[諸外国における原子力発電開発の動向]
最近の動き (2000年10月中旬〜11月中旬)
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[インド]

ラジャスタン4号機が初臨界

ラジャスタン4号機(PHWR=加圧型重水炉、22万kW)が11月3日、初臨界に達した。インド国内では14番目の原子力発電所となる同機は、ニューデリーの南西約400kmに位置しており、同じサイトには6月1日に営業運転を開始したばかりの同3号機(同)もある。

ラジャスタン4号機は、3号機と同じく、原子炉格納容器が二重構造となっており、2つの緊急用停止システムおよび改良した非常用炉心冷却システムが備えられている。また、インド原子力発電公社(NPCIL)と原子力省(DOE)が開発したコンピュータ管理・監視システムも完備している。

インドは今年に入り、カイガ2号機(PHWR、22万kW)が3月5日、ラジャスタン3号機が6月1日に相次いで営業運転を開始しており、10月12日に送電を開始したカイガ1号機(同)と今回、初臨界に達したラジャスタン4号機が営業運転を開始すると、国内の原子力発電設備容量は272万kWとなる。また、タラプール3、4号機(PHWR、各50万kW)が3月8日に着工しており、3号機は2005年10月、4号機は2006年7月にそれぞれ臨界の予定。

このほかインドは、ロシアと協力してインド南部のタミール州クダンクラムに大型原子力発電所(VVER=ロシア製PWR、100万kW)2基を建設するプロジェクトを進めており、2001年4月に着工の予定。1号機は2006年、2号機は2007年の初臨界を見込んでいる。


[米 国]

パリセード発電所の運転をNMC社に移管

コンシュマーズ・エナジー(CE)社の取締役会は11月9日、同社所有のパリセード原子力発電所(PWR、78万kW)の運転を、2001年にニュークリア・マネージメント(NMC)社に移管することで合意した。CE社は近く、同機の運転認可移転の申請を原子力規制委員会(NRC)に提出する予定。

NMC社は1999年2月、米中西部を供給基盤とするアライアント・エナジー社、ノザンステーツ・パワー(NSP)社、ウィスコンシン・パブリック・サービス(WPS)社、ウィスコンシン・エレクトリック・パワー(WEPCO)社などの4電力会社が共同で原子力発電所の運転管理を行うことを目的に設立された。

NMC社は現在、キウォーニ発電所(PWR、56万3000kW)、ポイントビーチ1、2号機(PWR、50万9000kW2基)、モンティセロ発電所(BWR、56万9000kW)、プレーリーアイランド1、2号機(PWR、56万kW2基)、デュアン・アーノルド発電所(BWR、56万5000kW)−−5サイト・7基の原子力発電所を運転管理している。

ファースト・エネジー社、GPU社を買収へ

ファースト・エナジー社とGPU社の取締役会は11月9日、ファースト・エナジー社が現金と株式あわせて45億ドルでGPU社を買収することを承認した。両社が合併すると、全米6位の投資家所有電力会社(IOU)が誕生することになる。

ファースト・エナジー社は1997年、オハイオ・エジソン社とセンタリア・エナジー社が合併して設立、ビーバーバレー1、2号機(PWR、89万1000kW2基)、デービスベッセ(PWR、91万5000kW)、ペリー(BWR、125万kW)−−の4基の原子力発電所を所有している。一方、GPUはすでに、スリーマイルアイランド1号機(PWR、87万2000kW)とオイスタークリーク発電所(BWR、65万kW)をアメージェン社に売却済み。

エンタジー社、インディアンポイント3号機に続き、1、2号機も買収へ

エンタジー社は、インディアンポイント1号機(1974年閉鎖)・2号機(PWR、97万5000kW)と同サイト内にあるガス火力タービン3基(合計容量5万kW)−−をコンソリデーデット・エジソン(ConEd)社から5億200万ドルで買収すると発表した。エンタジー社は今年2月に同3号機(PWR、102万3000kW)とフィッツ・パトリック発電所(BWR、82万9000kW)をニューヨーク電力公社(NYPA)から買収することで合意している。

今回の合意内容によると、買収額には燃料費の1億ドルも含まれているほか、ConEd社が2004年まで2号機の電力を購入することになっている。両社は、今回の取引を2001年半ばに完了させることを目指している。

エンタジー社は、アーカンソー・ニュークリア・ワン1、2号機(PWR、1号機88万3000kW、2号機89万7000kW)、グランドガルフ原子力発電所(BWR、130万6000kW)、リバーベンド原子力発電所(BWR、100万1000kW)、ウォーターフォード3号機(PWR、115万3000kW)、ピルグリム原子力発電所(BWR、69万6000kW)、などの計6基を所有しており、買収手続中のインディアンポイント3号機とフィッツ・パトリック発電所に続き、今回の買収によって合計9基の運転中の原子力発電所を所有することになる。

