ロシア原子力人材育成機関関係者一行の来日(2012.10.28~11.3)

 ロシア国営原子力企業ロスアトム傘下にある、原子力人材育成機関「中央先進訓練研究所」(Central Institute of Continuing Education &Training:CICE&T)のセレズネフ学長を団長とする、ロシアの原子力人材育成関係者一行が、当協会の招聘により、10月28日~11月3日に来日しました。

 来日者は、団長の他、同副学長(国際協力担当)、原子力発電所の保全を担うアトムエネルゴレモントのトレーニング部長2名、ロスアトム国際ビジネス部マネージャの計5名。一行の来日の目的は、日本の原子力産業の人材育成事業(主に原子力発電所の運転要員の育成事業等)について学ぶことであり、敦賀の原子力発電訓練センター(NTC)、若狭湾エネルギー研究センター、東京電力 柏崎刈羽原子力発電所、BWR運転訓練センター(BTC) 新潟センターを訪問しました。

 各訪問先では事業説明を受けるとともに、施設や、訓練・シミュレータのデモンストレーション風景を視察しました。

 NTCやBTC、若狭湾エネルギー研究所では、海外の研修生の受入等の事例が紹介され、同様の事業に取り組むCICE&Tからは、研修システム、プログラムの内容等に関心が寄せられ、活発な情報・意見交換が行われました。

 CICE&Tは、ロシアの原発職員の運転訓練を担当しており、昨年1年間で1万4千人を訓練しています。CICE&Tでは、原子力発電所の安全運転にはメンテナンスも重要との観点から、メンテナンスの研修訓練も実施しています。また、原子力の海外展開をはかるロシアは、原子力分野における人材育成を重視し、2010年、CICE&Tをベースに「国際原子力人材育成センター」を設立、ベトナム、トルコ、ベラルーシ、エジプト等の原子力新興国の研修生を積極的に受け入れています。新興国での原子力発電所導入にあたっては、言語、文化等の差異による理解の違いを克服することが求められますが、それへの対処法として異文化コミュニケーションを研修にとりいれる試みがなされています。

 セレズネフ学長は、「原子力先進国の役割は、原子力発電所を建設するのみではなく、原子力新興国がそれを安全に健全に運営できるように、牽引する責任を果たしていくことである。同じ志をもち、ベトナムと協力をしている日本とは、協力の余地があるのではないか」との日露間の新たな協力の可能性に大きな期待感を示しました。

 一行は、当協会の服部理事長ほか、日本の原子力人材育成機関関係者と懇談しましたが、原子力を新規に導入する国が増えている中、人材育成に関しても国際的スタンダード(到達すべきレベルや教育訓練の内容等)を設ける必要性について、意見が一致しました。また、インストラクターの確保の難しさも日露共通となっており、制度の改善が急務であろう、との見解も示されました。

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若狭湾エネルギー研究センターにおける意見交換

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若狭湾エネルギー研究センターにおける海外研修生向け講座を見学

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東京電力 柏崎刈羽原子力発電所における意見交換、シミュレータ、技能訓練施設の見学

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BTCにおける意見交換

お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)