[諸外国における原子力発電開発の動向] 最近の動き (2000年8月中旬〜9月中旬) top

[中 国]

田湾2号機、着工

田湾2号機(PWR、100万kW)の建設工事が9月20日、正式にスタートし、2005年の運転開始を目指すこととなった。すでに同1号機(ロシア製PWR=VVER−1000型炉、100万kW)は1999年10月20日に着工しており、2号機より1年早い2004年に運転開始の予定。

田湾1、2号機は同サイトの第1期工事で、2号機が着工したことにより、中国の第9次五ヵ年計画(1996年−2000年)で予定されていた浙江省・秦山U、同秦山V、広東省・嶺澳、江蘇省・田湾の4サイト8基の原子力発電所がすべて着工したことになる。

最終的に田湾サイトには、第10次五ヵ年計画以降に基数が追加され、全部で6〜8基となり(炉型は未定)、発電設備容量が1000万kW近くになる見通しである。なお、田湾1号機の進捗状況は、原子炉建屋の底板、循環冷却水ポンプ室、格納容器の第一層のコンクリート打ち込みなどが完了している。


[韓 国]

韓国電力公社、古里5、6号機の建設を決定

韓国電力公社(KEPCO)は8月29日、取締役会で古里サイトに新たに2基増設することを承認した。また、KEPCOは加圧水型(PWR)の韓国標準型炉(KSNP)を採用することも決定した。なお、すでにKSNPは、運転中の蔚珍3、4号機、建設中の蔚珍5、6号機、霊光5、6号機などに採用されており、今回の決定で計8基となる。

韓国では現在、霊光、古里、蔚珍、月城などの4サイトに16基の原子力発電所が運転中である。建設中の原子力発電所は、2002年に完成予定の霊光5、6号機、2004年と2005年に完成予定のる蔚珍5、6号機−−計4基。

現行の原子力開発長期計画では、2015年までに新たに10基の原子力発電所を増設する一方で、古里1号機と月城1号機を2008年と2013年にそれぞれ閉鎖する予定になっており、2015年時点では28基となる。

1999年12月末現在の韓国の原子力発電設備は1371万6000kWで昨年1年間の原子力発電電力量は1031億kWhを記録、総発電電力量の43.1%を占めた。電力消費量は前年比で11.2%増加した。


[台 湾]

第四(龍門)原発計画再評価委員会、最終報告書を発表

第四原子力発電所(ABWR、135万kW)の計画再評価委員会は9月16日、同発電所の建設続行の是非について採決を行い、建設続行を反対する委員は9名、賛成の委員が6名、林部長を含めた3名の委員は態度を保留した。同委員会の座長である林信義・経済部長(経済相)は推進派と反対派の双方の意見を検討し、9月末に同発電所の建設続行の是非を行政院に提議する模様。

しかし、前政権で国防部長(国防相)を務めた国民党員である唐飛・行政院長(首相)は同18日、同発電所の建設問題について建設続行の姿勢を改めて示唆、建設が中止されれば行政院長を退任する意向を表明した。

一方、与党・民進党の呉乃仁・秘書長は同11日、同党は従来通り同発電所の建設に反対するとの立場を表明している。また、陳水扁・総統も第四発電所が建設されなくとも性急な電力不足は生じないと表明しており、最終的には総統自身が決断をする可能性もある。


[米 国]

NRC、20基の原子力発電所のエクセロン社への運転認可移転を承認

米原子力規制委員会(NRC)は8月4日、コモンウェルス・エジソン(Com Ed)社とPECOエナジー社が所有する20基の原子力発電所のエクセロン社への運転認可の移転を承認した。エクセロン社はCom Ed社とPECOエナジー社が合併して誕生することになっている新会社。

Com Ed社とPECOエナジー社は99年12月、原子力発電所20基の運転認可移転をNRCに申請しており、NRCは運転認可移転を承認するにあたり、廃炉信託基金、保険料、エクセロン社の技術的・財政的能力などを検討した。


[英 国]

