フィンランド原子力施設視察とロシア国際フォーラム「ATOMEXPO-2013」参加団を派遣(2013.6.23~30)

 当協会は6月23日~30日、服部理事長を団長として、フィンランド原子力施設視察とロシア国際フォーラムATOMEXPO-2013参加団を派遣しました。

 フィンランドでは、オルキルオト原子力施設を訪問し、TVO社より、TVO社およびオルキルオトに立地する原子力施設の概要、および建設中のオルキルオト3号機の説明を伺いました。またPosiva社より、フィンランドの使用済燃料の最終処分計画、および建設中の高レベル放射性廃棄物地下処分場実験施設(ONKALO)の説明を伺いました。その後、運転中のオルキルオト1号機、低・中レベル地下最終処分場を視察し、バスにて建設中のオルキルオト3号機と高レベル放射性廃棄物地下処分場実験施設(ONKALO)の外観を見学しました。

 オルキルオト1号機は、Asea Atom社製のBWRで、日本国内のBWRと異なり、オペフロプラグがなく、トップヘッド上部を冠水させた水遮蔽方式を採用していました。オルキルオト3号機については、現在AREVAがEPRを建設中ですが、運転開始が2014年から2016年に延期になるとの見込みとのことです。3号機は約75%完成しているとのことで、現在は4号機の入札に注力している様子が伺えました。低・中レベル地下最終処分場は、深さ60~100mのところにサイロを2つ設置し、コンクリート容器に入れた廃棄物を格納するという厳重な方法でした。ONKALOは、バス移動による施設周辺とトンネル入口までの見学でしたが、アクセストンネルは地上からの深さ約440m、全長約5kmに到達しており、現在最終処分場としての施設の建設並びに処分の許可のための岩盤の性質の最終確認、キャニスタによる処分技術の研究のために使用されているとのことです。

 ロシアでは、サンクトペテルブルクにおいてIAEA閣僚会議が開催されるのにあわせ、ATOMEXPO2013が開催され、両会議に参加するとともに、ATOMEXPOのプレナリーセッションである産業界フォーラムにて、服部理事長がパネリストとして登壇しました。また、ロスアトムのキリエンコ総裁と会談を行うとともに、中央先進訓練研究所(CICE&T)サンクトペテルブルク支部を訪問しました。

 今年で第5回となるロシア国営原子力企業ロスアトム主催の国際フォーラムATOMEXPO-2013は、「21世紀の原子力産業:持続可能な発展のための責任あるパートナーシップ」をテーマに、プレナリーセッションには42カ国からの参加がありました。プレナリーセッションでは、服部理事長が登壇したほか、IAEAビチコフ事務局次長、WNAリーシング理事長、CEAベアール局長、ロスアトムのコマロフ副総裁、AREVAウルセル社長、ECファロス局長、中国核工業集団公司(CNNC)ペイゲン副総経理などが登壇し、「21世紀の原子力技術」、「21世紀における原子力の地理的拡大」、「原子力発電所建設への投資呼び込み」をテーマにパネル討論を行いました。
 

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オルキルオト原子力発電所
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低・中レベル放射性廃棄物処分場トンネル

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ATOMEXPOプレナリーセッション
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服部理事長パネル討論登壇

 IAEA閣僚級会議には、主催者であるIAEA天野事務局長とホスト国の露ROSATOMキリエンコ総裁をはじめ、米DOEポネマン副長官、仏CEAビゴ長官、越商工省ホアン大臣、印シンハ原子力委員長、OECD/NEAエチャバリ事務局長、WANOレガルド議長、WNAリーシング事務局長等、多くの要人が参加し、各国の閣僚演説では、多くの国が安全向上に努めながら原子力発電を継続または新規に進めていくと表明し、福島事故直後の停滞感は払拭され、原子力推進への盛り上がりを感じました。

 中央先進訓練研究所(CICE&T)は、国営原子力企業ロスアトムおよび外国の原子力関係従事者、管理者、専門家等の訓練、専門的育成を行うための教育センターで、1967年に設立され、オブニンスクに本部があり、モスクワ、サンクトペテルブルク、エカテリンブルクに支部があります。今回訪問したサンクトペテルブルク支部は、主に建設訓練を行うとともに、地域コミュニケーションおよび国際協力を行っています。また、浮体式原子力発電所のフルスケール・シミュレーターが設置されている様子を視察しました。今後も、わが国の原子力人材育成の参考とすべく、連携を深めていく予定です。

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IAEA閣僚会議の様子

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CICE&T訪問
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浮体式原子力発電所
フルスケール・シミュレーター

お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)