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平成29年度「原子力人材育成ネットワーク」報告会、研究炉の再稼動と課題、IAEAと連携した活動等について意見交換

2018年2月23日

当協会と日本原子力研究開発機構が共同事務局を務め、将来の原子力人材育・確保に向けて産学官の関係機関が相互協力を図る「原子力人材育成ネットワーク」(以下、ネットワーク)の平成29年度報告会が2月16日、都内で開催され、産官学の関係者約60名が参加しました。冒頭、ネットワーク運営委員長を務める当協会の高橋明男理事長が挨拶に立ち、原子力発電の利用とともに、廃止措置等を的確に進めていくための幅広い分野の人材の必要性や新興国で高まる日本の技術や人材育成支援への期待、人材育成を効率的・効果的に進めていく上で国際協力の重要性を強調した上で、今後のネットワーク活動への積極的な参画を来場した国内外の人材育成関係者らに訴えかけました。

その後、機関横断的な事業を検討する各分科会(初等中等教育、高等教育、実務段階人材育成、国内人材国際化、海外人材育成)の活動報告がネットワークの桜井聡事務局長より行われました。昨年8月、IAEA、原産協会、日本原子力研究開発機構(JAEA)、原子力国際協力センター(JICC)の4者間で、教材開発や教育プログラムの共有など今後の人材育成協力に関する実施取り決め文書が署名されたことのほか、本ネットワークが取りまとめた人材育成ロードマップに基づき、原子力人材育成を戦略的に推進するとなる司令塔機能とその強化に向けた検討を始める予定であることも紹介されました。

内閣府の原子力委員会事務局原子力政策担当の澄川雄氏は、原子力人材育成の方向性について講演しました。原子力人材育成は、現在の原子力を巡る状況やニーズ等を考慮した効率的・効果的な活動とする必要があるとし、その具体的方策として、原子力分野の魅力の発信による優秀な人材の獲得、大学教育の改善、分野横断的な研究活動と連携した仕事を通じた人材育成、原子力発電技術の継承、各種研修実施等の積み上げ型活動による継続教育を掲げました。また、原子力分野におけるイノベーションを生み出す知識基盤の構成要素である人材育成に原子力関係機関による一層の取組みへの期待を寄せました。

昨年、近畿大学と京都大学の研究炉が新規制基準の下で運転を再開しましたが、近畿大学の原子炉研究所の若林源一郎准教授と京都大学原子炉実験所の川端祐司教授より、研究炉の再稼動と課題について報告がありました。学内外の学習実習や共同研究利用、教員研修等が再開され、研究炉が多種多様な学術研究や人材育成において重要性を増す一方で、安全管理や核物質防護の観点から大学単独で原子炉を維持することの難しさが共通して語られました。なお、京都大学の原子炉実験所の名称について、今年4月に複合原子力科学研究所に改名するとの紹介がありました。

午後にはIAEAと連携した活動等について各種報告がありました。Japan-IAEA原子力エネルギーマネジメントスクールの報告においては、過去のスクールに参加した社会人2名(平成24年度:関西電力 武田直也氏、平成27年度:東北電力 籾山優氏)より、スクールでの経験とその後の業務での活用について報告がありました。特に、グループワークでの経験が積極性やマネジメント能力の向上に役立ち、今日のキャリア形成に好影響を与えている様子がうかがえました。

IAEA 核燃料サイクル・廃棄物技術部の渡邊英一郎氏からは、近い将来に多数の発電炉が廃止措置を迎え、廃止措置人材を質、量ともに大幅強化することが急務であることから、IAEAでは廃止措置e-learning教材を開発し、日本語版も完成したので普及に努めたいと紹介があり、その教材を収めたUSBが参加者に配布されました。

IAEAの技術協力局アジア太平洋州部のジェーン アバヤ氏からは、報告会会場とウィーンをネット回線で結び、IAEAが実施するアジア太平洋地域の中等教育における原子力科学技術の中等教育の導入・向上を支援する技術協力プロジェクトが紹介されました。ネットワークでは本プロジェクトに参加するエキスパートとして東京大学の飯本武志教授を推薦しましたが、飯本教授が他の日本の専門家とともに、座学と霧箱実験、放射線測定を組み合わせた日本型の放射線教育プログラムを学校教育に導入したいとするフィリピン、インドネシア、マレーシアの要望に応じて、2012~2016年に現地で教育関係者や生徒等の指導活動を行い、その活動がIAEA加盟各国から高く評価されていると語りました。なお、2018年から教育カリキュラムのアジア太平洋地域の標準化モデル策定をめざし、第二期の技術協力プラグラムを実施する予定であるとのことです。報告会では飯本教授も参加し、現地での経験や本プロジェクトの展望等について語りました。

(参考:原子力人材育成ネットワーク ホームページ http://jn-hrd-n.jaea.go.jp/


挨拶する高橋運営委員長



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お問い合わせ先:人材育成部 TEL:03-6256-9315(直通)

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