[諸外国における原子力発電開発の動向]
最近の動き (2000年1月中旬〜2月中旬)

[中 国]

広東省陽江の新規原子力発電所プロジェクトを申請

広東核電集団公司は、香港から西南約500kmに位置する広東省陽江に100万kW 級6基の原子力発電所を建設する計画を発表した。計画では、初号機が2002年に着工、2009年に運転開始となっており、2015年には全ての計画が完了する予定。

なお、同プロジェクトは、2001年3月に全国人民代表大会で承認される第10次5か年計画に組み込まれる見通し。 (1月中旬)


[米 国]

エンタジー社、NYPA の2原子力発電所の買収で原則合意

エンタジー社は2月14日、ニューヨーク電力公社 (NYPA) が所有するフィッツパトリック原子力発電所 (BWR、82万9,000kW) とインディアンポイント3号機 (PWR、102万3,000kW) を買収することで、NYPA と原則合意した。

買収の内容は以下の通り。

  1. 原子炉2基の売買価格は6億600万米ドルで、このうち燃料価格は1億6,800万米ドル。
  2. NYPA は2004年までインディアンポイント3号機の電力を100%購入する。
  3. NYPA はフィッツパトリック発電所の電力を2004年初頭までの46%から同年末までの31%まで順次割合を下げて購入する。
  4. NYPA は、インディアンポイント3号機の運転認可が切れる2014年、フィッツパトリック発電所の運転認可が切れる2015年までは両炉の廃止措置基金約6億3,000万ドルを保有し、その後同基金をエンタジー社に引き渡す。
  5. エンタジー社は労働組合との現行契約を尊重し、約1,700名いる従業員の削減を検討しない。

今後のスケジュールとしては、両社の取締役会での承認を得たあと、原子力規制委員会 (NRC) などの規制当局からの承認を受けて正式に売買が成立する。

エンタジー社、ANO 1号機の運転認可更新を NRC に申請

エンタジー社は2月1日、アーカンソー・ニュークリアワン (ANO) 1号機 (PWR、88万3,000kW) の運転認可更新を米原子力規制委員会 (NRC) に申請した。今回の申請は、ボルチモア・ガス&エレクトリック社のカルバートクリフス1、2号機 (PWR、各88万kW)、デューク・パワー社のオコニー1、2号機 (PWR、各88万7,000kW)、3号機 (PWR、89万3,000kW) に続き3件目の運転認可更新となる。

ANO 1号機は1974年に営業運転を開始、現行の運転認可は2014年まで有効であるが、更新が認められれば2034年までの運転が可能となる。なお、NRC の承認手続きは約2年の審査を経て完了する。

米国等の9か国、共同で新型原子炉技術を開発

米エネルギー省は2月10日、第4世代原子力発電システムの多国間による開発を提言した9か国の代表による共同声明を公表した。第4世代原子力発電システムは現在の原子力発電より経済競争力を持った、さらに改良された原子炉技術を採用するもので、世界的に電力需要が大きく伸びるとみられている今後20年内の導入をねらったもの。

共同声明は1月27、28の両日、ワシントン DC で開催された「第4世代原子力発電システム・ワークショップ」のあと、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、フランス、日本、南アフリカ、韓国、英国、米国の9か国の代表の手でとりまとめられた。

