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WANO、世界中の商業炉では1F事故を期に安全性が改善されたと強調

2018年6月28日

 世界原子力発電事業者協会(WANO)は6月26日、福島第一原子力発電所(1F)事故後の対策により、世界中の商業用原子力発電所では安全性が事故以前よりも格段に改善されたとの認識を表明した。その上で、発電所の主要スタッフの指導力向上などを通じて、今後もさらなる進歩を目指していくことを加盟事業者に呼びかけている。
 
 WANOはチェルノブイリ事故後の1989年、世界の30か国/地域で約460基の商業炉を運転する事業者間で、安全性と信頼性の改善支援を行うために設立された非営利の国際組織。安全関係の良好事例の適用や運転経験等の情報交換、相互支援などを通じて、WANOと加盟事業者は運転実績の改善を図っているほか、ベンチマークの評価も行っている。
 1F事故が発生した2011年、WANOは原子力発電所の安全性改善を目的に12分野の主要プロジェクトを決定した。それらは、WANOによる緊急時対策の策定支援と緊急時の支援プラン、過酷事故管理のためにWANOが提供する自己評価ガイド、事象発生時における加盟事業者間の早期通報、WANOが実施するピア・レビューの頻度拡大、敷地内での燃料備蓄、安全設計原則――など。複雑かつ難しい勧告事項も多数含まれており、実行・完了するには多大な時間と資源が必要だったという。

 しかし、WANOのP.プロゼスキーCEOによると、WANOとその加盟事業者はこれらのプロジェクトを成功裏に完了した。これはWANOと加盟事業者が専門的知見を駆使して献身的に働いた結果であり、今では事業活動における中核的部分にもなっていると評価した。1F事故で得られた教訓を受けて、世界中の原子力発電所で事業者が共同で約6,000もの安全性改善活動を展開。発電所の全体的な安全裕度は、1F事故を経験する前のレベルよりも向上したと明言している。

 WANOが現在、加盟事業者と取り組んでいる主な分野は、中堅から上級までの管理者階層で指導力を一層向上させること。原子力発電所の管理者は特に、発電所組織全体に健全で盤石な安全文化を醸成する上で重要な部分を担うとした。プロゼスキーCEOは、WANOの指導力向上プログラムにより、発電所で運転管理やシフト管理、保守管理などを担当する管理者は、上級指導者との交流などを通じてそれぞれの指導技術に磨きをかけ、新たな見識を得ることが出来ると強調。この分野における協働作業を、産業界で展開していく考えを明らかにした。
 また、同CEOは結論として、1F事故後に世界の原子力発電所では安全面と運転実績面で大幅な改善が見られたものの、産業界としては今後も進化し、向上し続けなくてはならないと指摘。各原子力発電所における安全性と信頼性を最大限に高めるため、WANOとその加盟事業者は緊密に連携していきたいとの決意を表明している。