[諸外国における原子力発電開発の動向]
話題を追って (2001年1月中旬〜2月中旬)
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ドイツ−フランス:使用済み燃料と HLW 輸送が再開へ

ドイツのシュレーダー首相とフランスのジョスパン首相は1月31日、フランスからドイツむけの高レベル放射性廃棄物 (HLW) ガラス固化体の輸送を3月に再開することで合意した。共同声明によると、初回の輸送は3月末から4月はじめにかけてフランスのラ・アーグ再処理工場からドイツ北部のゴアレーベン中間貯蔵施設にむけて行われる予定。年内に2回目の輸送も実施される見通し。また、予定では初回のガラス固化体輸送が終わり次第、ドイツからフランスむけの使用済み燃料輸送も再開される。

一方、英原子燃料会社 (BNFL) セラフィールド再処理工場むけの使用済み燃料輸送も1月22日、再開が許可された。ドイツ連邦放射線防護局 (BFS) によると、ネッカー発電所から3体の使用済み燃料キャスクが運び出される予定だが、実施時期は明らかになっていない。実施にあたっては、輸送経路にあたるすべての州の合意を得た上で、今年9月末日の申請期限までに実施しなければならない。

さらに、ドイツ国内での使用済み燃料輸送も3月上旬に再開される見通しがたってきた。

まず、ネッカー発電所から発生した使用済み燃料がドイツ西部のアーハウス中間貯蔵施設にむけて輸送された後、ビブリスとフィリップスブルグ発電所からの輸送も再開される。

国内に再処理施設を持たないドイツでは、前政権下の98年4月、仏ラ・アーグ工場への輸送時に起こった放射線漏れが原因で、原子力発電所からの使用済み燃料の搬出が全面的に禁止された。このため、発電所サイト内に使用済み燃料がたまり続け、貯蔵能力の限界に達しつつあるフィリップスブルク、シュターデ、ビブリス発電所では運転停止に追い込まれる恐れがでてきていた。

昨年6月に合意されたドイツ連邦政府と大手電力との取決めに前後して、アーハウス中間貯蔵施設むけの国内輸送が昨年1月に、フランスむけの国外輸送が昨年9月に一部許可された。しかし、連邦環境原子炉安全省 (BMU) 管轄下にある BFS が輸送申請手続きを長引かせる一方で、再処理を受託するフランス側がドイツにガラス固化体の引き取りを要求するなど、外交問題まで発展、使用済み燃料輸送の実施が先送りされてきた。

[終わり]

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