[諸外国における原子力発電開発の動向]
主なできごと (2001年6月中旬〜7月中旬)
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米国:エクセロン社、ピーチボトム2、3号機の運転認可更新を申請

-- 20年延長の経済性と環境性で申請が相次ぐ

エクセロン・ニュークリア社は7月2日、ペンシルベニア州にあるピーチボトム2、3号機 (BWR、各110万kW) の運転認可の20年延長を米原子力規制委員会 (NRC) に申請した。NRC から承認された場合、2号機は当初の2013年から2033年に、また3号機は2014年から2034年に、それぞれ運転認可が延長されることになる。

すでにピーチボトム発電所では、運転認可更新を担当するチームが、2、3号機の100以上のシステムと4万以上の周辺機器を調査しており、信頼性と安全性の面から問題ないとの結果が得られた。なお、NRC が運転認可更新を承認するのに約2年がかかるとみられている。

エクセロン社は今年1月、ピーチボトム2、3号機の共同所有者であるデルマーバ・パワー&ライト社の持分を株式で買収し、自社の所有持分を42.5%から46.245%へ引き上げていた。同2、3号機はエクセロン社のほかに、パブリック・サービス・エレクトリック&ガス社 (所有持分46.245%) とアトランティックシティ・エレクトリック社 (同7.51%) が共同所有している。

1974年に営業運転を開始したピーチボトム2、3号機は、2000年に発電電力量が両機合わせて過去最高の190億kWh を記録。平均設備利用率も94.2%と高水準であった。なお、1号機 (HTGR=高温ガス冷却炉、4万2000kW、1967年6月運開) は1974年11月に閉鎖している。

エクセロン・ニュークリア社のO.キングスレー社長は申請にあたって、ピーチボトム2、3号機の営業運転を20年延長することで温室効果ガスの排出量を抑制することができ、ペンシルベニア州南東部において経済的で信頼性の高い電力供給を確保できると説明した。

また、同社は、運転認可を更新するための総経費を、NRC の審査を含めて1800万ドル (約8ドル/kW) と見積っており、代替として天然ガス火力発電所や石炭火力発電所を建設する場合 (500〜1000ドル/kW) と比較すると桁違いにコストが低いと強調した。

同社は2003年3月にイリノイ州のドレスデン2、3号機 (BWR、2号機=83万4000kW、3号機=83万2000kW) とクアド・シティーズ1、2号機 (BWR、各83万3000kW) の両発電所についても運転認可の更新申請を予定している。

これまでに、NRC から運転認可の更新を認められた原子力発電所は、2000年3月のカルバート・クリフス1、2号機 (PWR、各88万kW)、同5月のオコニー1、2、3号機 (PWR、1・2号機=各88万7000kW、3号機=89万3000kW)、2001年6月のアーカンソー・ニュークリア・ワン (ANO) 1号機 (PWR、88万3000kW) の計6基。

また、NRC が現在、審査中のものは、エドウィン・I・ハッチ1、2号機 (BWR、1号機=89万8000kW、2号機=91万1000kW)、タ-キ-・ポイント3、4号機 (PWR、各72万6000kW)、ノースアナ1、2号機 (PWR、1号機=94万kW、2号機=94万4000kW)、サリー1、2号機 (PWR、各84万kW)、カトーバ1、2号機 (PWR、各120万5000kW)、マクガイヤー1、2号機 (PWR、各122万kW) などの12基で、これにピーチボトム2、3号機を加えて計14基となった。

[終わり]

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