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世界原子力大学夏季研修報告会 グローバルな人脈形成、自他成長を志す若手リーダーの育成の場

2017年10月23日

 2017年世界原子力大学・夏季研修(WNU-SI)の報告会が10月19日、原産協会で開催されました。同研修はスウェーデンのウプサラで6月27日から8月4日までの6週間行われ、32国から76名(男性:女性=7:3)の若手原子力技術者や規制関係者などが参加しました。日本からは、原産協会の「向坊隆記念国際人育成事業」の助成を受けた5名のほか、原子力規制委員会が1名の若手を独自に派遣し、計6名の参加となりました。研修では様々な講師を迎えての講義や、小グループに分かれての議論およびプレゼンテーションが行われ、第4週目にはスウェーデン、フィンランド間をフェリーで移動しながら、原子力関連施設(バーセベック原子力発電所、オスカーシャム原子力発電所、エスポ地下研究施設、オルキルオト原子力発電所、オンカロ廃棄物処分施設等)を視察し、北欧諸国の廃炉への取組み、廃棄物処分方法等への理解を深めました。

報告会を10月に開催

日立GEニュクリア・エナジー(株) 荒川貴行氏

 10月19日に原産協会で開かれた報告会では、助成を受けた5名が報告を行いました。
 日立GEニュクリア・エナジーの原子力設計部原子力精機設計グループの荒川貴行氏は、WNU-SIが海外のフェロー(参加者)がオープンマインドでフレンドリーなメンバーが多く、非常に貴重な人脈形成の場であると紹介するとともに、震災とその後の日本の状況は意外と知られていないため、自国や自社の発信者になれるように準備をしてほしい、と来年度参加者向けにアドバイスを行いました。
 三菱FBRシステムズのプラント設計部の井手章博氏は、印象に残った講義に、プラントの基準統一や原子力の品質管理体制のほか、パブリックアクセプタンスに関するものとして映画「パンドラの約束」のロバード・ストーン監督とネット回線上でのフェローたちとの語らいを挙げ、「原子力がいかに安全かを語ることは止めるべきである。原子力が安全であることを説明することは、その裏にある『原子力が危険かもしれないこと』を思い出させることにつながっている。例えば、福島第一原発事故は最悪の事故であったが放射線に起因する死亡者はいない」という同監督の言葉を紹介しました。
 三菱重工業の原子力機器設計部の川上亮一氏は、著名な講師陣から学んだリーダーとして心得や自己成長のための条件などを、職場のモチベーションアップやチームワーク、健全な安全文化の醸成に活かすとともに、専門分野以外にもアンテナを高くして国内外のリーダーと積極的に交流をし、自身の体験を後進に伝えていきながら自他成長をしていきたいと語りました。

三菱FBRシステムズ(株) 井出章博氏

三菱重工業(株) 川上亮一氏

 東芝エネルギーシステムズの原子力プラント設計部の栗本哲平氏は、講義を通じて原子力産業一般及びその動向(フロントエンド、バックエンド、法規等)の一般的な知識を深めるとともに、グループワークでは自由度の高いテーマに対する欧米独特の議論の進め方を学んだこと、研修終了後も国内外の幅広い分野のフェローと連絡を取り合う人脈を構築できたことが大きな収穫であり、今後の業務で人脈を維持・発展させ、国内原子力産業界への活用を図りたいと述べました。
 関西電力の原子力事業本部安全技術Gの武田直也氏は、専門外の広い視野も獲得できたほか、講演にはリーダーシップに係る見解や経験を踏まえた内容が多く含まれ、今後の業務への関り方を考える上で非常に有益であったが、専門である安全評価に係る知見を深めることができなかったのは残念であったと述べました。本研修参加が今後、プラントの安全性確保のために何をすべきか再認識する契機となり、社内の若手技術者にフィードバックし、レベルアップに貢献していきたいと語りました。

東芝エネルギーシステムズ(株) 栗本哲平氏

関西電力(株) 武田直也氏

 5名は、異なる文化を持つ土地と人と6週間もの交流で得たものは大きな財産であり、研修で得た知識や人脈を業務で活かし、自己研鑽や後継の育成、原子力産業界全体のレベルアップを図りたいとする気概にあふれていました。当協会は今後も本事業を継続して実施し、原子力産業界を牽引する若手の人材育成に尽力していきます。

お問い合わせ先:人材育成部 TEL:03-6256-9315(直通)

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