[諸外国における原子力発電開発の動向]
話題を追って (2000年12月中旬〜2001年1月中旬)
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米国:2001年版エネルギー見通しを公表

米エネルギー省(DOE)のエネルギー情報局(EIA)は12月21日、2020年までの国内のエネルギー需給見通しなどを予測した「2001年版エネルギー見通し」(Annual Energy Outlook 2001)を公表した。この見通しはEIAが毎年まとめているもので、前回見通し(2000年版)では2.1%だった国内総生産(GDP)の年平均伸び率を3%として予測している。

原子力発電規模の縮小減速を予測

前回見通しでは2020年時点の原子力発電電力量を4270億kWhと予測していたが、今回見通しでは前回より34%高い5740億kWhに達すると予測している。これは、天然ガス価格の高騰が予測される中で、最近の高い稼働実績から運転認可(ライセンス)を延長する原子力発電所の基数が増加するとみられているため。

2001年版見通しの中で予測された標準的なケースでは、運転認可の失効を待たずに閉鎖される原子力発電所が1基あるとする一方で、27基(2200万kW)で運転認可の延長が行われるとみている。前回見通しの標準ケースでは、運転認可を延長する原子力発電所がわずか12基(850万kW)しかない一方で、運転認可の失効を待たずに早期に閉鎖される原子力発電所が13基もあると予測されていた。

EIAは、前々回見通しの中では65基、また前回見通しでは40基の原子力発電所が2020年までに閉鎖されると予測していたが、今回見通しでは103基のうち35基が閉鎖されると下方修正している。なお、いずれの見通しでも、2020年までに新規の原子力発電所は1基も建設されないとの前提で予測が行われた。

エネルギー消費、年平均で1.3%増加

米国全体のエネルギー消費量は1999年から2020年にかけて年平均で1.3%増加し、96.1×1015Btu(英国熱量単位)から127×1015Btuに増加すると予測している。これは、前回見通しと比べて約6×1015Btu高くなっており、経済成長にともない、すべての部門でエネルギー需要が伸びると予測している。平均伸び率を部門別にみると、住宅部門1.2%、商業部門1.4%、産業部門1%、輸送部門1.8%となっている。

電力需要は1999年から2020年にかけて年平均1.8%で増加すると予測されており、前回見通しの1.3%より0.5ポイント高くなっている。また天然ガス需要は、年間平均で2.3%の高い伸びを示し、99年の21.4兆立方フィートが2020年には34.7兆立方フィートに達すると予測されている。このほとんどがコジェネレーションを除いた発電向けのもの。前回見通しと比べると、2020年時点の需要が3.2兆立方フィート増えているが、これは主として発電部門での需要が大きく伸びると予測されているため。一方、石炭の消費量は、99年の10億3500万トンから年平均で1.1%増加し、2020年には12億9700万トンに達するとみられている。石油需要は年平均1.3%で増加し、99年の1950万バーレル/日が2020年には2580万バーレル/日に達すると予測されている。

電力価格の低下を予測

世界の平均石油価格は、1999年のバーレルあたり17.35ドル(99年のドル価値)が2000年に27.6ドルまで上昇したあと、2003年までに約20.5ドルまで低下すると予測している。また、2020年には、前回見通し(22.33ドル)とほぼ同じ22.41ドルに達するとみている。天然ガスの井戸元価格は、99年の2.08ドル/1000立方フィートが2001年にかけて約3.3ドルに上昇したあと、2004年にかけて低下に向かい、2020年には3.13ドルに達すると予測している。平均電力価格は、99年のkWhあたり6.7セントが2020年には6セントまで下がるとみている。前回見通し(5.9セント/kWh)よりやや高くなっているのは、天然ガス価格が上昇するとみられているため。なお、電力価格の予測にあたっては、電力市場自由化による影響が盛り込まれているという。

二酸化炭素の排出量、年平均で1.4%増加へ

エネルギーの使用にともなう二酸化炭素の年間排出量は、年平均で1.4%増加し、99年の15億1100万トン(炭素換算、以下同じ)が2020年には20億4100万トンに達すると予測されている。これは、前回見通しより6200万トン増えている。EIAは、二酸化炭素を排出しない原子力発電所の閉鎖見通しの下方修正や工業部門でのエネルギー使用量の削減がなければ、二酸化炭素の排出量はさらに増えたことになると説明している。

[終わり]

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