共同声明の内容は以下の通り。

  1. 今後50年間、特に開発途上国において、電力需要の大きな増加が見込まれる。
  2. 現在、世界中で20億の人々が電気を利用していない生活をしている。
  3. 大気汚染と温室効果ガス排出の影響に対する懸念が世界規模的で増大してきている。
  4. 現在、原子力は大気汚染と温室効果ガスの排出回避に貢献しており、世界全体の発電電力量の17%を供給している。
  5. 原子力は今後とも重要な供給電源であり、将来的な大気の浄化にも貢献し続ける。
  6. 第3世代原子力発電システムは、今後20年にわたっていくつかの国では実行可能なオプションを提供すると思われるが、コスト競争力については改善の余地がある。
  7. 将来の原子力発電技術は、核燃料サイクルと連携して開発する必要がある。
  8. 将来の原子力発電技術を開発するにあたり、経済性や安全性、エネルギー供給保障、放射性廃棄物管理、核拡散防止などを考慮すべきである。こうした技術は先進国や途上国に平等に普及、移転する必要がある。
  9. 第4世代の原子力システムは、特にコスト競争力を高め、パブリック・アクセプタンス (PA) を促進しながら、こうした諸問題に対応できるようにする必要がある。
  10. 各国政府は、以下により原子力技術の進歩を支援しなければならない。
    • 長期的な研究や開発、実証を行う。
    • 廃棄物処分問題を解決する。
    • 人材や技術基盤に投資する。
    • 21世紀に向けて効率的な原子力規制を保障する

[カナダ]

ブルース原発の使用済み燃料貯蔵施設建設が認可

カナダ原子力管理委員会 (AECB) は1月20日の会合で、オンタリオ・パワー・ジェネレーション (OPG) 社がブルース原子力発電所 (A1〜4号機:CANDU、各90.4万kW 休止中、B5〜8号機:CANDU、各84万kW) に設置を計画している使用済み燃料乾式貯蔵施設の建設を承認する決定を行った。CANDU 用で、設計容量は9,120tHM。

今回の決定は、同施設の建設のみを対象としたもので、操業に対しては新たな認可を AECB から受ける必要がある。

OPG 社、電源売却の第一段を発表

オンタリオ・パワー・ジェネレーション (OPG) 社のR.オズボーン社長は2月14日、トロントで行われたカナディアンクラブでの講演の中で、オンタリオ州エネルギー競争法の規定する2000年11月の電気事業自由化開始に先立ち、同社の所有する発電設備から火力・水力発電所合わせて約400万kW を競合他社に委譲すると発表した。同社は市場開放の第一段階として開放開始後42カ月以内に少なくとも400万kW の稼働中の発電容量を他社に委譲することを求められている。しかし、オンタリオ州エネルギー・科学技術省のウィルソン大臣は、同州の電力市場に参入を目指す他社が不利にならないよう、できるだけ早期の委譲を求めていた。

OPG 社は、3月中にはウィルソン大臣に、自由化第一段階における同社の行動計画を正式に提出するとしている。今回委譲対象として挙げられた400万kW の電源の中には、214万kW のレノックス火力発電所 (石油/天然ガス火力発電所4基、スタッフ約160名、1977年運転開始) と114万kW のレークビュー火力発電所 (低硫黄石炭火力4基、スタッフ約275名、1962〜69年運転開始) が含まれている。

99年4月1日、オンタリオ州内の電気事業を2000年までに完全自由化することを定めた、オンタリオ州エネルギー競争法が発効。これを受け、同州で電気事業を独占してきた北米最大の電気事業者であるオンタリオ・ハイドロ (OH) 社は、同社の発電部門を引き継いだ OPG 社を含め、4つに分割された。同法には、OPG 社の所有する発電設備を、第一段階として11月の市場開放開始後42カ月以内に少なくとも400万kW 委譲し、さらに10年以内に市場占有率をオンタリオ州の全需要量の35%以下に減らすことが明記されている。

OPG 社は99年末、ブルース原子力発電所 (A1〜4号機:各90.4万kW CANDU 運転休止中、B5〜8号機:各84万kW CANDU) を委譲する意向を関係者に明らかにしている。今回の講演の中でも、オズボーン社長は、電源の委譲は、資産売却の他、発電電力の交換、施設のリース等、様々な形態をとりうるとした上で、改めてブルース発電所の委譲について触れ、関係者との話し合いが進展していることを明らかにした。


[フランス]

