[諸外国における原子力発電開発の動向]
最近の動き (2002年1月中旬〜2月中旬)

[中 国]

秦山II−1号機が送電開始

昨年12月29日に初臨界に達していた秦山原子力発電所・第II期工事の1号機(PWR、64万2,000kW)が2月6日、発電を開始し、浙江省海塩の送電網に接続した。同機は第9次5ヵ年計画期間(1996〜2000年)に着工された8基(4サイト)の中で一番初めに送電を開始したユニットで、6月に営業運転を開始する予定。

なお、秦山・第II期サイトの北3kmに位置する秦山・第T期サイトの1号機(PWR、30万kW)は昨年12月、1991年12月15日に送電網へ接続して以来の発電電力量が合計167億8,000万kWhとなり、売電収入も48億8,000元に達した。

嶺澳1号機、初臨界達成

仏フラマトムANP社は2月20日、昨年12月8日に燃料が初装荷された嶺澳1号機(PWR、98万5,000kW)が2月4日に初臨界に達したと発表した。

同機はフラマトムANP社製のPWRで、炉心部の健全性試験を終えた後、3月に送電網へ接続し、年6月に営業運転を開始する予定。

[インド−ロシア]

クダンクラム建設プロジェクト、正式に着工へ

インド、ロシア両国政府は2月12日、インド南部のタミル・ナド州クダンクラムに建設が計画されている大型原子力発電所プロジェクトで、ロシアがVVER-1000型炉(ロシア製PWR、100万kW)2基を供給する契約書に署名した。ロシアの受注総額は推定15億ドル。約300社の企業がVVERの製造に関わっており、アトムストロイ・エクスポルト社が建設作業を調整する。

すでに、クダンクラム建設プロジェクトは土木工事などのインフラ整備を完了させており、今回の契約により、ようやく3月31日に正式着工する。同プロジェクトの1号機は2007年、2号機は2008年にそれぞれ運転開始の見込みで、インド南部のアンドラ・プラデシュ、カルナタカ、ケララ、タミル・ナドの4つの州に電力を供給する予定。

なお、インドは現在、14基の原子力発電所が運転中で、2001年の原子力発電電力量は前年より49億8,000万kWh増の191億9,000万kWh(総発電電力量の3.76%)を記録。平均設備利用率は83%であった。

[米 国]

大統領がヤッカマウンテンを承認

ブッシュ大統領は2月15日、ネバダ州ヤッカマウンテンを核廃棄物(原子力発電所の使用済み燃料と軍事部門から発生する高レベル放射性廃棄物)の地下貯蔵所とすることを承認した。エネルギー省(DOE)のエイブラハム長官が前日、大統領に対して行った勧告にこたえたもの。

大統領の承認は、ヤッカマウンテンの地元ネバダ州の反対がなければ、60日経った時点で発効する。しかし、ネバダ州は地下貯蔵所の建設を拒否する姿勢を崩していないため、審議の場が連邦議会に移ることはほぼ間違いないとみられている。

官民協力で2010年までに新原発完成めざす

DOEのエイブラハム長官は2月14日、ワシントンDCで開催されたグローバル・ニュークリア・エナジーサミットで、2010年までに新規の原子力発電所を運転させることを目的とした「Nuclear Power 2010」計画に着手することを明らかにした。DOEは電気事業者をはじめとした原子力産業界などと協力して、炉型の選定や新しい許認可手続きの実証を行う。

エイブラハム長官は、この計画が、ブッシュ大統領が発表した米国の気候変動政策の一環であることを明らかにした。DOEの2003会計年度予算案では、同計画に対して3850万ドル(約51億円)が要求されている。

