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加SNCラバリン社、米国で未完の原子力発電所完成にサービス提供

2018年6月12日

TVAは2011年に一旦、ベルフォンテ1号機の建設再開を決めたが、同様に2008年から建設工事を再開していたワッツバー2号機の完成を優先するため、2013年に作業を再び停止。2016年5月に、関連インフラも含めて発電所を公開オークションにかける方針を決定した。©TVA

 カナダのSNCラバリン社は6月6日、米アラバマ州で未完のままになっているベルフォンテ原子力発電所(=写真)の1号機を完成させるため、米国子会社を通じてエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)管理サービスを提供する協定書(LOA)を、所有者のニュークリア・デベロップメント社と締結したと発表した。
 同発電所の1、2号機(各120万kW級)は、1970年代にテネシー峡谷開発公社(TVA)がバブコック&ウィルコックス(B&W)社製PWRとして着工したが、電力需要の低迷等を受けて1980年代末に工事を中断。2016年11月に同発電所と関連インフラを敷地ごと1億1,100万ドルで落札したニュークリア・デベロップメント社が、今年11月までにTVAとの売買手続を完了予定であることから、それが済み次第、SNCラバリン社がEPC管理サービスの提供を開始することになる。

 ニュークリア・デベロップメント社はワシントンDCを本拠地とする投資グループで、現地の情報によるとテネシー州の不動産開発業者のF.ヘイニー氏が同グループを主導。CO2を出さない原子力の特長は長期的に有効との判断から、同氏は進捗率がそれぞれ90%と58%の1、2号機に130億ドルを追加投資し、完成させたいとしていた。
 同氏はまた、昨年9月頃の取材に対し、1号機の発電電力を購入する可能性のある顧客と契約を結んだと述べた模様。2号機についても潜在的顧客を模索中だとしたほか、5年以内に2基とも完成させて、競争力のある価格で電力を販売するとした。そのため、発電所の設計や資金調達に目処が付いた段階で、複数の大手原子力建設業者に完成工事の入札に参加してもらう考えを表明していたという。

 SNCラバリン社は、2011年にカナダ原子力公社(AECL)のCANDU炉(カナダ型加圧重水炉)事業を買収した総合エンジニアリング・プロジェクト管理会社で、これまでに世界中でCANDU炉の新設計画に携わったほか、カナダと韓国およびアルゼンチンでは既存炉の寿命延長プロジェクトを手がけた。原子力に対しては、大容量の発電が可能なベースロード電源であり、エネルギー供給保証や電源多様化の観点からも存続していくと予測している。ベルフォンテ1号機を完成させることになったことは、米国の全体的なエネルギー・ミックスの一部として、原子力が改めて注目されている表れだと指摘。この重要プロジェクトの担当業者に選定されて、非常に喜ばしいと述べた。

 完成に向けた具体的な活動として、同社は幅広い実績を有する人材で最強の能力を持つチームを編成。このために北米中の大手原子力サプライヤーと協働、日程通りに予算内で同炉を完成させるプランを作成するにあたって、これらの人材の豊かな経験が力を発揮することになるとした。
 同チームはすでに、作業範囲に関する広範なレビューを行ったほか、発電所の設計と機器の状態を評価するために現地調査も実施。建設期間中および完成後の発電所においても、同チームとSNCラバリン社が選定したサプライヤーは地元のコミュニティや労働組合、事業者などと協働していく方針であり、1号機の設計・建設・機器製造支援で多くの雇用が現地のみならず北米全体で生み出されると強調している。