フランスの電力市場自由化が開始

電力市場改革法案が2月1日、フランスの国民議会 (下院) で過半数の賛成により可決された。これにより、全てのEU対象国で電力市場の自由化をめざしたEU指令の国内法適用が完了した。

EUでは、97年2月に段階的なEU電力市場の統一と規制緩和をめざして、電力市場に関する自由化指令が発効した。最初の部分自由化は99年2月19日、EU全体の年間電力消費量の約25%、4000万kWh以上の大口需要家を対象に開始された。実施にあたり、EU15カ国のうち、猶予期間を与えられたベルギー、アイルランド、ギリシャを除く13カ国は、同日までにEU指令を国内法化として制定することになっていた。

同法が定める自由化の範囲は、EU指令で義務づけられた最低ラインである、同国の4000万kWh以上の大口需要家を対象としたもの。送電網はEDFの所有のままとし、新規電源はエネルギー5カ年計画に基づく国の許可制となるなど、EDFの既得権を保護し、新規参入者にとっては厳しい内容となった。

欧州第1位の電力会社であるEDFは、98年に英国のロンドン電力買収に続いて、99年にドイツEnBW社の4分の1の株式を取得するなど、積極的に国外進出を展開している。こうしたなか、フランス市場の開放の遅れに対する不満が英国、スペイン、ドイツなどで高まった。99年末には、EU本部も制裁措置を始めた。

今回の法制化にあたり、EU指令をめぐる交渉にあたったボロトラ前産業大臣は、EDFの国営企業形態は自由競争下では他国と相互的でない上、弱点になりかねないと警告しているが、ピエレ産業担当閣外大臣は、EDFを民営化する方針を明確に否定している。(2月上旬)

独仏合弁会社トップにフラマトムのビニョン氏を指名

フラマトム社の会長兼最高経営責任者 (CEO) であるビニョン氏が2月11日、同社とドイツのシーメンス社とが新たに設立する合併会社の会長に指名された。これは、フラマトム社の筆頭株主である核燃料会社 (COGEMA) とCEAインダストリー社が共同でフラマトム社の取締役会に対して提案したもので、フラマトム社の株主の承認を得て、正式に就任が決まる。

仏フラマトム社と独シーメンスは昨年末、世界の原子力市場での競争力強化を目的に両社の原子力事業を統合し、合弁会社を設立することで合意。新会社の株式比率はフラマトムが66%、シーメンスが34%としたことから、経営トップにはフラマトム社から選任されることが予定されていた。新会社設立は2000年第3四半期の見通し。 (2月11日)


[ドイツ]

99年の原子力発電電力量、過去第2位に

ドイツ原子力産業会議 (DAtF) によると、99年の原子力発電電力量は前年比70億kWh増の1697億kWhにのぼり、これまでの最高だった97年の1704億kWhに続く高い実績を達成した。これは、総発電電力量の約3分の1、1次エネルギーの約1割に相当する。また、原子力発電は年間、約1億7000万トンの二酸化炭素ガスの排出を抑制し、地球温暖化防止に大きく貢献した。また、運転中の19基の平均時間稼働率は91%、計画外停止は3.2%と世界のトップレベルの水準を記録した。

エネルギーコンセンサス協議が2月4日に再開

昨年夏から、中断していたドイツ連邦政府と電力会社とのエネルギーコンセンサス協議が2月4日、約半年ぶりに開催された。協議には、シュレーダー首相と大手電力会社の代表が出席し、両者はコンセンサスの必要性を認めた。しかし、争点となっている原子力発電所の運転期間をどうするかという問題については交渉が進展しなかった模様。このため、両者はワーキンググループを合同で設置し、2月末に予定されている次回のコンセンサス協議にむけて問題の検討にあたることになった。