また同長官は、ドミニオン・リソーシーズ社と米国最大の原子力発電事業者であるエクセロン社と協力して、新規原子力発電所の建設候補地になる何箇所かのサイトで調査を行うことになったと発表した。具体的には、DOEが所有するアイダホ州のアイダホ国立工学環境研究所、サウスカロライナ州のサバンナリバーサイト、オハイオ州のポーツマスサイトと民間が所有するサイトを対象に選定作業が行われる。この2社以外の原子力発電事業者に対しても、原子力規制委員会(NRC)の新しい許認可手続き(10CFR52)の実証プロジェクトに参加するよう呼びかけることになっている。

MOX燃料で余剰プルトニウム処分を

DOEのエイブラハム長官は1月23日、核兵器の解体にともなって生じる余剰プルトニウム34トンをMOX燃料に加工して商業炉に装荷することを決めたと発表した。米国政府はこれまで、核解体プルトニウムをMOX燃料に加工して商業炉に装荷する方法とガラス固化して貯蔵する方法を併行して進める方針をとってきていたが、核不拡散政策を再検討する中でMOXオプションに一本化することを決めたもの。

エイブラハム長官は、欧州各国では20年に及ぶMOX燃料の使用実績があることに加えて、MOXオプションに一本化することによって20億ドルの節約につながることから、今回の決定に至ったと説明している。

MOX燃料への転換には今後20年間にわたって38億ドルがかかると推定されている。この中には、サウスカロライナ州のサバンナリバーサイトに核弾頭の解体施設とMOX燃料の成形加工施設を建設するための費用が含まれている。2003年度のDOEの予算要求では、MOX燃料の成形加工施設向けに9300万ドルが計上されている。施設の建設は2004年度(2003年10月〜2004年9月)に始まる予定になっている。

サスケハナ1、2号機、運転認可の20年延長へ

PPLサスケハナ社は1月23日、サスケハナ1、2号機(BWR、各113万8,000kW)の運転認可を20年延長する意向を明らかにした。現行の運転認可は、同1号機が2022年、2号機は2024年まで有効。

PPLサスケハナ社の親会社であるPPL社によると、サスケハナ発電所2基の2001年の合計原子力発電電力量は、2000年より3億kWh増で過去最高の178億kWhを記録した。

なお、サスケハナ1、2号機は2001年7月13日、米原子力規制委員会(NRC)より各1.4%(1万5,000kW)の出力増強を承認され、1号機は2004年春頃、2号機は2003年春の燃料交換時に実施する予定。

[カナダ]

核燃料3施設の運転認可更新

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は2月18日、核燃料関係3施設の運転認可の更新を決定した。新しい運転認可の有効期限は2007年2月28日。

今回、運転認可が更新されたのは、カメコ社のオンタリオ州ブリンドリバーのウラン精製施設と、同社のオンタリオ州ポートホープのウラン転換施設、そして同じくポートホープにあるジルカテック・プレシジョン・インダストリー社の燃料加工施設の3施設。

カメコ社のブリンドリバー製錬施設は天然ウランの濃縮液(U3O8)からウラン酸化物(UO3)を製錬。ポートホープ施設では、それを二酸化ウラン(UO2)と六弗化ウラン(UF6)に転換している。二酸化ウランはCANDU炉で利用され、六弗化ウランは軽水炉用として輸出される。

ジルカテック・プレシジョン・インダストリー社のポートホープ施設では、主に二酸化ウランからCANDU炉用の燃料を製造している。

[フランス]

シラク大統領とジョスパン首相、大統領選に出馬表明

シラク現大統領(共和国連合:RPR)が2月11日、ジョスパン現首相(社会党:PS)が2月20日、それぞれ大統領選挙への出馬を表明したことにより、本格的な選挙戦がスタートした。大統領選挙は通常、経済や治安、国防などの国の基本施策が争点となるが、両氏の内政政策には決定的な差がないため、原子力が争点の1つとなる可能性もある。両氏とも基本的には原子力推進の立場をとっているが、ジョスパン首相は5年間にわたる緑の党と連立政権下でFBRスーパーフェニックスの閉鎖や事実上の原子力発電所の新規建設凍結など、緑の党寄りの政策をとってきた。また、大統領選の直後には国民議会(下院)選挙が行われる。このため、大統領選での他陣営とのカケヒキが、議会の選挙結果にも大きく影響し、最終的に原子力政策を左右することになるかもしれないとの見方がある。