NRC、輸出規則を一部改訂

米原子力規制委員会(NRC)は11月7日、国の核不拡散政策と国際的な輸出規制指針にしたがい、原子力機器ならびに資材の輸出認可に関する規則を改訂したと発表した。新しい規則は、官報に公表されてから30日で発効する。

それによると、これまではカナダとオーストラリア産のウランだけに適用されていた規則を拡大し、外国産のウランの輸送については事前にNRCに届け出ることになった。また、六フッ化ウランの形で欧州の供給国に返還される、シリンダに入った少量のウランについては包括認可での輸出が可能になる。さらに、カリフォルニウム253と254、ネプツニウム235の3つの核種については、NRCの輸出認可が必要になった。

新規則では、資材の追跡を容易にするため、包括認可にしたがって輸出されたアメリシウムとネプツニウムの量を毎年報告することが要求されている。このほか、(1) 加速器駆動による未臨界集合システムを利用した特殊核物質製造施設 (2) プルトニウムの転換施設 (3) 小型研究炉用の米国製以外の機器・部品--については、NRCの輸出規制の対象となり特別認可が必要になった。


[英 国]

BNFL、新規原子力発電所立地の検討を要請

英原子燃料会社(BNFL)はこのほど、新規原子力発電所立地を議会で審議するよう保守党が提案したのを受け、この問題について公式の場で議論する必要があるとの見解を示した。英国では90年代初頭にサイズウェルC原子力発電所建設計画が中止されて以来、新規原子力発電所の建設の動きはなかった。

保守党の貿易産業担当スポークスマンであるD.ヒースコート・エイモリ下院議員は、英国唯一のPWRであるサイズウェルB発電所(出力125万8000kW)のような新型PWRを最大8基建設することにより、英国政府は2010年以降のCO2排出量削減目標を達成することができると主張。エネルギー担当相を務めた同議員は、この提案を下院の審議にかける考えであることを明らかにした。

同議員は、英国政府の気候変動防止プログラム案を引用。CO2排出量は、90年レベルの1億6800万トンから2000年に1億5220万トンに減少するものの、2010年には1億5630万トン、2020年には1億6490万トンと増加すると予測されており、その原因の1つが原子力発電開発計画の縮小であると指摘した。

英国では原子力発電によって総電力需要の25%が供給されているが、その3分の1はBNFLのマグノックス炉によるものである。しかし大半のマグノックス炉の残りの寿命は10年を切っており、その代替電源をどうするかについての検討も行われていない。こうしたことからBNFLは、今回の保守党の提案を歓迎し、「新規立地に関して幅広く大々的な議論が展開されることを希望する」との見解を表明した。

なお英王立協会と下院通商委員会は99年、時間的な余裕を持って新規原子力発電所立地を検討すべきと勧告していた。

BNFLはこうした一連の動きを踏まえ、ウェスチングハウス社やABB社の原子力部門を買収したことに触れ、「BNFLは原子炉設計および原子力サービスの世界市場において大きな役割を果たしており、新規原子力発電所の建設に不可欠なノウハウやインフラをすべて備えている」とした上で、新規原子力発電所の立地を国レベルで議論する必要性が高まってきていると強調した。(11月6日)


[フランス]

DSIN、ダンピエール原子力発電所の安全性改善を勧告

フランスの規制当局である原子力施設安全局(DSIN)のラコステ局長は10月2日、ダンピエール原子力発電所1〜4号機(PWR、各93万7000kW)を視察後、従業員の規律低下が運転トラブルを招いていると指摘、同発電所を所有するフランス電力公社(EDF)に対して半年間の猶予期間を与えた上で、改善結果が不十分な場合は強制閉鎖もありえると発言した。

同発電所では、定期検査中の今年6月に安全注入系(SIS)に異常が発生した。これまでにも同じような現象が頻発していたことから、DSINは国際原子力事象評価尺度(INES)の7段階のうち、レベル2という厳しい評価を与えた。EDFが7月にまとめた内部安全監査でも、同発電所は安全規則の違反が最も多いとの結果が出ている。このため、同発電所では9月上旬に運転効率向上をめざす行動計画を策定し、所員の研修や責任体制の強化など5項目からなる目標をかかげていた。(10月2日) DSIN、ルブレイエ原子力発電所の洪水対策を承認