BNFL、1999/2000会計年度の決算を発表

BNFLは9月14日、1999/2000会計年度(1999年4月〜2000年3月)の決算を発表し、同社の税引き前損失(特別支出差し引き後)が3億3700万ポンドに上ることを明らかにした。同社は、98/99会計年度には2億1800万ポンドの税引き前利益(特別支出差し引き後)を上げていた。セラフィールドMOX加工施設でのデータ改ざん問題の発覚に端を発した、信用の失墜、部分自由化計画の延期、経営陣の一新、などが影響し大きな損失をこうむる形となった。

総売上高は20億6400万ポンド(前年度比32%増)に達したものの、MOX燃料データ改ざん問題にかかわる補償、ヒンクリーポイントA発電所の早期閉鎖に伴う臨時出費、およびデコミッショニング・プロジェクトの評価ミスによる損失などで4億1100万ポンドの特別支出を計上。この特別支出を差し引く前の税引き前利益は7400万ポンドと、前年度の1億6100万ポンドを大きく下回る(54%減)結果となった。

BNFLのH.コラム会長は、「短期的な見通しは厳しいが、核関連施設除染事業への期待や、原子力発電への関心の高まり、といった市場環境の変化はBNFLに有利に傾いており、過去数カ月に実施したさまざまな改善策が実を結ぶ。長期的にも改善策が功を奏し、これまで蓄積してきた専門技術とあいまって、必ずやBNFLを軌道に乗せる」との見方を示している。


[フランス−ドイツ]

EC、フラマトム・シーメンス社合弁企業の詳細審査を開始

欧州委員会(EC)は8月中旬、フランスのフラマトム社とドイツのシーメンス社が両社の原子力部門を統合して設立するフラマトム・アドバンスト・ニュークリア・パワー(ANP)社について、独占禁止当局による詳細な調査に着手したことを明らかにした。調査は、4カ月かけて行われ、年内にも結論が出される見通し。

両社は昨年末、世界的な原子力企業の再編の動きに呼応して、双方の原子力部門を統合、強化することで基本合意した。今年7月にはフラマトム社が66%、シーメンス社が34%を出資して、新会社フラマトムANP社を設立することで最終合意に達した。両社がこれまでに供給した原子炉は、運転中の世界の原子力発電所の約2割にあたり、新会社が誕生すると世界最大の原子炉メーカーとなる。統合後の従業員数は1万3500人、年間売上は約30億ユーロ(約3200億円)が見込まれている。

ECは当初、新会社が欧州連合(EU)の原子力市場でかなりのシェアを占めることに懸念を示し、とくに燃料集合体と計装制御システムの設計・製造、原子力発電所機器の交換・据付事業がその影響を受ける恐れがあるとの見解を示していた。ただ、両社は、90年に欧州加圧水型炉(EPR)開発にむけてニュークリア・パワー・インターナショナル(NPI)社を設立するなど、これまでにも共同事業の実績があることから、独占禁止の点からみても問題ないとの見方が強い。

フランス政府はこの新会社の正式発足を待って、フラマトム社の株式問題や経営戦略について基本方針を打ち出す意向を固めている。フラマトム社の株主構成は、昨年末、通信会社アルカテル社とフランス核燃料公社(COGEMA)間で株式譲渡が行われた結果、34%のCOGEMAをはじめ政府系が全体の約8割を占めることになった。通信部門への特化をめざすアルカテル社は、残りのフラマトム株(約8%)も2001年末までに手放す方針で、政府はこれを市場に放出するか、政府系企業が買い取るかの選択を迫られている。こうした中で、フラマトム社の事業の一方の柱であるコネクター部門の運営についても検討の対象として浮上してきた。同社は98年10月、ベルグ・エレクトロニクス社を買収、これにより子会社のフラマトム・コネクターズ・インターナショナル(FCI)社は世界第2位のコネクター会社に成長した。42億ユーロ(約4100億円)を超えた99年のフラマトム・グループ総売上は、同社の原子力・エネルギー部門とFCI社がほぼ均等に支えている。


[ドイツ]

