[諸外国における原子力発電開発の動向]
話題を追って (2001年12月中旬〜2002年1月中旬)

米国:22基で11万kW分の出力増強へ

原子力規制委員会 (NRC) は2001年12月26日、エクセロン社が2000年12月に申請していたドレスデン2、3号機 (BWR、2号機=83万4,000kW、3号機=83万2,000kW) とクアドシティーズ1、2号機 (BWR、各83万3,000kW) の出力増強を承認した。ドレスデン2、3号機は17%出力増強されてそれぞれ91万2,000kW に、またクアド・シティーズ1、2号機は17.8%出力増強されてそれぞれ91万2,000kW になる予定。両発電所ともイリノイ州にある。

NRC は2001年に入り、ワッツバー、バイロン1、2号機、ブレードウッド1、2号機、セーレム1、2号機、ホープクリーク、ビーバーバレー1、2号機、サスケハナ1、2号機、コマンチェピーク1、2号機、サンオノフレ2、3号機、シアロンハリス、デュアンアーノルドの出力増強を相次いで承認。今回の4基を加えると、2001年だけで、22基・合計111万1,000kW 分の出力増強が NRC によって承認されたことになる。

NRC によると、出力増強には、(1) 測定誤差を修正することで最大1.5%まで増加できるパワーアップレート、(2) 計装の設定値を変更することで最大7%まで増加できるストレッチ・パワーアップレート、(3) 高圧タービンや復水ポンプ、モーター、発電機、変圧器などのバランス・オブ・プラント (BOP) を大掛かりに改修することで最大20%まで増加できる拡大パワーアップレート −3つのカテゴリーがある。

米国は、103基 (1億117万1,000kW) が稼働する世界最大の原子力発電国であるが、1974年以降、新規の原子力発電所の発注は実質的に1基も行われていない。しかし、NRC は1970年代から出力増強の申請を72件審査してきており、1977年にカルバートクリフス1号機を承認して以降、合計は326万4,000kW に達している。これは、100万kW 級原子力発電所3基分にも相当する。

NRC は、今後5年間に全部で46件 (熱出力487万kW、電気出力では160万kW) の出力増強申請が行われる見通しを示している。

電力会社は、電力市場の自由化にともなう先行きが不透明の中、既存の原子力発電所から少しでも多く発電しようとしている。NRC も出力増強申請が最重要許認可案件の1つとの立場を示しており、審査日程もできるかぎり短くするとの方針を打ち出している。

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