原子力施設安全局(DSIN)は11月上旬、ルブレイエ原子力発電所1〜4号機(PWR、各95万1000kW)の洪水対策を承認した。同発電所では昨年末、暴風雨で氾濫したジロンド川の水がサイトの堤防を越え、1、2号機の内部が冠水し、主要な安全系が被害を受けた。両機は復旧作業を終え、すでに運転を再開しているが、DSINはEDFに対して洪水対策の見直しを求めていた。EDFは、同発電所周辺の堤防を当初、5.2メートルから8メートルに高くする計画だったが、DSINの指示により8.5メートルまで引き上げる予定。DSINは全国の原子力発電所に対して、既存の洪水対策を見直すよう命じている。(11月上旬)


[ドイツ − フランス]

使用済み燃料輸送に関する独仏作業部会が設立へ

フランスのビッテルで10月中旬に行われたドイツのシュレーダー首相とフランスのジョスパン首相による使用済み燃料輸送に関する話し合いは解決策が見出せず、両国間で設立されるワーキンググループに結論が持ち越されることになった。WGは早急に成立され、年内の解決をめざす。

国内に再処理施設を持たないドイツでは、前政権下の98年4月、仏ラ・アーグ再処理施設むけに輸送を行った際、起こった放射線漏れを原因として、原子力発電所からの使用済み燃料の搬出が全面的に禁止された。このため、発電所サイト内に使用済み燃料が貯まり続け、貯蔵能力の限界に達しつつあるフィリップスブルク、シュターデ、ビブリスといったサイトでは運転停止に追い込まれる可能性がでてきていた。今年に入り、国内輸送が1月26日に、また、仏むけの輸送が9月22日に一部許可された。ドイツで輸送再開の兆しが出てきた矢先、今度はフランスが再処理に伴って発生する廃棄物をドイツが引き取ることが先決であると主張し、使用済み燃料をめぐる両国の対立が強まっている。(10月中旬)


[ドイツ]

BFS、モルスレーベン低・中レベル処分場閉鎖を表明

旧東独にあるモルスレーベン低・中レベル放射性廃棄物処分場の天井に亀裂が認められ、天井の一部が崩壊する可能性があることから、連邦放射線防護庁(BFS)のケーニッヒ長官は11月上旬、同施設を永久に閉鎖する方針を明らかにした。同長官によると、問題の亀裂はBFSが実施した試掘穴とレーダー探査の結果、判明したもので、1000トンに上る岩塩塊が廃棄物貯蔵エリアに崩れ落ちる危険があるとしている。このため、同長官は危険箇所の補強工事や技術調査の実施を命じるとともに、国内唯一の低・中レベル放射性廃棄物処分場であるモルスレーベン施設を閉鎖する考えを表明した。なお、BFSはサイト周辺への放射線の影響はないと発表した。

モルスレーベン処分場は、旧東独時代にザクセン・アンハルト州ハルデンスレーベン地方にある岩塩鉱に建設された。81年に操業許可が与えられ、当時運転中だった旧ソ連型原子力発電所で発生した廃棄物が処分された。90年のドイツ再統一後、旧ソ連型炉はすべて閉鎖されたが、同処分場は引き続き操業され、BFSの管轄下で原子力発電所や医療・研究分野の廃棄物を受け入れた。処分能力は約4万m3あり、97年末時点でおよそ1万7000m3の廃棄物が処分されている。

再統一後の操業にあたっては、西側の安全基準に基づいた再審査を求める動きもあったが、東西再統一に伴う特別措置として旧東独が発給した認可が2000年6月まで有効とされた。98年5月に改正された原子力法では、さらに5年間が延長されて2006年までの操業が可能となったが、当時のメルケル環境大臣は調査中のゴアレーベン岩塩ドームや許認可手続き中のコンラット鉄鉱山の両プロジェクトの進捗状況を考慮して慎重に判断する考えを示していた。98年秋にSPD・緑の党からなる連立新政権が発足後、同施設への搬入は中断している。(11月上旬)


[ベルギー]

ラ・アーグから2回目のガラス固化体が返還

使用済み燃料の再処理によって発生した28体のガラス固化体が11月17日、フランスのラ・アーグからベルギーのモル駅に到着した。ラ・アーグ再処理工場からベルギーへのガラス固化体の返還は今年4月に続いて2回目で、2001年第1四半期に第3回目が予定されている。ガラス固化体を納めたキャスクは、国家放射性廃棄物管理機関(ONDRAF/NIRAS)傘下のベルゴプロセス(Belgoprocess)社が管理する中間貯蔵施設に約50年間、貯蔵される予定。

