP1000」を採用。IV期工事となる7、8号機をロシアの技術で建設する方針は、2016年11月に両国政府が原子力平和利用分野の協力拡大で合意した際、確認されていた。

 新規立地点となる徐大堡では当初、100万kW級PWRを6基建設することが計画されており、2006年にCNNCは遼寧省政府と協力取り決めを締結した。2009年に子会社として遼寧核電有限公司を設立した後、2011年1月に国家発展改革委員会がI期工事の1、2号機について事前作業の実施を許可。基礎掘削の前段階で起工式が開催されたものの、同年3月の福島第一原子力発電所事故の影響を受けて、政府は同計画を一時凍結していた。
 2014年4月になると国家核安全局(NNSA)は同計画についてサイト承認を発給。2016年10月に2基分の土木契約が結ばれた時点では、採用設計は100万kW級のWH社製「AP1000」になる予定だったが、今回の契約により、同計画は採用設計、出力ともに刷新されたことになる。

 高速炉関係では、中国は2011年7月に北京南部の原子能科学研究院(CIAE)で、電気出力2.5万kW(グロス)の高速実験炉「CEFR」の送電開始に成功。これに続く実証炉計画として、ロシアから出力80万kWの「BN-800」を2基導入する計画と自主開発による建設計画を並行して進めていたが、現在は自主技術である出力60万kWの「CFR600」開発に重点が置かれている。