[諸外国における原子力発電開発の動向]
主なできごと (2000年6月中旬〜7月中旬)

英国-カナダ:BE社、OPG社とブルース発電所のリースで合意

−BE 社、米国に続きカナダにも事業展開へ

オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は7月11日、ブルース発電所(A1〜4号機:CANDU、各90.4万kW:96〜98年から休止中、B5〜8号機:CANDU、各84万kW:運転中)を、英国のブリティッシュ・エナジー(BE)社が設立したブルース・パワー・パートナーシップ(BPP)社にリースすることで合意したと発表した。

ブルース発電所を運転することになるBPP社は、BE社の100%子会社であるBEカナダ社の子会社になるが、ブルース発電所の電力労働組合ならびにエネルギー専門家協会の2労働組合から5%の出資を受け入れることになっている。

合意では、BPP社がOPG社からブルース発電所の設備を2018年までリースすることに加え、同発電所に貯蔵されている燃料在庫を含む資材を買い取ることが含まれている。またオプションとして、リース期間はさらに25年間延長が可能となっている。

BPP社はリース料金としてOPG社に対し、頭金として6億2500万カナダドル(燃料在庫等の取得費:5億4000万カナダドル、他の資産の取得費:8500万カナダドル。1カナダドルは約0.7米ドル)を3回に分けて2002年までに支払うほか、リース期間中は毎年、基本料金に加えて買電収入に応じた料金、使用済み燃料処理に関する経費等を支払うことになる。

現在、OPG社のもとでブルース発電所で勤務している約3500名の従業員は、廃棄物処理ならびに本社直属の原子力運転支援サービス要員以外、すべてBPP社により雇用が継続される。

正式な契約の完了には、カナダ連邦政府の規制当局であるカナダ原子力安全委員会(CNSC)とブルース発電所の立地するオンタリオ州エネルギー局(OEB)による承認が必要であり、2001年の夏頃になる見込み。

OPG社によると、ブルース(B)発電所の99年末時点での売買による年間売上額は約9億カナダドルで、経費や負債の返済を差し引いた後の利益は約3億5000カナダドルであった。

ブルース発電所では現在、A1〜4号機の4基が経済性を理由に運転が休止されているが、BPP社はこの内の2基の運転を再開する意向を持っており、早急にエンジニアリング面と規制面での調査に着手し、技術的・商業的に可能かどうかについての結論を得たいとしている。

オンタリオ州内の電気事業を2000年までに完全自由化することを定めた、オンタリオ州エネルギー競争法が99年4月1日に発効したのを受け、同州で電気事業を独占してきたオンタリオ・ハイドロ(OH)社は、同社の発電部門を引き継いだOPG社を含め、4つに分割された。同法はOPG社に対して、OH社より引き継いだ発電設備を、第一段階として2000年11月の市場開放後42カ月以内に他の事業者に最低400万kWを委譲し、さらに10年以内に市場占有率をオンタリオ州の全需要量の35%以下に減らすことを要求している。これを受けて、OPG社は99年末、ブルース発電所を委譲する意向を表明、その後も、関係者との話し合いが進展していることを明らかにしていた。

BE社は英国最大の発電事業者で、同国内で15基、米国内でペコ・エナジー社との合弁会社のアメージェン・エナジー社を通して2基(他に4基の買収合意済み)の原子力発電所を所有、運転を行っている。


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