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米エネ省、先進的原子力技術開発支援に追加で2千万ドル

2018年7月11日

 米エネルギー省(DOE)のR.ペリー長官は7月10日、民間企業との費用分担により、米国内で先進的な原子力技術の研究開発を進めるというイニシアチブに、追加で約2,000万ドルを拠出すると発表した。
 4月に2018会計年度分の第一弾として13件の対象プロジェクトを選定したのに続き、今回は小型モジュール炉(SMR)の商業化や鉛ビスマス高速炉技術の概念設計など9件のプロジェクトを選定した。このような研究開発活動は、既存の原子力発電所や新型原子炉開発を様々な側面で支援することにつながる重要なものであり、米国の経済とエネルギー自給を下支えするクリーンで安全なベースロード・エネルギー源について、米国の能力が確立されることになるとDOEは説明。今後5年にわたり、四半期毎に同様の申請審査と選定手続を実施する方針で、2018会計年度分としてはさらに約3,000万ドルを次の四半期に追加適用する考えを明らかにしている。

 ペリー長官によると、原子力は「利用可能なエネルギーすべてを活用する」という米国のエネルギー戦略における重要な一部分。初期段階の研究を支援することは、米国内で今後もクリーンで信頼性のある回復力の強い電源を確保することを意味しており、DOEとしては将来を見据えた上で先進的原子力技術への投資を行っているとした。また、同イニシアチブにおけるプロジェクトの選定は、国内で革新的な原子力技術開発を加速する際に必要となる官民パートナーシップの一例。産業界が主導するこれらのプロジェクト・チームには、連邦機関や官民双方の研究所、高等教育機関も含めて様々な米国民が参加することになり、原子力に関する米国の商業的能力の向上に一役買うことになると説明した。

 選定されたプロジェクト9件のうち7件は、DOEの原子力局が産業界に提示した「財政支援条件の告示(FOA)」に対し、応募のあった案件。支援対象は3種類あり、1つ目の「新型原子炉設計の初号機開発を目的とする大規模な実証準備プロジェクト」として、ニュースケール社が進めるSMR開発プロジェクトの第2段階において、今年の12月までに実施する諸活動が支援対象に選定された。2026年に初号機の商業運転を実現するため、同社は第1段階において、設計の完成度を高めるとともに許認可手続を進めてきた。これらに基づき同社は、SMRの市場投入で必要となる製品化のための活動を年内に行う計画。具体的には、原子炉建屋の設計合理化などが含まれている。これらのための予算額は、DOEが支援する700万ドルを含めて合計1,410万ドルを予定している。

 FOAにおける支援条件の2つ目は「新型原子炉設計や技術について商業化の可能性改善を目的とした概念やアイデアの提案」で、5件のプロジェクトが選定された。このうち、DOEの出資金約190万ドルを含め、合計約240万ドルの投資が予定されているのは、GE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社が主導する「LNG火力との競合に向けた原子力プラントのコスト削減プロジェクト」。GEH社は独自に開発している出力30万kWの小型軽水炉「BWRX-300」について、建設・保守コストの削減方法を検証する計画で、具体策としては、地中埋め込み式の設計・建設や、冷却材喪失事故(LOCA)発生可能性の排除――などを検討するとしている。
 また、コロンビア・ベースン・コンサルティング・グループはDOEから40万ドルの支援を受けて、鉛ビスマス高速炉(LBFR)の予備概念設計とコストの予備的試算を実施する。このほか、SMRを開発中のホルテック・インターナショナル社は、SMRおよびその他の原子力機器製造技術として、レーザー・アーク・ハイブリッド溶接(HLAW)法の開発と商業化を進める予定。総予算は約1,260万ドルで、このうち約630万ドルをDOEが支出することになる。

 FOAで設定された3つ目の支援条件は「新型原子炉設計の認証や認可取得関係の課題や審査で直接、解決策を必要とするもの」で、今回はピッツバーグ工科大の提案したプロジェクトが選定された。同大の計画では、ABWR設計の確率論的リスク評価において、レベル2と3に関係するソースタームの削減を目的とした技術基盤の開発を目指す。予算はDOEからの約50万ドルを含め、合計約62万ドルとなっている。

 残る2件のプロジェクトは、先進的原子力技術の商業化支援イニシアチブ「原子力の技術革新を加速するゲートウェイ(GAIN)」の枠内で選定されたもの。対象企業2社に対して、56万ドル分の技術開発バウチャー(国立研究所等の施設・サービス利用権)が交付されるとしている。