政府は、従来通り原子力発電所の閉鎖に伴い損害賠償を行わない方針を変えていないことから、電力会社との合意が得られない場合は、脱原子力法の制定によって強制的に原子力発電所を閉鎖に追い込む考えを固めている。運転寿命については、政府は今年初めに30年間まで認めるとした上で、一定の総発電電力量の枠内で電力会社に自由な割振りを任せるという柔軟な代替案も示唆するなど、35年以上を主張する電力会社との間で妥協をさぐっている。電力業界はまた、コンセンサスなしに政府が法的措置にでた場合は、連邦憲法裁判所に訴訟を起こす構えを示している。 (2月4日)

政府、使用済み燃料の国内輸送を一部解禁

ドイツ連邦放射線防護局 (BFS) は1月26日、98年5月から禁止されていた使用済み燃料輸送を一部解禁する方針を明らかにした。輸送が許可されたのは、アーハウス中間貯蔵施設むけのビブリス、フィリップスブルグおよびネッカー原子力発電所から発生した使用済み燃料集合体で、今年8月に輸送が行われる予定。

98年5月に仏核燃料公社 (COGEMA) むけの使用済み燃料輸送容器で微量の放射能汚染が見つかったため、ドイツをはじめ欧州各国が使用済み燃料の輸送を禁止した。その後、原因の究明と対策がとられ、各国が輸送を再開するなか、ドイツだけはトリッティン環境相の承認がネックとなり、禁止措置が続いた。このため、原子力発電所によっては、サイト内の使用済み燃料貯蔵能力限界に達し、運転停止を余儀なくされる原子力発電所が出てくるとの見方もあった。

電力会社は、政府の決定を歓迎する意向を示しているが、再処理の委託先である英仏への国外輸送は今回の許可の対象に含まれていないことから、早急に全面的な解禁措置をとるよう政府に要求している。

国内での核物質輸送は前政権下で数回、実施されているが、いずれも反対派の強行な妨害活動により厳重な警戒態勢を強いられた。現連邦政府は、前政権以上に厳しい輸送規則を電力会社だけでなく警察やドイツ国有鉄道、輸送会社などに課しているため、電力関係者は国内輸送の実現に懐疑的な見方を示している。一方、フランス政府はドイツ政府に対して、COGEMA社にある使用済み燃料から出たガラス固化体を引き取るように要請している。 (1月26日)

VEBA社、VIAG社の株主総会が両社の合併を承認

ドイツの大手総合企業であるVEBA社 (本社デュッセルドルフ) とVIAG社 (本社ミュンヘン) はそれぞれ2月7日、2月14日に株主総会を開催し、両社の合併計画を承認した。両社がめざしている今年秋の正式合併には、独占禁止当局の承認が必要。

VEBA社とVIAG社は、それぞれドイツの第2位の電力会社であるプロイセンエレクトラと第3位のバイエルンベルク社を傘下に治める持ち株会社。昨年2月から開始された欧州電力市場の段階的な自由化に伴い、激しさを増す市場での競争に対抗するため、両社は昨年9月、合併交渉を行っていることを明らかにした。昨年12月には、両社の特別理事会で持ち株比率をVIAGが35.5%、VEBAが64.5%とすることで合意。新会社の会長には現プロイセンエレクトラ社のH−D.ハリグ氏、副会長にはドイツ原子力産業会議会長を兼務するバイエルンベルク社のO.マヨウスキー氏が就任することになった。新会社は、欧州電力市場でフランス電力公社 (EDF) 、イタリア電力公社 (ENEL) に次ぐ、第3位の電力会社となる見通し。

当初、合併には独占禁止当局であるドイツ連邦カルテル庁の承認が必要とされたが、両社の合併はドイツ国内だけでなく、欧州全体の電力市場に影響を及ぼすとの理由から欧州委員会 (EC) が判断を下すこととなった。ECは、2月上旬から約4カ月間にわたり詳細調査を行う予定。 (2月)

世論調査で、脱原子力政策に批判的見方

原子力発電所の閉鎖時期をめぐって、連邦政府と電力会社との交渉が大詰めを迎えているドイツでは、60%以上の国民が早急な脱原子力を現実的な選択ではないと考えている世論調査結果が発表された。これは、昨年末に調査を行ったAllensbach世論研究所長が、このほど開催されたドイツ原子力産業会議の冬季大会の場で明らかにしたもの。

