[諸外国における原子力発電開発の動向]
最近の動き (2000年2月中旬〜3月中旬)

[インド]

カイガ2号機が運転開始、タラプール3、4号機も着工

99年12月2日に送電を開始していたカイガ2号機 (PHWR、22万kW) は3月5日、正式に運転を開始してインド11番目の原子力発電所となった。

一方、マハラシュトラ州ムンバイ (旧ボンベイ) の北100kmにあるタラプール3、4号機 (PHWR、各50万kW) が3月8日、初のコンクリート注入が行われ、建設工事に正式に着工した。同3、4号機は、国内初の出力50万kW級の国産設計による中型炉であり、現在、運転中の同1、2号機 (BWR、16万kW×2基) に隣接して建設され、3号機が2005年10月、4号機が2006年7月にそれぞれ臨界に達成する予定である。

このほか、99年12月に臨界したラジャスタン3号機 (PHWR、22万kW) は3月10日に送電を開始、現在3万kWの出力を約1ヵ月かけて22万kWに上げる予定となっている。また、カイガ1号機 (PHWR、22万kW) とラジャスタン4号機 (PHWR、22万kW) は年内には臨界に達する見通し。

なお、99年のインドにおける原子力発電電力量は約130億kWhで、平均設備利用率は79%を記録した。


[米 国]

NYPAの2原子力発電所の入札で、エンタジー社が落札

ニューヨーク電力公社 (NYPA) 理事会は3月28日、同社所有のフィッツ・パトリック原子力発電所 (BWR、82万9000kW) とインディアンポイント3号機 (PWR、102万3000kW) の入札に対し、9億6700万米ドルを提示したエンタジー社への売却を承認した。

落札額の内訳は、発電所本体が6億3600米ドル、燃料関連が1億7100万米ドル、(3)廃炉措置関連が9200万米ドルで、このほかフィッツパトリック発電所の電力をNYPAが購入することに対する見返りとして8年間に総額で6800万米ドルを現金で分割して支払う。

エンタジー社は、アーカンソー・ニュークリア・ワン1、2号機 (PWR、1号機88万3000kW、2号機89万7000kW) 、グランドガルフ原子力発電所 (BWR、130万6000kW) 、リバーベンド原子力発電所 (BWR、100万1000kW) 、ウォーターフォード3号機 (PWR、115万3000kW) 、ピルグリム原子力発電所 (BWR、69万6000kW) などの計6基を所有しており、今回の買収によって全部で8基の原子力発電所を所有することになる。

今回の入札では、NYPAが2月14日、両基を6億3800万米ドルでエンタジー社に売却することで原則合意に達していたが、入札期限直前の2月24日、ドミニオン・リソーシーズ社からエンタジー社と同一条件で6億8600万米ドルの提示があったため、両社に絞り込み再度入札の検討に入っていた。一方、エンタジー社も3月16日、NYPAに対し約10億米ドルという買収額を再提示していた。

なお、ドミニオン・リソーシーズ社は1月28日、コンソリデーテッド・ナチュラル・ガス (CNG) 社との合併を完了し、3月3日には新会社の体制を発表した。新会社は、発電・配電事業を行う国内大手の電力・天然ガス会社となり、ノースアナ1、2号機 (PWR、1号機:94万kW、2号機:94万4000kW) やサリー1、2号機 (PWR、各84万kW) を含む85基の発電所を運営することとなる。また、同社の発電設備容量は合計約2000万kWで、このうち原子力発電設備は360万kWである。


[ドイツ]

CDU、州議会選挙で敗北

2月27日に行われたドイツ北部のシュレスビヒ・ホルシュタイン州議会選挙で、シュレーダー政権の連邦与党、社会民主党 (SPD) が最大野党のキリスト教民主同盟 (CDU) に大差で勝利を収めた。主な政党の得票率はSPDが43%、CDUが35%、自由民主党 (FDP) が8%、緑の党が6%だった。

財政や福祉、失業問題が争点となった昨秋の地方選挙で、SPDが5連敗したこともあり、今回の選挙では、12年ぶりにCDUが政権を奪回するのではとの見方もあった。しかし、昨年末にコール前首相 (CDU) の政治献金スキャンダルが発覚し、CDUの支持率が大きく低下、CDUの政権奪回はならなかった。同州ではSPDが従来通り、緑の党と連立政権を組む方針を固めている。

