[諸外国における原子力発電開発の動向]
主なできごと (2000年12月中旬〜2001年1月中旬)
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台湾:行政院、第四原子力発電所の建設続行を承認

-- 立法院、行政院の妥協案を受け入れ

懸案となっていた台湾の第四(龍門)原子力発電所(ABWR、135万kW2基)の建設問題で、行政院(内閣)は2月14日の閣議において建設続行を承認。これを受け同日、張俊雄・行政院長(首相)は同発電所の建設再開を公式に発表した。

同発電所の建設を巡って対立していた立法院(国会)と行政院が13日、行政院の妥協案を受け入れる形で合意したのを受け正式な建設再開が決まった。それによると、(1) 行政院は第四発電所の建設を再開し、追加予算は関連法によって処理する、(2) エネルギーが不足しないことを前提に、将来的には脱原発を達成する、(3) 行政院はエネルギー関連法案を提出し、立法院で審議する−などとなっている。

大法官会議(憲法裁判所)は1月15日、行政院による一方的な第四原子力発電所中止の決定(2000年10月27日)を「手続き上の不備」として、行政院に立法院(国会)で報告して質疑に応じるよう裁定を下していた。

裁定を受け、立法院で過半数を占めている最大野党の国民党は、臨時本会議で行政院からの報告を受けた後、同発電所の建設続行の決議を採択する意向を示した。一方、少数与党である民進党は、大法官会議の裁定に関して、(1) 行政院は立法院で報告する、(2) 立法院には議決権がない、(3) 立法院が決議を行った場合でも行政院は受け入れない−などとする姿勢を明らかにした。

こうした中で、大法官会議の判決に基づき臨時本会議が1月30日に開かれ、張・行政院長は第四発電所の建設中止について報告した。それによると、(1) 子孫のために建設中止を決定した、(2) 建設中止後も天然ガス火力発電などの代替エネルギーで電力不足は生じない、(3) 行政院が原子力発電所関連予算の執行を停止しても違憲ではない、(4) 立法院が建設続行の決議を可決しても行政院は拘束されない−などとする、建設中止を堅持する方針が示された。

しかし、立法院は1月31日に臨時の本会議を開き、第四発電所の建設続行を求める決議案を、賛成134、反対70(欠席6を含む)の賛成多数で可決した。これに対し、行政院は同日、この決議を受け入れないとする声明を発表。こうした中で、脱原子力政策を掲げている陳水扁・総統は、憲法の規定に基づき立法院と行政院の調停に乗り出すことを示唆していた。

なお、これまでの第四(龍門)原子力発電所の建設をめぐる主な動きは以下の通り。

1996年 5月台湾電力公司、GE 社と第四 (龍門) 発電所建設の主契約を締結。
1999年 3月台湾原子能委員会 (AEC)、同発電所の建設計画を承認。
同1号機、着工。
1999年 8月同2号機、着工。
2000年 3月同発電所の建設反対派の陳水扁氏が総統選挙で当選。
2000年 5月同発電所建設の計画再評価委員会が設立。
2000年 9月同委員会が建設中止を求める最終報告書を行政院に提出。
2000年10月建設推進派の唐・行政院長 (国民党) が辞任。(4日)
後任の反対派の張・行政院長が建設中止を発表。(27日)
2000年11月総統罷免等の手続き法案が立法院で成立。
2001年 1月大法官会議が行政院の建設中止の決定を「手続き上の不備」として立法院への報告を命じる。(15日)
立法院が建設続行を求める決議を採択。(31日)
2001年 2月張・行政院長が同発電所の建設続行を承認。(14日)
[終わり]

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