調査結果によると、原子力発電所の運転継続支持が38%、老朽化した原子力発電所の建て替え支持が25%、新規原子力発電所建設支持が3%だった。これに対して、脱原子力政策を支持するのは約30%で、このうち直ちに原子力発電所を閉鎖することを望んでいるのは24%だった。

原子力の安全性については、72%がドイツは世界トップの水準にあると回答しており、安全性に懸念のある国としてロシア、ウクライナをあげている。こうしたことから、たとえドイツが脱原子力に踏み切ったとしても、他国の原子力技術の向上に役立てるため、技術開発研究を続けるべきだと回答した人が全体の43%を占めた。

今回の特徴は、エネルギー政策の優先順位の上位を占めていた「リスク回避 (72%) 」や「環境問題 (63%) 」を抜いて「エネルギーの長期安定供給 (75%) 」がトップに立った点。5年前の調査では、リスク回避が80%、環境問題が75%、安定供給が65%だった。さらに、今回の世論調査では、5年前には61%を占めた「安価な電気料金」が70%と第2位に上がった。

現在の連邦政府の政策については、40%が「批判的」な見方を示している。これは、前回の27%から大きく上昇している。同所長は、現在の脱原子力政策に対して原子力推進派も反対派も同様に批判的であることは興味深いと指摘している。

また、エネルギー全般に関する質問に対しては、50%がエネルギー源の多様化が必要と回答。37%が「高価で危険性の高い」技術を避けたエネルギー源の選択を支持している。将来にわたり有望なエネルギー源としては、50%が太陽光、40%が水力、38%が原子力をあげている。

一方で、エネルギー消費量に関する回答者の平均的な知識レベルはあいかわらず低く、国内の消費電力量に占める原子力の割合を理解しているのは、回答者の4人に1人にすぎなかった。 (1月下旬)


[スイス]

専門委、LLW・ILWの回収可能貯蔵を勧告

低中レベル放射性廃棄物 (LLW・ILW) の処理処分方法を検討していた独立専門家委員会 (EKRA) は2月上旬、従来の深地層処分法に廃棄物の回収可能の原則を組み合わせた新しい最終処分の考え方をとりまとめ、政府に提案した。同委員会はさらに、新しい考え方に基づいた研究施設としてウェレンベルクを候補に上げ、現在、中断している同地での処分場建設計画に早急に着手するよう提言した。

EKRAは、昨年6月にスイス政府によって設立された専門家グループで、ジュネーブ大学のウィルディ教授を委員長に7名の専門家で構成。EKRAが提案したのは、長期的回収可能貯蔵方法という考え方で、地下に埋設した廃棄物を将来、取り出したり、再利用することを前提に廃棄物を密封せずに長期間、監視下におくというもの。EKRAは約100年間の監視期間を想定しており、従来の深地層処分より1割程度コストが増えると見積もっている。

EKRAはこの新しい考え方とあわせて、試験施設、本試験施設および原型施設の3つの研究プロジェクトを提案している。試験施設は、サイト候補地の地質特性を確認するもので、ニドバルデン州にあるウェレンベルクに水平坑道を建設することが提案された。試験施設の後、本試験施設が建設され、さらに詳細な実験研究が進められる。また、原型施設では、最終貯蔵施設と同じ地層に低中レベル廃棄物のサンプルを使って、実際の監視下に生じる諸問題の調査が行われる。

スイスの廃棄物管理機関であるNAGRAは、低中レベル廃棄物処分場としてウェレンベルクを候補地として選定した。地元村民の合意は得られたものの、95年にニドバルデン州の住民投票の結果、反対が多数を占めた。同州が地下施設の建設の許認可権限を持つため、建設計画は中断している。こうした中で、監視付き回収可能な貯蔵という新しい考え方が、州政府とNAGRAとの話し合いを再開させる糸口となるとの期待感も高まっている。