SPDと緑の党が連立を組む同州では、ハンブルク電力とプロイセンエレクトラ社が共同で所有する3基の原子力発電所、ブルンスビュッテル (BWR、80万6000kW) 、ブロックドルフ (PWR、144万kW) およびクリュンメル (BWR、131万6000kW) が運転中。


[ドイツ他]

ウンターベーザー原子力発電所、BNFL製MOX燃料を取り出し

関西電力の高浜3、4号機に次いで、ドイツのウンターベーザー原子力発電所 (PWR、135万kW) 向けの英原子燃料会社 (BNFL) 製MOX燃料でもデータ改ざんが行われていたことが2月21日、明らかになった。同機を所有・運転するプロイセンエレクトラ社は同24日、BNFLのデータ改ざんは安全性に影響を与えることはないとしながらも、データ改ざんの事実を重く受け止めるとする声明を発表。翌日にはシーメンス社を交えBNFLと協議を行った後、同26日に同機を計画外に停止し、MOX燃料を抜き取った。同機はその後、運転を再開している。

問題のMOX燃料は、96年にセラフィールドにあるBNFLのMOX実証施設 (MDF) から納入された4体で、MDF製のMOX燃料を装荷しているのはドイツ国内では同発電所だけ。改ざんが行われたのは、機械によるMOX燃料ペレットの品質検査に続いて、手作業で行われる2回目の検査で、作業員が既存の記録データを一部流用したもの。

こうした事態を受けて、同機が立地するニーダーザクセン州の環境大臣であるユットナー氏 (緑の党) は、同社は今回の発表以前の99年末にBNFLのデータに不備があることを知っていたにもかかわらず、「安全より利益を優先させた」として、同社の経営姿勢を非難する発言を行った。また、BNFLによると現時点でドイツからのMOX燃料の発注はないが、連邦政府のトリッティン環境大臣 (緑の党) は同社製のMOX燃料の輸入を禁止するなど、過剰な反応を示している。

一方、スイス連邦原子力安全検査局 (HSK) も3月下旬、国内の電力会社に対してBNFLセラフィールド再処理工場への使用済み燃料の輸送を一時、禁止する声明を発表した。スイスでは、ベツナウ原子力発電所で同社製のMOX燃料が装荷されているが、検査データの改ざんが行われたどうかは分かっていない。HSKは、英国の安全当局である原子力施設検査局 (NII) から最新状況について説明を受けるとともに、近く現地を視察し、安全性と放射線管理の現状を確認した上で、輸送禁止を解く方針を示している。さらに、米エネルギー省 (DOE) リチャードソン長官も、BNFLの米国内での受注について懸念を表明し、セラフィールド工場へ調査団を派遣する計画があることを明らかにした。


[スペイン]

スペイン総選挙、与党国民党が勝利

3月12日に行われたスペイン総選挙 (下院) で中道右派の与党、国民党が圧倒的な勝利を収め、アスナール首相が率いる現政権による続投が決まった。同党は定数350議席のうち183議席を獲得し、同党結成以来、初めて単独過半数を制した。国民党の再選が決まったことから、スペインの経済自由化路線は一段と強まる見通し。

また、総選挙のため、中断していた議会でのエネルギー政策案に関する審議も再開されるものと見られている。同法案は、前政権によって98年11月に議会に提出されたもので、原子力発電所の運転認可 (ライセンス) 更新や出力増強計画が盛り込まれている。今回、選挙戦に敗れた社会労働党と統一左翼は、選挙公約に原子力発電所の早期閉鎖を盛り込むなど、反原子力色を強めている。

スペイン電気事業協会 (UNESA) によると、同国の99年の総発電電力量は98年より6.2%増の2082億2300万kWhにのぼり、このうち原子力は過去最高だった前年の590億kWhをわずかに下回る588億5200万kWhを供給し、総発電電力量の28.3%を占めた。原子力以外の電源別シェアは、石炭火力が57% (前回より21.2ポイント増) 、水力が14.7% (同22ポイント減) 。


[スイス]

連邦政府、新原子力法案を公表

連邦政府は3月6日、新原子力法案を公表した。法案には、政府が98年10月に示した方針の通り、再処理禁止や新規原子力発電所建設の是非を問う国民投票の実施などが盛り込まれたが、原子力発電所の運転期間については、今後の審議プロセスの中で運転期限を設けるかどうかを含めて検討するとしている。スイスでは、現在、原子力発電所の運転期間を定めた規則はなく、当局の検査を受けて一定期間の運転継続が認められてきた。

