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英政府のエネ統計、低炭素電源では原子力が最大シェア

2018年7月27日

©DUKES2018

 英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は7月26日、英国内の2017年のエネルギー生産量や消費量について詳細に分析した4種類の国家統計結果を公表。同年に英国で発電された電力量のうち、原子力が単一の低炭素電源としては引き続き最大シェアを占めていることが明らかになった。
 これらの統計の中で、「英国におけるエネルギー統計ダイジェスト(DUKES)」は、エネルギー生産に関する情報を政府が1970年代から毎年取りまとめているもの。英国原子力産業協会(NIA)のT.グレイトレックス理事長は、「DUKES最新版により、原子力発電が総発電電力量の約21%、低炭素電源による電力量では41%を占めるなど、国内の低炭素電源ミックスの中で継続的に重要な役割を果たしていることが明確に確認された」と強調している。

 DUKESによると、英国の2017年の総電力供給量は合計約3,530億kWhで、2016年実績から36億kWh減少したものの、概ね安定的に推移している。このうち4.2%は、輸出分の電力量を差し引いた純輸入量(148億kWh)であるため、国内での総発電量は3,390億kWh。石炭離れの傾向が続く一方、再生可能エネルギーによるシェアは過去最高の29.3%になったとした。
 これと原子力のシェア20.8%を合計した低炭素電源の発電シェアは、前年実績の45.6%からさらに増加、過去最高の50.1%となった。再生エネのうち、最も数値が大きいのは風力の14.8%であることから、原子力は英国内では、天候と無関係に安定的に信頼性の高い電力供給が可能な、最大の低炭素電源ということになる。ただし、原子力による2017年の総発電量は703億kWhで、前年実績の717億kWhから1.9%減少。発電シェアも前年実績の21.1%からわずかに減少したが、DUKESはその理由として、2016年よりも定期検査が若干多かった点を指摘している。
 
 このような統計結果について、グレイトレックス理事長はまず、「電気自動車の普及や熱供給の電化で拡大が今後予想されるなど、英国はCO2排出量の削減目標達成に向けて大きく前進している」とコメントした。需要の高まりに合わせて信頼性の高い低炭素電源を確保することは非常に重要だとしており、2017年は風力発電から特に、大きな恩恵が得られた一方、過去28日間の発電量はわずか5.8%で、非常に低出力の期間が長期化している点を指摘。エネルギーの供給を保証するには、CO2の排出抑制目標を満たしつつも、バランスの取れた電源ミックスが必要になることが実証されたと述べた。
 その上で同理事長は、BEISが6月末に公表した民生用原子力部門との戦略的パートナーシップ「部門別協定」の中で、新たな原子力発電インフラに対する投資が、英国の将来のエネルギー・ミックスにとって重要不可欠なものと認識されていた事実に言及。とりわけ、1基を除いて既存の原子力発電所すべてが、2030年までに閉鎖されるという背景を強調した。

 DUKESではこのほか、英国の電力輸入量が2017年に9.2%低下したのに対し、輸出量が49.9%上昇していたことを紹介。最終的に英国は、これまでどおり電力の純輸入国に留まっているが、純輸入量は前年実績より16.8%削減された。原因の1つとしては、2016年11月に英仏間の海底送電線が船の錨で一部損傷し、昨年の第1四半期に修理が行われていたことを挙げた。これに加えて、同年の第4四半期に仏国の原子力発電所で実施された定期検査により、仏国内の電力価格が上昇。英国からの輸出量が増加したと説明している。