[諸外国における原子力発電開発の動向]
主なできごと(2000年1月中旬〜2月中旬)

米国:原子力発電所の運転認可更新を巡る動き

米原子力規制委員会 (NRC) は3月23日、国内初となるカルバートクリフス1、2号機 (PWR、各88万kW) の運転認可の20年間延長を正式に承認した。すでにNRC事務局は3月3日、同発電所の運転認可更新をNRC委員に勧告しており、これを受け同委員による票決が行われ勧告通り認可されたもの。

所有者であるボルチモア・ガス&エレクトリック社は98年4月、国内の電力会社の先頭を切ってNRCに対し運転認可更新を申請していた。また、これに続き、(1)デューク・エナジー社がオコニー1、2、3号機 (PWR、1・2号機88万7000kW、3号機89万3000kW) 、(2)エンタジー社がアーカンソー・ニュークリア・ワン (ANO) 1号機 (PWR、88万3000kW) 、(3)サザン・ニュークリア (SNC) 社がエドウィン・I・ハッチ1、2号機 (BWR、1号機78万9000kW、2号機79万9000kW) −−の運転認可更新を申請している。

各原子力発電所の運転認可更新の進捗状況は以下の通り。

(1) オコニー1、2、3号機

NRC事務局は99年12月22日、サウスカロライナ州のオコニー発電所の運転認可更新にともなう環境影響は問題ないとする調査結果をとりまとめた。同発電所を運転するデューク・エナジー社は98年7月、2013年から2014年にかけて当初の40年間という運転認可が失効する同発電所の運転期間を20年間延長するとの申請をNRCに行っていた。なお、環境影響調査は、NRCが運転認可の更新申請を検討するにあたって最も重要なステップと位置づけられている。

(2) アーカンソー・ニュークリア・ワン (ANO) 1号機

エンタジー社は2000年2月1日、ANO1号機の運転認可更新をNRCに申請した。同機は74年に営業運転を開始、現行の運転認可は2014年まで有効であるが、更新が認められれば2034年までの運転が可能となる。なお、NRCの承認手続きは約2年の審査を経て完了する。

(3) エドウィン・I・ハッチ1、2号機

SNC社は2000年2月29日、エドウィン・I・ハッチ原子力発電所の運転期間を20年延長させるための運転認可更新をNRCに申請した。SNC社は、今回の申請に5年かけて準備してきており、申請書は1000ページにも及びCD−ROMで提出された。また、同1号機の運転認可は2014年、2号機は2018年まで有効であり、ともにBWRとして初の運転認可更新の申請となる。

運転認可更新の申請が相次ぐ背景には、99年における全米103基 (2基は停止中) の原子力発電所が86.2%の平均設備利用率で運転されるなど、着実に運転実績が向上してきていることがある。また、NRCは「特に問題のない発電所」の運転認可更新に関する決定権を同事務局に委譲することを検討しており、このことにより審査期間が短縮され従来と比較して認可が早く下りるとみられている。

なお、上記原子力発電所以外にも、ターキーポイント3、4号機、カトーバ1、2号機、ウィリアム・B・マクガイヤ1、2号機、ノースアナ1、2号機、サリー1、2号機、ピーチボトム2、3号機、セントルーシー1、2号機、V・C・サマー、クリスタルリバー3号機、フォートカルホーン1号機、J・M・ファーリー1、2号機、アーカンソー・ニュークリア・ワン2号機−−の計20基でも、今後NRCに対し運転認可更新を申請する予定である。


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