大統領は、初回の投票で過半数を獲得する候補者が出ない限り、2回の投票を経て選出される。4月21日に予定されている初回の投票で上位2名の候補者に絞り込まれ、2回目の5月5日に決選投票が行われる。今回の大統領選では、シラク、ジョスパン両氏の対決となる可能性が高いことから、両者が最終投票で他候補者の票をどれだけ取り込めるかが勝敗の大きな鍵。95年の前回選挙は3度目の挑戦だったシラク氏の得票率が53%、初出馬のジョスパン氏が47%だった。なお、今回の選挙から、これまで7年だった大統領の任期が5年に短縮される。

両者以外の候補者は、左派で議会与党の共産党と緑の党がそれぞれユー、マメル氏。このほか、保守ではフランス民主連合(UDF)からバイル氏、フランス連合(RPF)からパスクワ氏、民族右派の国民戦線(FN)からルペン氏、中道左派の市民運動からシェブヌマン氏らが立候補する。なかでも、新党の市民運動(ムーブマン・ドゥ・シトワエン、MDC)の創設者であるシェブヌマン党首は、本命のふたりに次いで高い支持率を得るとの見方が強い。同氏は現政権に内相として入閣したが、ジョスパン首相の地方分権推進策に反対して辞任、MDCを設立した。原子力推進派であるMDCが政権に加わることになれば、原子力政策が好転するとの期待感もある。

社会党、エネルギー政策を発表

ジョスパン首相率いる社会党は2月20日、今春予定の大統領選・議会選挙にむけてエネルギー政策を発表した。それによると、温室効果ガス削減目標の達成とエネルギーの自給率維持を2本柱とした上で、原子力は現状の設備容量を維持するにとどめ、ガスや再生可能エネルギーなどの代替エネルギーの開発に力点を置く内容になっている。原子力バックエンド政策については、市民会議的な会合の開催を通じて国民の意見を広く採り入れるとの提案をしている。MOX燃料利用については経済性の評価が完了するまでは、現状維持にとどめ、使用済みMOX燃料の再処理(マルチ・リサイクル)も行わない方針。廃棄物政策に関しては、年内は使用済み燃料のコンディショニングを優先し、長期的には再処理方法を多様化するとともに新しい技術開発に努めるとしている。

社会党が今回、現状維持にとどめた原子力政策を打ち出した背景には、緑の党との連携を模索している段階にあるためとの見方が強い。一方、緑の党は、さらに脱原子力を加速させ、MOX燃料の利用と再処理の禁止など、より具体的な脱原子力政策を要求している模様。両党が、選挙にむけて共同政策綱領を締結するかどうかは不透明な状況だ。

[ドイツ]

上院、改正原子力法案を承認

段階的な原子力発電所の閉鎖などを盛り込んだ改正原子力法案は2月1日、ドイツ連邦参議院(上院)で承認され、近く成立する見通しとなった。この法案は、昨年6月の連立政府と大手電力との正式署名を受けて作成され、12月14日には連邦議会(下院)を通過していた。

法案は、原子力発電所の運転期間を32年とし総発電電力量に上限を設けること、2005年7月以降は使用済み燃料の再処理を禁止し直接処分に限ること、各発電所にサイト内での放射性廃棄物の中間貯蔵を義務付けることなどを盛り込んでいる。

上院での審議では、法案に反対する最大野党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が、両院協議会を召集する動議を出したが、過半数を得られずに却下された。国内で稼働中の19基の原子力発電所のうち、12基はCDUとCSUが政権を握るバイエルン、バーデンビュルテンベルク、ヘッセンの3州に集中しており、この3州が中心となって両院参議院での審議の継続を求めた。