今回の輸送では、原子力反対派であるエネルギー・持続可能開発担当のドルーズ大臣(緑の党党首)が、ガラス固化体の品質管理検査の実施を要求するかどうかが焦点となった。事業者であるベルギーのシナトム社とフランス核燃料再処理公社(COGEMA)はそうした検査は不要であると主張し、同大臣も最終的にこれに同意した模様だ。

ベルギーでは、OECD/NEAの共同プロジェクトとしてユーロケミック社の再処理工場(パイロット・プラント)が66年に操業を開始した。74年に閉鎖された同工場をベルギー政府が引き取り、再稼働させる動きもあったが、86年に再処理事業が断念された。このため、ベルギーは、78年にシナトム社とCOGEMAとの間で結ばれた使用済み燃料の再処理契約に基づいて再処理を委託している。

しかし、使用済み燃料の処分方法については現在、専門委員会で検討中。アンペア委員会と呼ばれる同委員会は、キリスト教社会党が率いる前政権が99年2月に発足させたもので、再処理と直接処分オプションの比較を含めて、将来のエネルギー政策を抜本的に見直している。前政権が99年6月の総選挙に敗れた後も、同委員会の活動は自由党、社会党、緑の党からなる連立政権に引き継がれた。新政権は発足後、原子力発電所に40年間の運転期間を設けることで基本合意しており、この方針がアンペア委員会の検討にどう影響するかが注目を集めている。ただ、ベルギーの原子力発電シェアは約6割と世界的に見ても極めて高く、政府が主張する原子力発電所の段階的閉鎖が実現可能かどうかは疑問視されている。


[スイス]

政府、原子力発電所の運転年数に制限を設けず

スイス連邦政府は10月2日、原子力法の改正にあたり、原子力発電所の運転年数に制限を設けないとする公式見解を明らかにした。スイス政府は98年10月、2000年以降の原子力開発計画を視野に入れた原子力法の改正に着手し、今年3月には原子力発電所建設についての国民投票の実施や使用済み燃料の再処理禁止を改正法案に盛り込む意向を示した。しかし、焦点となった原子力発電所の運転期間については、決定を全国規模の公開討論会などの広範囲な協議プロセスに委ねるとしていたため、その行方が注目されていた。

今回の発表によると、原子力発電所にはこれまで通り保守点検作業を適宜、実施することが義務付けられるが、発電所の安全性が確認される限り、運転継続は可能となる。政府は、原子力発電所の早期閉鎖はスイス経済に大きな損失を及ぼしかねないとした上で、原子力発電は地球温暖化防止対策に貢献するとともに、将来の代替エネルギーの開発にむけ時間的猶予もできるなど、経済や環境を重視した考え方を根拠として示した。また、協議の過程では使用済み燃料を直接処分とする政府の方針に対して、多数の反対意見があったことが明らかになったが、政府は今後の取り組み方については言及しなかった。最終原案は来年3月に議会へ送られ、最長で2年間の審議を経て成立する見通し。

スイスでは、ミューレベルク原子力発電所(BWR、37万2000kW)の早期閉鎖の是非を問う住民投票が今年9月、同機が立地するベルン州で行われたばかり。原子力発電所の早期閉鎖に関する欧州初の住民投票では、3分の2が同機の運転継続を支持する結果となり、2002年の早期閉鎖は回避された。スイスで運転中の原子力発電所は、ミューレベルクをはじめ5基で、総発電電力量の約6割を占める水力に次ぎ、35%の電力を供給している。99年の平均稼働率は約85%だった。(10月2日)


[スウェーデン]

IEA、スウェーデンのエネルギー政策見直しを提言

国際エネルギー機関(IEA)は10月20日、"Energy Policies of IEA Countries - Sweden, 2000 Review"と題する報告書を発表、スウェーデンの脱原発政策の見直しを提言した。同報告書は、IEAが各国のエネルギー政策に関してまとめている調査報告の最新版で、スウェーデンが掲げるエネルギー政策の実行可能性について検討した。

スウェーデンは脱原発政策と並行して、電力消費量の削減、再生可能エネルギーの促進、エネルギー効率改善等を進めており、こうした施策の成功が脱原発政策の鍵を握っている。天然ガスと石炭はCO2排出量を増大させ、水力発電所の建設は議会によって制限がかけられているため、スウェーデンは原子力の代替電源として、再生可能エネルギーの拡大を最優先に位置付けている。

IEAは今回の報告書の中で、スウェーデンの再生可能エネルギーの現状を検討。原子炉1基分を代替するには、現在の生物燃料による発電設備容量を3倍に増やさなければならないとした上で、また、スウェーデンは過去にエネルギー効率の大幅な改善に成功したが、88年以来エネルギー効率の改善は横ばいとなっているとの分析結果を示し、今後10年間での代替電源の大幅な拡大は難しいと結論している。

