[諸外国における原子力発電開発の動向]
主なできごと (2002年1月中旬〜2月中旬)

英国:エネルギー政策検討作業が終了

−原子力オプションの堅持を提言

内閣府のパフォーマンス&イノベーション部 (PIU) は2月14日、長期エネルギー政策に関する報告書を発表した。"The Energy Review" と題した報告書は、2050年までをにらんだ英国のエネルギー政策のありかたについて詳述している。それによると、再生可能エネルギーと省エネの拡大の重要性を強調する一方で、原子力発電オプションの堅持を指摘している。報告書は今後政府内での審議、一般からの意見募集等を経て、年末には貿易産業省 (DTI) と環境・運輸・地域問題省 (DEFRA) の手で、政府としての正式な『エネルギー白書』の形でまとめられる予定になっている。

PIU はブレア首相の指示を受け、ウィルソン・エネルギー担当相の監督の下、昨年6月に検討作業に着手した。報告書の中で PIU は政府に対し、原子力発電を他の電源と同様に扱うことを要求し、(1) PBMR などの新型炉の開発に英国が引き続き参画し、原子力技術力を絶えず向上させること、(2) 将来原子力発電所の新規立地が決定された場合、スムーズに運転開始が出来るよう必要な措置を取ること、(3) 炭酸ガスを排出しない原子力発電所に価値が付加される体制を確立すること −等を提言した。

ウィルソン・エネルギー担当相は、「PIU の報告書は再生可能エネルギーと原子力を相反するものとは考えておらず、エネルギーミックスと技術革新に主眼を置いている。報告書は再生可能エネルギーの拡大とエネルギー効率のより一層の向上に期待すると同時に、原子力発電等への新規投資というオプションにも等しく道を開いている」とコメントしている。

ブレア首相は今回の報告書を高く評価。「PIU の報告書は近年のエネルギー動向を明らかにしており、英国があらゆるオプションを堅持することの重要性が明白になった」とし、自由化された電力市場の中では、価格の安定や供給の確保、気候変動の防止は国内だけの問題ではなく、京都議定書の遵守も踏まえ国際的に協調していく必要があるとの認識を示した。

英原子燃料会社 (BNFL) のH.コラム会長は今回の報告書に対し、「BNFL は長年将来のエネルギー政策の明確化を求めてきたが、今回の報告書により原子力は今後も不可欠な電源として認められた」と歓迎する声明を発表。またブリティッシュ・エナジー社 (BE) のR.ジェフリー会長も、「英国はバランスの取れた安定したエネルギー政策を得て、前進する。BE 社は原子力と再生可能エネルギーの開発で重要な役割を担う」との声明を発表した。

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