シーメンス社、ハナウMOX加工施設をロシアへ輸出

ドイツ連邦政府は、ヘッセン州にあるハナウMOX燃料加工施設の機器をロシアへ輸出するというシーメンス社の申請を審査している。これは、解体核兵器から生じる余剰プルトニウムを民生利用する国際プロジェクトの一環で、95年に建設中止となったハナウ工場の主要機器をロシアに輸出し、現地で余剰プルトニウムを用いて原子力発電所向けMOX燃料を製造するのがねらい。ロシアは9月1日に米国との間で結んだプルトニウム処分協定で、34トンの解体プルトニウムを2007年から15年間かけて処理する義務が課せられた。

シーメンス社は95年7月、反原子力政策をかかげるヘッセン州政府(社会民主党と緑の党の連立政権)の下で操業認可を得る可能性は低いと判断し、9割方完成していたハナウ工場の操業を断念した。当時、同州の原子力規制を所管していたのが、現政権で外務大臣を務めるフィッシャー氏。今回の対ロ輸出について、緑の党はプルトニウム利用反対の立場から強く反対しているが、国際的な核兵器解体プロジェクトに組み込まれた案件を阻止することは難しいと見られている。現在、行われている輸出審査に先立ち、シーメンス社の打診を受けたシュレーダー首相は8月末、対ロ輸出は安全上、外交上とも問題ないとの考えを表明している。(9月中旬)


[スイス]

新エネルギー課税とミューレベルク早期閉鎖求める直接投票が却下

9月24日に実施された3つのエネルギー税導入に関する国民投票は、いずれも否決された。また、同日にベルン州で行われたミューレベルク原子力発電所(BWR、37万2000kW)の早期閉鎖の是非を問う住民投票では、3分の2が同機の運転継続を支持する結果となり、2002年の早期閉鎖は回避された。

国民投票にかけられたエネルギー税はいずれも、再生不可能な電源に電気料金の形で課徴し、再生可能エネルギーの開発費用に充当するのがねらい。ひとつは、kWhあたり0.5サンチーム(約30銭)を20年間にわたり徴収し、太陽光発電開発や再生可能エネルギーの効率化に関わる研究開発に充てるというもので、「太陽光イニシアチブ」と呼ばれている。この提案には、最も多い68%の反対票が投じられた。もうひとつは、kWhあたり0.3サンチーム(約18銭)を15年間にわたって徴収し、すべての再生可能エネルギーに対して開発補助を与えるというもの。これは「太陽イニシアチブ」の代替案として、スイス政府として最も支持していた発議だったが、53.4%の反対により否決された。最後は、kWhあたり最高で2サンチーム(約1円20銭)を課すという案で、55.4%が反対した。

ミューレベルク原子力発電所のあるベルン州で行われた住民投票は、スイス政府が98年に同機の運転ライセンスを2012年まで更新したことを受けて、2002年の早期閉鎖を求める反対派の発議により実施された。早期閉鎖に対して反対が64%、賛成が36%という投票結果となった。原子力発電所の早期閉鎖について住民が直接投票の形で審判を下したのは、欧州ではこれが初めてのケース。

今回のエネルギー税導入に対する投票結果は、増税に共通した一般的な国民の拒絶反応と受けとめられている。電力関係者は発電コストの高騰につながる課税が否決されたことに安堵しながらも、二酸化炭素排出防止に貢献する原子力を課税対象にしようとする政府の差別的な考えに大きな不満を募らせている。また、ミューレベルク原子力発電所に関する投票結果については、同機の所有・運転者であるBKWエネルギー社をはじめスイス原子力協会(SVA)、欧州原子力産業連合(FORATOM)などが住民の冷静な判断を歓迎するコメントを発表し、同機の早期閉鎖は一部の反対派による極論との見方を示した。

アルプス山系を抱えるスイスは、水力が重要な電源として総発電電力量の約6割を占めている。一方、原子力はミューレベルクをはじめ5基の原子力発電所によって、水力に次ぐ35%の電力を供給。昨年1年間は約235億kWhを発電し、平均稼働率は約85%だった。


[スウェーデン]

ペーション首相、バーセベック2号機の閉鎖を当面見送り

G.ペーション首相は9月19日、バーセベック2号機の早期閉鎖計画の延期を発表した。これは首相が議会の所信表明で明らかにしたもので、「バーセベック2号機は、97年に議会で定めた条件をクリアした時点で閉鎖する」としている。同首相は、連立政権を形成する3党(社会民主党、左翼党、中央党)が、2001年7月1日までとされたバーセベック2号機閉鎖の期限を延期することで合意に達したことを受け、議会で延期を発表したもの。