さらに、スウェーデンは代替電源を評価する際に経済性を考慮していないとした上で、代替電源としての再生可能エネルギーが競争力を持たない限り、自由化された北欧電力市場において、原子力の代替電源は海外の石炭火力・原子力等からの輸入電力に頼らざるをえないと指摘、市場動向を踏まえた現実的なエネルギー政策を強く要求している。

最終処分場3候補地を選定

スウェーデン核燃料廃棄物管理会社(SKB)は11月16日、スウェーデンの放射性廃棄物管理プログラムの一環として、使用済み燃料の最終処分場建設候補地6地点の中からオスカーシャム、エスタマル、ティエルプの3地点を選定した。また6地点の中に入っていた、ニュチェピングについても実行可能性調査の続行を政府に対し要求した。

今回選定された候補地点は、いずれも同じ花崗岩質だが異なる特性を有しており、SKBは、より詳細な地質調査に5〜6年かかるとみており、2007年までには最終的に1カ所を選定したいとしている。

SKBは処分場の選定において技術的な実行可能性だけでなく、地元住民からの支持を強調している。SKBはこれまでも「地元住民の支持がない限り最終処分場の立地には着手しない」と明言しており、過去にも住民投票で否決された建設予定地(ストゥールマン、マロ)が候補地から外された経緯がある。


[ロシア]

ロストフ2号機、2001年中に建設を再開

ロシアの原子力発電所運転会社ロスエネルゴアトムのコピエフ副総裁は11月中旬、凍結されていたロストフ2号機(VVER-1000:ロシア型PWR、100万kW)の建設を2001年中に再開し、10億米ドルを投入し、5年間で完成させる予定であると発表した。

ロスエネルゴアトムは3月上旬に、今後5年間に4億7,000万米ドルを投資して、建設中のロストフ1号機(VVER-1000、100万kW)、カリーニン3号機(同)、クルスク5号機(RBMK-1000、100万kW)の3基の原子力発電所を完成させることを明らかにしている。このうち、ロストフ1号機については、12月末に運転を開始する予定。

ロストフ発電所はソ連時代の1979年11月に政府が出力100万kWのVVER-1000型炉4基の建設を決定、相次いで建設がスタートした。1990年8月時点で、1号機の進捗率が95%、2号機が30%、3号機は基礎が完成、4号機は掘削が完了していた。しかし、住民の反対運動から、翌9月に建設作業が中断された。ロシア政府は1995年、設計の一部変更により安全性を向上させ、1、2号機の建設を再開することを決定したが、ロシア原子力省(MINATOM)は資金難から、進捗率の高い1号機の完成に資金を集中し、2号機の建設再開を先送りしていた。


[リトアニア]

新首相、イグナリナ発電所閉鎖撤回と新規原子力発電所建設を主張

10月27日に就任したパクサス新首相は、同国唯一の原子力発電所であるイグナリナ発電所(150万kW、旧ソ連製軽水冷却黒鉛型炉:RBMK-1500型炉 2基)の閉鎖撤回と、新原子力発電所を建設する意向を示した。

パクサス氏は首相に承認される前の議会演説で、閉鎖が決まっているイグナリナ発電所の代替電源として、西側製の近代的な技術を採用した原子力発電所を建設する意向を表明していた。しかし、首相就任後に前言をひるがえし、イグナリナ発電所の閉鎖を撤回するとともに、新規の原子力発電所を建設する考えであることを明らかにした。

同首相は、リトアニアの電力の70%以上を供給しているイグナリナ発電所を閉鎖すれば、国内における安価な電力供給に支障をきたすうえ、電力輸出という最大の外貨獲得手段を失うことになるとしている。また、新規原子力発電所の建設は、電力供給国としての立場を、今後とも維持していく上で不可欠であるとしている。

リトアニア議会は5月2日、イグナリナ発電所1号機を2005年に閉鎖する法案を正式に承認した。また2号機については、閉鎖時期に関する議論を2004年以降に開始することをあわせて決定したが、EUは2009年の閉鎖を求めている。旧ソ連型炉であるイグナリナ発電所については、EUが安全性に対して強い懸念を示しており、リトアニアのEU加盟交渉の開始と引き替えに閉鎖を求めていた。同発電所の閉鎖については、欧州復興開発銀行(EBRD)と欧州委員会(EC)が閉鎖費用の拠出に合意している。

1999年のイグナリナ発電所の発電電力量は98.6億kWhで、リトアニアの総発電電力量に占める原子力のシェアは、フランス(75%)に次ぐ73.11%を記録した。


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