スイスでは、90年9月の国民投票を受け、2000年までの10年間は新規原子力発電所を建設しないことが決まっている。スイス政府は98年10月、2000年以降の原子力開発計画を視野に入れて、原子力法を改正する方針を明らかにし、その後、原子力発電所建設についての国民投票の実施や使用済み燃料の再処理禁止などを改正法案に盛り込む意向を示している。今回のEKRAによる検討も、その一環として政府が依頼していたもの。改正原子力法案は今後、国民の意見聴取を行った上、連邦会議 (内閣) と議会の承認を経て法制化される見通し。 (2月上旬)


[フィンランド]

Fortum社、Stora Enso社の発電設備と送電網を買収へ

フィンランドのFortum社 (国営電力会社イマトラン・ボイマ社と石油大手Neste社が98年に合併して設立されたエネルギー総合企業) は1月27日、Stora Enso社の所有する発電設備 (151万1000kW) と送電網を160億スウェーデン・クローナ (約2000億円) で買収する意向であることを明らかにした。

同国とスウェーデンにまたがる送電網を所有するStora Enso社は、両国に42の水力発電所を持っている。またスウェーデンのフォルスマルク、オスカーシャム両原子力発電所の株式も所有 (それぞれ2.3%、10%) している。しかし同社は昨年、主力である製紙業関連への特化を発表、発電設備を売却する意向を明らかにしていた。今回のFortum社による買収は、一部電力株式は除外されているが、大筋でStora Enso社の意向に沿ったもの。

Fortum社は、「買収でCO2を排出しない発電設備を増強し、またスウェーデン中部への送電網を獲得することができる。これにより当社の北欧電力市場での優位性が強められ、スウェーデンへの市場進出拡大が可能となる」としている。


[ブルガリア]

99年の原子力シェア、41.5%に

ブルガリアの99年の原子力発電電力量は、前年比3億2400万kWh増の158億1400万kWhにのぼり、総発電電力量に占める原子力の割合は41.5%を記録した。

同国では、旧ソ連型PWR (VVER) を採用したコズロドイ1〜6号機が運転中。同発電所は1〜4号機がVVER−440型炉 (PWR、出力44万kW) の中でもV−230と呼ばれる第1世代の旧型炉。5、6号機はVVER−1000型炉 (PWR、出力100万kW) を採用している。

同5、6号機は改良作業を実施しており、6号機では、これまで2年間であった運転サイクルを3年間に改善している。 (2月7日)


[チ ェ コ]

99年の原子力発電電力量、133億5700万kWh

チェコでは現在、ドコバニ1〜4号機 (VVER−440、各44万kW) が運転中、テメリン1〜2号機 (VVER−1000、各97万2000kW) が建設中である。ドコバニ原子力発電所の99年の発電電力量は133億5700万kWhであった。

テメリン1号機は99年1月に格納容器の健全性試験を終了し、2000年8月にも燃料が初装荷される見通し。1号機は2001年5月、2号機は2002年11月に営業運転を開始する予定。(2月7日)


[ウクライナ]

99年の原子力発電シェアは42.1%

ウクライナの原子力発電所の運転者であるウクライナ原子力発電公社 (ENERGOAMTOM) によると、同国の99年の原子力発電電力量は720億6500万kWhとなった。総発電電力量に占める割合は42.1%で、98年より31億7500万kWh減り、シェアも1.4ポイント低下した。現在、同国では14基の原子炉が運転中であるが、欧州最大の原子力発電サイトであるザポロジェ発電所 (VVER-1000、100万kW 6基) が全原子力発電電力量の46.8%に当たる337億6000万kWhを供給した。

また、99年の平均設備利用率は64.2%で、新燃料の供給の遅れから、98年より2.8ポイント低下した。


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