97年に3党は「省エネ、非化石燃料発電等で年間40億kWhの電力損失がまかなわれた場合のみ、2号機を閉鎖する」との閉鎖条件を定めており、今回の決定はそれを順守する形となった。首相は新たな閉鎖期限に関する言及は避けたが、2002年秋の総選挙前に同2号機の閉鎖に関し何らかの決定が下されるとの見方が一般的だ。


[フィンランド]

商工相、Fortum社監査役会長を批判

フィンランドのS.モンカレ商工相は8月、新規原子力発電所の建設に疑問を投げかける発言をしたFortum社の監査役会長K.アールストローム氏を強く批判するコメントを発表した。アールストローム氏はフィンランド日刊紙との会見で「北欧電力市場の自由化により電力輸入が容易な上、電力価格も下落した。こうした状況下では5基目の新規原子力発電所への投資は利益を伴わない」と、新規立地に否定的な考えを明らかにしていた。

商工相はコメントの中で、「5基目の建設問題はFortum社のみで判断できるものではなく、Fortum社は大株主である政府の意向を尊重する必要がある」との考えを示した。

同国産業界では、新規原発建設に対する姿勢が分かれている。一方で与党社会民主党内では原子力推進派が勢いを増しており、それがアールストローム氏の発言に対する商工相の迅速な批判に表れたものとの見方が出ている。

なおFortum社は8月30日、「技術・経済・環境面に考慮し、今後も原子力発電を重視していく」との声明を発表した。


[チ ェ コ]

オーストリア、テメリン発電所の安全問題楯にチェコのEU加盟を阻止へ

オーストリアのシュッセル首相は8月29日、「テメリン発電所が国際的安全基準を満たさない限り、チェコのEU加盟に同意できない」との声明を発表、チェコのEU加盟に拒否権を行使する意向を明らかにした。これに対し、チェコ側は一斉に反発。テメリン原子力発電所をめぐる両国間の争いは一気に過熱している。

チェコのハベル大統領はテメリン発電所建設計画に否定的であったが、EU加盟とテメリン発電所を結びつけるオーストリアの姿勢を痛烈に批判、「加盟国が原子力発電所を運転してはいけないという条項はEU協定にない」と指摘した。

チェコ議会議長のクラウス前首相も「恥ずべき行為」とオーストリアを非難。カバン外相も「テメリン発電所がEUの加盟条件に影響を与えるものではない」とした上で、「同発電所の安全基準はEU諸国と同等なもの」と強調した。

テメリン発電所はSKODA社製VVER-1000型炉(ロシア型PWR)2基からなり、出力は各97万2000kW。1号機は今秋には送電を開始する予定。

欧州議会、テメリン起動に懸念を表明

欧州議会は9月7日、緊急討議を行い、起動間近のテメリン1号機に関し「深い懸念」を表明した。討議後に採択された議会決定は、「チェコ政府は十分な環境影響調査(EIA)を実施せずに、テメリン1号機の試運転を許可した」とした上で、チェコ政府に対し、テメリン発電所の送電を開始する前に十分なEIA手順を踏むよう要請した。また、「国際的な原子力安全基準を満たしていることを証明する十分な情報を公表するよう求めた。

しかし欧州議会内部でも意見は分かれており、英国のG.アダム議員は「議会決定はナンセンス。チェコは求められるあらゆるEIAを実施している」と反発し、チェコがIAEAから指示された12の改善項目を全て実施していることを指摘した。一方で同議員は「欧州議会はテメリン問題をチェコのEU加盟と結び付けてはいない」との見解を示した。

テメリン1、2号機が営業運転を開始すると、チェコ国内の複数の火力発電所が閉鎖される予定で、年間1200万トンのCO2排出を抑制できるとみられている。また、テメリン1、2号機が戦列に加わると、同国の総発電電力量に占める原子力のシェアは40%――99年の原子力シェアは20.8%――に達する見込み。


[ハンガリー]

