【南アフリカ】南ア原子力産業協会のツェラ理事、大洗の高温ガス炉見学(2008.4.17)

平成20年5月1日
日本原子力産業協会・国際部

 南アフリカ原子力産業協会(NIASA)のアレックス・ツェラ理事は第41回原産年次大会に参加・講演したのを機会に、平成20年4月17日、日本原子力研究開発機構 大洗研究開発センターの高温工学試験研究炉HTTRを見学しました。

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 南アフリカは、高温ガス炉PBMRの開発を進めており、規制当局から許可が下りれば、年内にも着工できる状況にあるとのことです。大洗研究開発センターでは、最初に小森・高温工学試験研究炉部長による高温ガス炉の研究開発状況等についての説明の後、高温ガス炉の現場を見て回りました。最後に塩沢特別研究員も加わって、熱心な質疑応答、情報交換が行われました。

ツェラ氏からは、「日本の高温ガス炉の研究開発の現状について」、「南アのPBMRと日本のHTTRの最大の違いは何か」、「研究炉と商業炉の規制に相違はあるのか」、「南アのPBMRには格納容器を作る予定は無いが、日本のHTTRに格納容器があるのはなぜか」、「放射性廃棄物の発生量はどうか」などの質問が出されました。

これに対して、日本側から、「我が国の原子力研究開発は、①基礎・基盤的研究開発、②革新技術システムの開発、③革新技術システムの実用化研究、④既に実用化した技術の改良・改善、の四段階に分けられるが、高温ガス炉開発は現在第二段階の位置付けにあり、国内では当面実用化の計画はない」、「PBMRが球状燃料(ペブルベッド型)であるのに対して、HTTRは柱状型(ブロック型)燃料である。また、用途は南アが発電用であるのに対して、日本は多目的である点が、大きな相違点である」、「研究炉と商業炉の規制は原則的には同じである」、「HTTRに格納容器があるのは、我が国初の高温ガス炉であったことから軽水炉の考え方をベースに安全設計が行われたためである」、「廃棄物発生量は極めて少ない」などの回答がありました。

ツェラ氏は一時期、南アフリカの原子力規制当局のトップを務めていたことがあり、かねてより日本の高温ガス炉に興味を持っていました。ツェラ氏は今回、日本の高温ガス炉への初訪問が実現できたこと、また、日本の専門家と熱心な議論ができ今後の交流のパイプができたことは、大変有益であったとの感想を語りました。

なお、ツェラ氏は、第41回年次大会では「人類の持続可能な発展と南アフリカの原子力発電開発」と題して講演しました。

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