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中国の原子力発電開発 ― 第13次原子力計画での安全追求と国産化の課題

2017年9月29日

この情報は当協会会員へのサービスの一環として、急速に変貌する中国の原子力開発をまとめたものです。(会員限定公開)

今回の「中国の原子力開発:第13次原子力計画での安全追求と国産化の課題」は全体で21頁となりました。
詳細は当協会の会員専用ホームページに掲載されておりますが、本ページにアクセスしていただきました方のために、その概要を以下にお示しします。
とくに従来安全規制よりも開発を優先してきたとみられる中国政府の原子力安全改革に真剣にとり組む姿勢をお伝えしたいと思います。ご参考になれば幸いです。

A.中国の原子力発電現状:
・福清-4が9月18日に営業運転を開始し、運転中は3,612.5万kW(38基)、建設中は2,219.3万kW(19基)となった。
注)IAEAデータベースPRISによる。出力、炉型、非商業炉を含めるか否かで当協会の原子力産業新聞の数値との違いがある。

B.「原子力安全・放射線汚染防止第13次5カ年計画(2016~2020年)および2025年長期目標」では安全改革追求を徹底
・原子力発電開発規模としては、2020年に運転中5,800万kW(建設中3,000万kW以上)を目標に掲げる。
・しかしこの「計画」では、福島原発事故の教訓を踏まえての徹底した安全規制改革をめざしている。2025年の原子力界全体での国際先進レベルの安全達成目標を明示している。

C.第3世代炉開発ではウェスチングハウス社から導入の「AP1000 / CAP1400」と国産炉「華龍」の2路線が競合している。
・今春「華龍標準化プロジェクト」が始動、「華龍」主軸化の可能性が高い。

D.重電機器製造集団での技術レベル向上努力が本格化している。
・5大電気集団(上海電気、中国東方電気、ハルビン電気、中国第一重型機械、中国第二重型機械=現「中国機械工業」)といわれる重電機器製造集団は、概ね均等な受注が保証されており、技術の向上のために資金や人員を投入するインセンティブに乏しいといわれて来た。
・ところが第三世代炉開発進展に伴い、原子力発電機器に関する高品質保証システムと、その裏付けとなる高い試験・検査・検証能力が要求されるようになって来た。
・2007年、原子力発電設備・部材の安全品質保証で関連2法令が制定され、体系的な規制が始まった。
・さらに福島原発事故(2011年)により、国務院は原子力発電安全装置・部材の製造で「安全第一、品質第一」の迅速な達成を要求するようになった。
・原子力技術の「世界レベル」到達は、習近平政権が掲げる経済圏構想「一帯一路」の重点施策である原子力輸出でも必須の課題であり、いまやその早期達成が5大電気集団の生き残りの鍵となっている。

E.製造上の重点課題
・設備・部材品目では、2010年ころから「a.主冷却材ポンプ 、b.圧力容器(含鍛造部材製造)、c.安全バルブ、d.計装制御システム(とくにデジタル化技術)、e.電線電纜(とくに不燃性)」が課題として挙げられてきた。
最近の中国側から、a.b.c.d.の国産化達成との発表が散見され始めているが、前述B.の「計画」等ではd.等でも信頼性の課題が挙げられている。
・システムや能力では、「プロジェクト工程管理、製造・建設のモジュール化、品質管理・品質保証システム、設計・製造の標準化、サプライ・チェーン(含メンテナンス・サービス)、研究開発能力、試験・検査・検証、産業連携」が課題として挙げられる。とくに(工期短縮に結びつく)プロジェクト工程管理やモジュール化では、製造や建設の現場での適用の遅れが報じられている。
研究開発、試験・検査の能力は、国家能源局(NEA)の通達や製造集団間の競争本格化で向上している。
・原子力安全文化の深化が必要との認識は強い。

○注目しなければならないのは、中国の国務院が厳格に実施しようとしている「安全規制改革」での品質向上要求が、大規模な原発建設での技術経験と結びつけば、「安価だが安全性・信頼性では劣る」と見られて来た中国の製造集団の原子力技術は今後10年も経たないうちに世界水準のものになると思われることである。

中国の原子力開発:第13次原子力計画での安全追求と国産化の課題

お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)

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