また、低中レベル放射性廃棄物の処理処分方法については、今年2月の専門家委員会の提案を受けて、監視付き回収可能な深地層処分という新しい考え方を取り入れるよう勧告している。このほか、将来は核物質の空輸を禁止する方針が示された。

これに対して、スイス原子力協会 (SVA) は、改正原子力法は政治的な解決策が必要とされる廃棄物政策のみに限り、その他については将来にそなえて制限を設けるべきでないと主張し、再処理の禁止や原子力発電所の運転期限などへの政府の介入を牽制する声明を発表した。

改正原子力法案は、6月中旬まで国民の意見聴取が行われた上で、議会の審議、採決を経て成立する。59年に制定、78年に改正された同法は2000年に効力を失うことから、政府は当初、今年中の成立をめざしていたが、現在の予定では2002年に成立する見通し。

使用済み燃料の集中中間貯蔵、6月に開始予定へ

ビュレンリンゲン中間貯蔵施設 (SWILAG) への初の使用済み燃料搬入が今年6月に、実施されることになった。ライプシュタット原子力発電所からの使用済み燃料搬入を皮切りに、2001年春までに合計6回の輸送が行われる予定。

スイス北部、ビュレンリンゲンにあるZWILAGは最終処分場が開設されるまでの間、あらゆる種類の放射性廃棄物を中間的に貯蔵する目的で96年秋に建設が始まり、一部を除き施設が完成している。ZWILAGでは使用済み燃料の中間貯蔵のほか、国外再処理に伴う返還廃棄物や医療、産業、研究部門から発生する低中レベル廃棄物の中間貯蔵、プラズマ焼却炉による低レベル廃棄物の焼却や前処理が行われる予定。同施設は原子力発電所を持つ電力会社によって建設・運営されている。

なお今回、公表された改正原子力法案では、既存の英仏との再処理契約分には影響を与えないとした上で、再処理禁止 (直接処分) 路線への変更がなされた。最終処分場については、今年2月にまとまった専門家の意見を取り入れ、難航しているウェレンベルクでの建設計画を再開させる意向が示されている。 (3月上旬)


[オランダ]

高等裁、ボルセラ原子力発電所の早期閉鎖を却下

オランダ高等行政裁判所は2月24日、国内で唯一運転中のボルセラ原子力発電所 (PWR、48万1000kW) を2003年末に閉鎖するとした94年の議会決定を違法とする裁定を下した。これは、同機を所有・運転するEPZ社の従業員らが昨年11月に起こした訴訟で、高等裁は議会の決議がオランダの原子力法と矛盾するとした被告の主張を認めた形となった。

同機は、73年に運転を開始した独シーメンス社製PWR。EPZ社は94年8月、同機の運転を継続する手続きを行った上で、2億5000万ドルをかけ総合改善計画を実施した。しかし、これが政治問題に発展し、議会は僅差で2003年末の閉鎖を採決した。

同機は99年、前年の年間発電量を1000万kWh上回る36億kWhを発電し、国内の電力需要の約4%を供給した。稼働率は91.6%で、保守と燃料交換のための計画停止はわずか15日と11時間だった。EPZ社では、こうした好稼働状況をふまえて技術的に可能な限り、同機の運転を継続させる意向を固めている。 (2月24日)


[スウェーデン]

バーセベック1号機閉鎖による電力不足を輸入で手当て

バーセベック1号機を閉鎖したスウェーデンが、不足分の電力をデンマークからの輸入に依存していることが明らかになった。それによると、99年12月から2000年2月までの3ヵ月間に、10億kWhの電力をデンマークなどから輸入。デンマーク側はスウェーデンへ追加輸出するため、ロシアとポーランド産の石炭を火力発電所で合計34万7,000トン燃やした。このため同3ヵ月間のスウェーデンでは、電力輸入が輸出を上回る結果となった。今冬のように気候が温暖な年に同国が電力輸入国となったのは、過去30年間で初めてという。

バーセベック1号機の閉鎖により失われた電力量は、年間約40億kWhになると算定されているが、これを石炭火力等化石燃料で代替すると年間400万トンのCO2を排出すると推定されている。こうした中で、スウェーデン選出のEU環境担当委員が、EU加盟各国にCO2排出量の抑制を強く呼びかけたことから、スウェーデン政府に対する非難の声が国内外から高まっている。 (3月上旬)


[ブルガリア]

