[諸外国における原子力発電開発の動向] 主なできごと (2000年8月中旬〜9月中旬) top

英ナショナル・グリッド・グループ、米ナイアガラ・モホーク社を買収へ

−米国での事業規模は2倍に拡大

英ナショナル・グリッド・グループ(NGG)は9月5日、米ナイアガラ・モホーク(NiMo)社を買収することを発表した。NGGはNiMo社を30億ドルで買収するとしているが、NiMo社の59億ドルの負債も引き継ぐことになる。買収後は米国内の子会社を合計して顧客数(330万)で全米9位の電力会社となる。NiMo社の買収は2001年の後半までに完了する見通しで、米国北東部において最も広範囲の送電網を所有、運営することになる。

NGGは米子会社のナショナル・グリッドUSA社を通じて、ミルストン3号機(PWR、120万9000kW)の16.2%、シーブルック原子力発電所(PWR、120万kW)の約10%、バーモントヤンキー原子力発電所(BWR、54万kW)の20%−−をそれぞれ所有している。すでに、ミルストン3号機はドミニオン・リソーシーズ社に、バーモントヤンキー発電所はアメージェン社に売却が決定しており、シーブルック発電所も近く競争入札で売却予定となっており、ナショナル・グリッドUSA社はこの3基の原子力発電所の所有権を手放すことになる。

一方、NiMo社も現在、100%所有のナインマイルポイント1号機(BWR、63万5000kW)と41%所有の同2号機(BWR、116万9000kW)を競争入札で売却する予定である。同社はNGGとの合併が完了する予定の2001年後半までに同発電所の売却を済ませたいと考えている。

NGGは世界最大の独立系送電事業者で、英国でも上位50社の中に入っている大手企業。すでにNGGは今年、米国のニューイングランド・エレクトリック・システム(NEES)社とイースタン・ユーティリティーズ・アソシエーツ(EUA)社の買収を完了しており、NiMo社の買収を完了すれば、米国企業の買収としては3社目となる(以下の年表参照)。

1998年12月NGG、NEES社を32億ドルで買収することに合意。
1999年02月NEES社、EUA社を6億3400万ドルで買収することに合意。
2000年03月NGG、NEES社の買収を完了(NEES社はナショナル・グリッドUSA社に社名変更)。
2000年04月NGG、EUA社の買収を完了。
2000年09月NGG、NiMo社を30億ドルで取得することを表明。

NGGは、米国の電気事業の再編・規制緩和によってNEES社とEUA社の買収が可能となり、米国での事業拡大の足がかりとなった。さらにNiMo社の買収が完了すると、NGGは利益と顧客がこれまでの2倍となる見込んでいる。

なお、NGGはNiMo社の買収が完了した時点、新しく設立される持ち株会社であるニュー・ナショナル・グリッド(NNG)社の100%子会社となる。NNG社は子会社のナショナル・グリッドUSA社のもとで米国での事業を行う。

NiMo社は、ニューヨーク州で第2位従業員が7600名の投資家所有のエネルギー企業である。同社はニューヨーク州北部を中心に150万の顧客に電力を供給し、同州東部、中部、北部では54万の顧客に天然ガスを配給している。


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