[諸外国における原子力発電開発の動向]
話題を追って (2001年7月中旬〜8月中旬)
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英国:貿易産業省、原子力発電所の新規立地で報告書

貿易産業省 (DTI) は8月2日、「技術開発が進み、運転期間が延長され、高稼働率が維持された場合、新規に立地された原子力発電所は kWh あたり2.5ペンス (4.47円) 以下で発電が可能」とする報告書を発表した。英国ではブレア首相が6月25日、エネルギー政策の見直しを指示し、ウィルソン・エネルギー担当相の監督の下、内閣府のパフォーマンス&イノベーション部 (PIU) が検討作業に着手している。今回の DTI の報告書は、検討の際の基礎資料と位置付けられる。

95年に試算された発電コストをみると、kWh あたり複合サイクルガス火力:2〜2.5ペンス、石炭火力:2.5〜3.6ペンス、原子力:3.7〜4.5ペンスとなっており、と他電源に比べて原子力発電の競争力は低かった。しかし原子力発電事業者であるブリティッシュ・エナジー (BE) 社と英原子燃料会社 (BNFL) は、(1) シリーズ建設 (2) 公定歩合引き下げ (3) 原子力発電所の運転期間を60年まで延長 (4) 90%以上の高稼働率の達成 ---- 等の条件を満たせば、kWh あたり2.5ペンス以下で発電できると試算。DTI はこれについて、「楽観的な試算との見方もあるが、フィンランドが発電所の新規立地を申請した背景にも、このような数値に基づいた試算が基礎になっている」と指摘している。

そして、DTI は新たな技術として、BNFL が参加している南アフリカ電力公社の PBMR 計画や、BNFL 傘下のウェスチングハウス社が AP1000 の開発を計画していることを指摘。このうちまた運転期間延長に関して DTI は、「BE 社所有の AGR と PWR の技術的課題は少ない」との考えを示した。特に PWR は、米国で軽水炉の運転認可を40年から60年に更新する動きが出ている点からも、運転期間延長は可能との見方を明らかにした。

また DTI は、原子力が CO2 排量削減に果たす役割にも言及。CO2 の排出抑制に環境税が課されるようになれば、新規原子力発電所の経済性が高まるの認識を示した。

[終わり]

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