第28回日台原子力安全セミナーの開催(2013.7.22~26)

 当協会は7月23日、東京の如水会館で、第28回日台原子力安全セミナーを開催しました。これは1986年以来毎年日本と台湾で交互に開催しているもので、原子力安全に係わる情報共有・意見交換ならびに原子力関係者の交流を目的としています。

 主催者は日本側が当協会。台湾側は台湾電力公司、原子能委員会、核能研究所、放射性物質管理局、中華核能学会の5機関です。ホストを務める日本側は、服部拓也・当協会理事長、関村直人・東京大学大学院教授をはじめとする計36名が参加。台湾からは、陳布燦・台湾電力副社長、張欣・原子能委員会副局長をはじめ計16名が来日しました。

 福島第一原子力発電所の事故は、日本と同じ地震国であり、自然の脅威に絶えずさらされている台湾の原子力政策に大きな影響を与えています。台湾では一昨年11月、既存の6基の原子炉に40年の運転期間を設定し、段階的に閉鎖することを発表しています。また建設中の原子力発電所についても、国民投票にかけられようとしています。
 そこでセミナーでは、福島第一原子力発電所の事故後の復旧・復興に係わる日本の取組について報告し、情報共有をはかり、日台双方の原子力安全の一層の向上を目指しました。
 

主な概要

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  1. 基調講演
     関村教授は福島第一原子力発電所事故について、外的事象への深層防護が不十分だったと総括。必要なのは①不確定性の大きい外的ハザードの推定精度向上、②外因によるクリフエッジ影響を除くこと、③安全対策の評価にPRAを活用すること――だと指摘しました。
     張副處長は、台湾国内プラントの安全再評価について紹介。事業者に対し、米原子力規制委員会のNTTFルールの採用や、EUストレステスト結果のフォローアップを指示し、また、地震、津波、SBOに関して海外の事例を参考に特別対策を立てるよう指示していると強調しました。
     
  2. 各セッション
     セッションでは、福島第一原子力発電所事故後の原子力安全を中心に、日本側から長期停止中のプラント保守や、福島第一での固体廃棄物や汚染水の処理、台湾側からSA時の最終措置プログラムや、デコミ規制計画について報告されました。また、トピックスとして、電力会社の広報戦略や、ほぼ完成している龍門原子力発電所の建設状況、久しぶりの明るいニュースとなった大間原子力発電所の建設状況について紹介されました。
     
  3. テクニカルツアー
     台湾代表団はセミナー翌日の7月24日以降、テクニカルツアーとして、中部電力・浜岡原子力発電所、関西電力・美浜原子力発電所を訪問しました。
     台湾代表団は、各発電所のSA対策を実地に見学したほか、緊急時対策所の免震構造についても熱心に見学していました。

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浜岡発電所でのプレゼンテーションの模様

詳細の開催概要については、当協会の会員専用ウェブサイト( https://www.jaif.or.jp/member/ )に掲載しています。

お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)