コズロドイ1号機、運転再開

補修、燃料再装荷作業等で6ヵ月間運転を停止していたコズロドイ1号機 (VVER、出力44万kW) がこのほど運転を再開した。

同国の規制当局が原子炉圧力容器の点検作業の追加を命じたため、運転停止期間が予定より2ヵ月延長されていた。同発電所では、延長された停止期間中に追加的な改善作業が実施された。

なおEUとの合意により、コズロドイ1,2号機は2002年までに閉鎖されることになっている。 (2月下旬)


[チェコ-イラン]

チェコ、ブシェール原子力発電所への機器供給を禁止へ

チェコ下院は3月7日、イランのブシェール原子力発電所への機器供給を禁止する特別措置法案を可決した。

同法案はZVVS Milevsko社によるチェコ製の換気システムのブシェール発電所への供給を禁止するもので、政府内で3月初めに承認されていた。核不拡散の観点からブシェール発電所建設の中止を要求している米国の主張を受け入れる姿勢を示したものとみられている。同機器供給に係るZVVS社の契約総額は2,850万米ドルであり、同社に対する補償問題について結論は出ていない。なおチェコ上院は補償関係の詳細説明を要求して、同法案を下院に差し戻した。 (3月中旬)


[スロバキア]

モホフチェ2号機、営業運転開始

1983年10月に着工したモホフチェ2号機 (VVER=ロシア型PWR、出力44万kW) が3月23日、営業運転を開始した。同機の運転開始により、スロバキアで運転中の原子力発電所は6基262kWとなった。

同機ではVVER型炉を採用しているが、シーメンス発電事業部・フラマトム社からなるコンソーシアム (Eucom) との共同作業により、安全性を国際的水準まで高めた。主契約社はSKODA社。

同発電所では現在3,4号機が建設中であるが、政府は建設コスト等両機の経済性を理由に、建設継続に難色を示している。

新放射性廃棄物管理プログラムに着手

スロバキアはこのほど、廃棄物処理センターと貯蔵所の試験操業を開始した。

ボフニチェ放射性廃棄物処理センターの建設は、93年にスロバキア電力、独Nukem社らの共同プロジェクトとして開始された。またモホフチェ放射性廃棄物貯蔵所の建設は、IAEAの検討を経て86年に開始された。

同センターは、A-1ボフニチェ原子力発電所の廃炉措置、ボフニチェ1,2号機の運転、研究施設等から生じる液体・固体廃棄物の処理を目的としている。VVER型炉から生じるさまざまな廃棄物の処理が可能。 (3月9日)


[ロシア]

5年以内に建設中の3基の原子力発電所が完成見込み

ロシアの原子力発電所運転会社ロスエネルゴアトムは3月上旬、今後5年間に4億7,000万米ドルを投資して、建設中の3基の原子力発電所を完成させることを明らかにした。

5年以内の完成を目指すのは、進捗率が高いロストフ発電所 (VVER-1000、100万kW) 、カリーニン3号機 (同) 、クルスク5号機 (RBMK-1000、100万kW) の3基で、いずれも1998年に政府承認された2005年までの原子力発電開発計画で、2000年までの完成が予定されていたもの。しかし、今回示された見通しでは、財政難により建設資金の確保が十分ではないため、計画通り2000年中に完成するのはロストフのみで、クルスク5号機は2003年、カリーニン3号機は2004年の完成となっている。

ロスエネルゴアトムでは、これら3基が順次完成することにより、2001年から2004年の間に300億kWhの原子力発電電力量の増加が期待できるとしている。

1999年はウラン、燃料関係の輸出が好調

ロシア原子力省 (MINATOM) の発表によると、1999年はウランや燃料関連の製品ならびにサービスの輸出が好調だったため、20億米ドル以上の売上があった。

MINATOM傘下の原子力関係輸出企業であるTechsnabexport (Tenex) は、ウラン輸出の増加により、同分野での収入が92年の6億米ドルから、99年は16億米ドルへと大幅に増加した。また、同社のロシア国外の原子力発電所向けの燃料集合体の売上も99年は5億米ドルとなった。Tenexは、西側スタイルのビジネス戦術を展開、この10年間で約130億米ドルの売上を記録した。

現在、ロシアは、世界50カ国以上の480企業・組織との間で密接な貿易・経済関係を維持しており、英国、ベルギー、ドイツ、スペイン、イタリア、フランス、フィンランド、スウェーデン、スイス等の電力会社と長期的な納入実績がある。また、EU諸国に対し、同地域内の全ウラン需要の28%を供給、世界的なウラン生産の落ち込みにも係わらず、僅かだがシェアを伸ばしている。

