[諸外国における原子力発電開発の動向]
主なできごと (2000年7月中旬〜8月中旬)

米国:エンタジー社、FPLグループと合併を表明

−国内最大、原子力発電規模で2番目

ロリダ・パワー・ライト(FPL)グループとエンタジー社は7月31日、対等合併することで原則合意したと発表した。合併後の統合資産は270億ドルとなる。

フロリダ・パワー・ライト(FPL)グループとエンタジー社は7月31日、対等合併することで原則合意したと発表した。合併後の統合資産は270億ドルとなる。

新会社は、米国南東部の州を中心に630万の顧客を抱える国内最大の電力会社となる。総発電設備容量は4800万kWで、この内1000万kWが原子力発電設備。PECOエナジー社とユニコム社の合併によってできるエクセロン社(19基、1948万9000kW)に次いで国内第2位の原子力発電会社が誕生することになった。合併後の新会社は下記の10基の原子炉を所有する。なお、エンタジー社はニューヨーク電力公社(NYPA)からジェームス・A・フィッツパトリック原子力発電所(BWR、82万9000kW)とインディアンポイント3号機(PWR、102万3000kW)の買収を予定している。

FPL グループ所有:
  • ターキーポイント3機 (PWR、72万6,000kW)
  • 同4機 (PWR、72万6,000kW)
  • セントルーシー1機 (PWR、87万2,000kW)
  • 同2機 (PWR、88万2,000kW)
エンタジー社所有:
  • アーカンソー・ニュークリアワン1号機(PWR、88万3000kW)
  • 同2号機(PWR、89万7000kW)
  • グランドガルフ1号機(BWR、130万6000kW)
  • ピルグリム1号機(BWR、69万6000kW)
  • リバーベンド1号機(BWR、100万1000kW)
  • ウオーターフォード3号機(PWR、115万3000kW)

新会社の本社はFPLグループの本拠地フロリダ州ジュノビーチに移転、その配下にある電力グループの本部はエンタジー社の本拠地ルイジアナ州ニューオリンズに置かれる予定である。両社は今後15ヵ月以内に合併手続きを完了させる。

エンタジー社の概要

エンタジー社は、発電、配電、その他の関連サービスを提供する世界的なエネルギー企業である。同社は、国内外に3000万kWの発電設備を所有、管理、投資しており、アーカンソー、ルイジアナ、ミシシッピ、テキサスの約250万の需要家に送電している。また、卸売り事業も展開している。本社の所在地は米国ルイジアナ州ニューオリンズ。なお、同社の売上は114億9000万米ドル(1998年)、資産総額は228億米ドル(1998年)。

複数の電力会社の持株会社であるエンタジー社は、現在、6基の原子力発電所を所有・運転しており、米国でもトップクラスのパフォーマンス(発電実績)と設備利用率を誇っている。同社の子会社であるエンタジー・ニュークリア(ENI)社は経営サービスの販売と原子力発電所の買収を積極的に行っており、現在、ニューヨーク電力公社のフィッツパトリック発電所(BWR、82万9000kW)とインディアンポイント3号機(PWR、102万3000kW)の買収が最終段階に入っている。

エンタジー社は今後も原子力発電事業に重点を置き、同社の新たな成長戦略の柱としている。同社は原子力発電の設備容量では、コモンウェルス・エジソン(ComEd)社、アメ−ジェン社、デューク・パワー社についで4番目。なお、同社は2000年から2004年までに5〜8基の原子力発電所を買収する計画をたてている。

エンタジー社の最近の主な動き
ピルグリム原子力発電所(ボストン・エジソン社から買収済み)
1998年11月:同発電所を競争入札で落札
1999年5月:NRC、同発電所の運転認可の移転を承認
1999年7月:同発電所の買収完了
アーカンソーニュークリア・ワン1号機
1999年1月:運転認可更新(20年延長)を表明
2000年2月:運転認可更新(20年延長)をNRCに申請
フィッツパトリック原子力発電所(ニューヨーク電力公社所有)
インディアンポイント原子力発電所(ニューヨーク電力公社所有)
1999年11月:同発電所の買収交渉を開始
2000年2月:同発電所の買収で原則合意
2000年3月:同発電所を競争入札で落札

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