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サウジの初号機サイト選定に向け仏アシステム社がサイト特性調査

2018年7月5日

 仏国を拠点とする国際的なエンジニアリング・研究開発サービス企業のアシステム社は7月3日、サウジアラビアで原子力発電設備の導入計画を担当する「アブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市公団(K.A .CARE)」から、サイト特性調査の実施契約を受注したと発表した。
 サウジアラビアは2040年までに1,200万~1,800万kWの原子力発電設備開発を目指しており、K.A .CAREは昨年10月、最初に建設する120万~160万kWの大型炉2基について、諸外国の原子炉メーカー5社に情報提供依頼書(RFI)を発出。その後、国際入札を開始しており、アシステム社はK.A .CAREが初号機の建設に最も適したサイトを選定できるよう、18か月間かけて耐震解析や地質分析などの特性調査を実施するとともに、周辺の環境や住民および送電網などに対する影響調査を行うとしている。

 サウジ内閣は2017年7月、エネルギー・ミックスの多様化と発電容量の増強を目的に、大型炉2基に加えて小型炉を複数建設することも視野に入れた「国家原子力プロジェクト」の起ち上げを承認した。大型炉をベースロード用電源として使用するほか、小型の高温ガス炉(HTGR)や韓国原子力研究所(KAERI)製モジュール式小型炉「SMART」を建設して、脱塩や遠隔地域での発電に利用する計画である。
 K.A .CAREは同年10月に大型炉建設計画のRFIを発出したのに続き、11月14日から20日までの期間、ロシア国営原子力総合企業ロスアトム社傘下の国際展開促進・マーケティング企業、韓国電力公社(KEPCO)、中国核工業集団公司(CNNC)、米国籍のウェスチングハウス(WH)社、フランス電力(EDF)のそれぞれと協議を実施。「国家原子力プロジェクト」とRFIの詳細を説明するとともに、各社の原子力技術や発電所建設の最新例、蓄積した経験等に関する理解を深めた。

 現地の未確認報道によると、K.A .CAREは昨年12月にWH社やEDF、ロスアトム社などの複数メーカーからRFIに対する回答を受領したと言われており、建設候補サイトに挙がっていたという17地点も、今年1月までにアラブ首長国連邦(UAE)やカタールとの国境に近い沿岸部の2地点に絞り込んだ模様。アシステム社がサイト特性調査と影響調査を実施するのは、これらの地点になると見られている。

 アシステム社はこれまでに、トルコ法人が同国初の原子力発電設備となるアックユ発電所でサイト特性調査を実施した経験があるほか、サウジアラビアに置いた子会社を通じて地元の情報も収集済み。原子力部門で長年蓄積してきた専門的知見、サイト特性調査の専門スキルが今回の大型契約受注につながったと強調した。同社が実施する2種類の調査により、サイトの仕様に基づき適切な原子炉技術を決定するための重要な技術的詳細が明らかになるとしている。
 なお、アシステム社は近年、原子力事業分野の比重を徐々に高めており、旧アレバ社がEDFに売却した原子炉機器・システム設計製造部門のフラマトム社に5%出資しているほか、ロスアトム社傘下のエンジニアリング部門であるASEグループとは、世界の原子力市場で協力していくための覚書を昨年締結した。理由としては、低炭素な電力供給の必要性から、原子力エンジニアリングに対するニーズが世界中で急速に高まっていると指摘。中東やアフリカ地域など原子力プログラムの新規導入国も含めて、新しい原子炉建設プロジェクトに参加する機会を積極的に伺っていく考えを表明している。