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原子力委員会がプルトニウム利用の基本的考え方を改定、「保有量を減少させる」方針示す

2018年7月31日

 原子力委員会は7月31日の会合で、新たな「わが国におけるプルトニウム利用の基本的考え方」を決定した(=写真)。日本では、原子力発電所から出る使用済み燃料を再処理することでプルトニウムを回収し、MOX燃料に加工して再び利用するプルサーマルの推進などにより、「利用目的のないプルトニウムは持たない」という原則を堅持している。一方で、(1)消費サイド(プルサーマルの遅れ)、(2)生産サイド(六ヶ所再処理工場のしゅん工延期)、(3)国際社会による関心――など原子力利用を巡る状況変化を踏まえ、同委では1月に、2003年に決定した基本的考え方を改定することとし議論してきた。
 このほど決定された新たな考え方では、プルトニウム利用を進めるに当たって、国際社会と連携し、核不拡散の観点も重要視しつつ、平和利用に係る透明性を高めるという考えに基づき、「プルトニウム保有量を減少させる」としている。その上で、関係行政庁や事業者により以下の措置が実現されることで、プルトニウム保有量は「現在の水準を超えることはない」と明言している。

 1.再処理等の計画の認可(再処理等拠出金法)に当たっては、六ヶ所再処理工場、MOX燃料加工工場およびプルサーマルの稼働状況に応じて、プルサーマルの着実な実施に必要な量だけ再処理が実施されるよう認可を行う。その上で、生産されたMOX燃料については、事業者により時宜を失わずに確実に消費されるよう指導し、それを確認する。
 2.プルトニウムの需給バランスを確保し、再処理から照射までのプルトニウム保有量を必要最小限とし、再処理工場等の適切な運転に必要な水準まで減少させるため、事業者に必要な指導を行い、実現に取り組む。
 3.事業者間の連携・協力を促すこと等により、海外保有分のプルトニウムの着実な削減に取り組む。
 4.研究開発に利用されるプルトニウムについては、情勢の変化によって機動的に対応することとしつつ、当面の使用方針が明確でない場合には、その利用または処分等の在り方についてすべてのオプションを検討する。
 5.使用済み燃料の貯蔵能力の拡大に向けた取組を着実に実施する。

 原子力委員会では、資源エネルギー庁、文部科学省、外務省、電気事業連合会、日本原燃、日本原子力研究開発機構からヒアリングを実施し、今後のプルトニウム利用に関して5月末までに論点を整理した。その中で、電事連は、「全国の16~18基の原子炉でプルサーマルの導入を目指す」という現行方針について、海外保有分も含め、六ヶ所再処理工場で回収されるプルトニウムを各社で確実に利用するための規模として、堅持する方針を示した。また、プルトニウム利用の信頼性と透明性の向上を図ることから、発電所の再稼働が大前提とした上で、「再処理工場のしゅん工(2021年度上期)を目途にプルトニウム利用計画を公表する」としている。
 31日の原子力委員会会合で報告されたところによると、2017年末時点で、日本は、国内に約11トン(商用:約6トン、研究用等:約5トン)、海外に約36トン(英国:約21トン、フランス:約15トン)のプルトニウムを保有している。一方で現在、新規制基準のもと、プルサーマル発電が実施されているのは関西電力高浜3、4号機、四国電力伊方3号機、九州電力玄海3号機の4基となっている。