パクシュ3、4号機、運転認可を更新

ハンガリー原子力規制当局はこのほど、パクシュ原子力発電所3,4号機の10年間の運転認可更新を承認した。同規制当局は「さらなる安全対策」として、機器の改良や訓練プログラムの強化等を挙げているが、いずれも2002年までには着手されることになっている。

パクシュ発電所はVVER-440型炉(ロシア型PWR、出力46万kW)4基で構成されている。いずれも1980年代に運転を開始し、同国の総発電電力量の4割以上をまかなっている。IAEAの安全指針に沿った安全性解析も実施しており、改良作業が進展すれば、安全面で同年代の西側諸国炉と同水準になると言われている。(9月6日)


[南アフリカ]

RBMK開発プロジェクト、米PECOエナジーも参加へ

南アフリカ電力庁(Eskom)は8月31日、米国に拠点を置く電力会社のPECOエナジー社が、Eskomのペブルベッド・モジュール高温ガス炉(PBMR)開発計画への出資に合意したと発表した。PECOエナジー社が参加するのは、PBMR計画の第一段階で、詳細フィージビリティスタディ(FS)、環境影響調査(EIA)、一般公衆からの意見聴取手続きなどが含まれており、出資額はおよそ750万米ドルで、10%のシェアとなる。今年6月には英国原子燃料会社(BNFL)の参加(シェア20%)が決まっている

Eskomは、パートナーである南アフリカ国営開発金融機関のインダストリアル・ディベロップメント社(IDC)とあわせて50%程度出資し、残りを外部から調達する意向を示しており、内外の投資家に対して参加を募っていた。

PECOエナジー社は原子力、水力、火力等、926万1,000kWの発電設備を持ち、ペンシルベニア州南西部の150万世帯に電力を供給するとともに、傘下のパワーティーム社を通して、米国47州とカナダに対して電力の卸売りも行っている。

PBMRはペブルベッド高温ガス炉(HTGR)技術と高効率密閉サイクル・ガスタービンとを組み合わせた固有安全性を備えた電気出力10万kWクラスの小型高温ガス炉で、輸出も視野に入れた次世代発電炉として、Eskomにより1993年から検討が進められてきた。そして、98年には正式に建設計画がスタートし、EIAが開始。今年4月には政府からFSの実施承認を得ている。

Eskomによると、2001年後半頃には第一段階の作業が終了、FSの結果に対する出資者の承認ならびにEIAの結果に対する政府の承認と規制当局からの許認可発給を受けて、実証炉の建設準備作業を開始できるとしている。建設の完了と初臨界は建設開始の3年後の予定。


[欧 州]

EC、ウクライナに対し2基の原発完成への融資決定

欧州委員会(EC)は9月6日、ウクライナに対して、今年末に閉鎖されるチェルノブイリ原子力発電所閉鎖替電源として、建設中の2基の原子力発電所完成への融資計画を承認した。融資計画はパッテン外務担当委員が提出したもので、総額は15億米ドルにおよぶ見通し。計画では、ユーラトムからの融資を中心にして、補助的に欧州復興開発銀行(EBRD)の資金を加えて対応することを考えており、今後、加盟各国に対して資金拠出を求めていくことにしている。EBRDでは、拠出を2億米ドル程度とする方向で検討が進められている。

G7とウクライナは1995年12月、チェルノブイリ発電所を2000年までに閉鎖する見返りにG7が代替電源確保のための資金援助を行うとする了解覚書に調印。ウクライナは代替電源として、建設中のフメルニツキ2号機とロブノ4号機の2基(ともにVVER-1000=ロシア型PWR、100万kW)の原子力発電所の完成を主張、G7側もこれに大筋で同意した。

チェルノブイリ原子力発電所では現在、4基ある原子炉のうち、3号機(RBMK:黒鉛減速軽水冷却炉、100万kW)だけが運転を続けているが、ウクライナのクチマ大統領は6月5日、同発電所を今年12月15日に閉鎖することを正式に発表している。

ECはまた、ロシアが求めている、建設中のカリーニン3号機(VVER-1000、100万kW)の完成へのユーラトムからの融資についても、ロシアが代わりに少なくとも1基の旧型原子力発電所を閉鎖することに合意すれば、前向きに検討したいとしている。


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