さらに、96年の米露合意のもと、米国は20年間にわたってロシアから500トンの兵器級高濃縮ウランを燃料に加工して購入することを決めており、すでに2000年2月現在で、兵器級高濃縮ウラン51トンから製造した1487トンの低濃縮ウランを1800万米ドルで購入済みである。

また、欧米以外の地域でも、99年5月に韓国との間で原子力の平和利用を含む協力協定に調印。12月には南アフリカに対して原子力関係の輸出を開始している。日本との関係でも、今年初めに東京電力に対して、ロシア製の濃縮ウランの売り込みに成功している。

こうした燃料ビジネス分野での好材料を背景に、MINATOMのアダモフ大臣は、ロシアの原子力産業は来るべき国際競争時代に対応する準備を整えたとし、ロシアの伝統的な市場への西側燃料メーカー参入による競争にも対抗できるとの自信を示すとともに、世界市場で西側メーカーより30%安く燃料を供給できると語っている。


[ウクライナ]

チェルノブイリ発電所、2000年中に閉鎖へ

ウクライナのクチマ大統領は3月30日、チェルノブイリ原子力発電所を2000年12月迄に閉鎖すると公式に発表した。具体的な閉鎖日程については、新たに設置される専門家による特別委員会で審議のうえ、決定されることになった。

チェルノブイリ発電所については、1995年12月のウクライナとG7との了解覚書により、2000年までに4基の原子炉すべてを閉鎖することが合意されており、G7はその代替電源として、建設中のフメルニツキ2号機とロブノ4号機の2基 (ともにVVER-1000=ロシア型PWR、100万kW) を完成させるプロジェクトに対して欧州復興開発銀行 (EBRD) を中心として財政支援を行うことを決定している。

しかし、その後、ウクライナ政府がG7に対して代替発電所完成への支援に加えて求めているチェルノブイリ発電所閉鎖への国際支援や、代替発電所の完成までのつなぎとしての化石燃料への助成金等について合意に達しなかったため、EBRDはウクライナへの財政支援に対する決定を保留した。これに対してクチマ大統領は不満を表明、支援実行が約束されなければ、チェルノブイリ発電所を閉鎖することはできないとの立場をとり、閉鎖の正式決定を回避していた。

チェルノブイリ原子力発電所では現在、4基ある原子炉のうち、3号機 (RBMK:黒鉛減速軽水冷却炉、100万kW) だけが運転を続けている。同機は99年7月1日から運転を継続するために最小限の安全性改善対策が施され、11月26日に国家原子力規制局 (SNRA) から1サイクル分、全出力換算200日間までの運転認可を受けて運転を行っている。


[IAEA]

世界の原子力発電所の運転・建設状況を発表

国際原子力機関 (IAEA) は3月6日、同機関の発電炉情報システム (PRIS) への各国からの報告をもとに、1999年末現在の世界で運転中の原子力発電所は436基、総設備容量 (ネット、以下同じ) は3億5171万8000kWであるとする、調査結果を公表した。

それによると、99年中に新たに送電を開始した発電所はフランス、インド、韓国、スロバキアの各1基の合計4基・270万kWであった。また、同期間中に新たに建設が開始されたのは、日本2基、韓国2基、台湾2基、中国1基の合計7基で、これにより建設中は38基となった。

99年中の総発電電力量に占める原子力発電の割合が高い上位10カ国は、フランス75.0% (発電電力量3750億kWh、以下同じ) 、リトアニア73.1% (98億6000万kWh) 、ベルギー57.7% (466億kWh) 、ブルガリア47.1% (145億3000万kWh) 、スロバキア47.0% (131億2000万kWh) 、スウェーデン46.8% (701億kWh) 、ウクライナ43.8% (673億5000万kWh) 、韓国42.8% (978億2000万kWh) 、ハンガリー38.3% (141億kWh) 、アルメニア36.4% (20億8000万kWh) であった。さらに、原子力発電の割合が4分の1以上だったのは18カ国・地域であった。

99年中の世界の総原子力発電電力量は2兆3946億3000万kWhで、99年末時点での運転経験は、約9414炉・年であった。(IAEAの集計では、送電開始をもって運転中としている。したがって日本の「もんじゅ」は運転中として分類されている。)


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