こうしたなか、CDUとCSUが次期首相候補に選出したバイエルン州のシュトイバー首相は、脱原子力法の撤回を公約しているほか、独自のエネルギー政策を打ち出す意向を示すなど、SPDと緑の党連立政権に対抗する姿勢を強めている。

2001年の原子力発電電力量、過去最高を記録

ドイツ原子力産業会議(DAtF)によると、昨年1年間の原子力発電電力量は1713億kWhにのぼり、97年に記録した1704億kWhを上回り、過去最高となった。運転中の19基による平均時間稼働率も前年の90.56%から0.87ポイント上がり、91.43%を達成した。総発電電力量に占めるシェアはまだ明らかになっていないが、例年は約3割程度。

こうした高い実績を受けて、DAtFのマイヘル理事長は1月31日、ベルリンで開催された冬期年次大会の挨拶に立ち、原子力法の改正にしたがい、産業界がサイト内中間貯蔵施設の建設や使用済み燃料の輸送を迅速に進めていく意向を示す一方、原子力発電所の運転については今後も継続を求めていく姿勢を強調した。RWEパワー社のCEOを務める同氏は、原子力の役割は総合的なエネルギー政策のなかで評価されるべきだと主張し、連邦政府による脱原子力政策はツギハギだらけであると厳しく批判した。

一方、電気事業連合(VDEW)が2月26日に発表した速報値によると、水力を含む再生可能エネルギーによる2001年の総発電電力量は、前年を7億5000万kWh上回る362億5000万kWhに達し、総発電電力量に占める割合は7%となる見通し。内訳は水力198億kWh(54.6%)、風力115億kWh(31.7%)、バイオマス49億kWh(13.5%)、太陽光5000万kWh(0.1%)。風力発電は新規建設が順調だったことから、前年の95億kWhから21%増えた。

連邦憲法裁判所、連邦政府の越権行為を支持

カールスルーエにある連邦憲法裁判所は2月19日、原子力規制権限を持つ州政府を無視して連邦環境原子炉安全省(BMU)が規制を行ったことは越権行為にあたらないとする判決を下した。ビブリスA、B原子力発電所のバックフィット(改良)作業に関するヘッセン州の許認可権限が一時、BMUによって強制的に執行されたことに対して同州が訴えていた。ドイツでは本来、州政府に原子力規制権限があるが、脱原子力を公約にかかげた社会民主党(SPD)と緑の党からなる連邦政府は98年の発足直後から昨夏まで、例外措置としてビブリス発電所の権限を握っていた。

ビブリスA(PWR、122万5000kW)と同B(PWR、130万kW)発電所は、同州唯一の原子力発電所。87年に起こった冷却材喪失事故(LOCA)の前兆事象をきっかけに、同発電所の安全性が大きな問題となった。91年に発足した同州のSPD・緑の党の連立政権は、99年2月にCDUが政権を奪回するまで、同発電所の所有・運転会社であるRWE社に対して地下式の非常用制御室の建設を含む10億マルクを超える大規模な改良工事を求めた。なお、すでにヘッセン州政府はRWEパワー社が申請していた改良計画を承認しており、今回の裁判がこの計画に影響を及ぼすことはない。

[フィンランド]

議会、新規立地で賛成派と反対派が拮抗

フィンランド政府の新規原子力発電所建設に関する原則決定を受け、議会(1院制)は2月13,14日、新規立地の是非を審議した。審議の際に出された疑問点等については3〜4月にかけて、7つの委員会で検討され、議会で再審議の後、5月にも採決される予定である。

フィンランドでは議会への政府の提出案件に対し、10〜12名の議員で構成される委員会が問題点を整理した上で議会に答申した後議会で採決が行われることになっている。今回の新規立地問題は経済委員会が中心となって検討することになっており、他の委員会からのコメントも参考にとりまとめる。経済委員会は政府の新規立地の原則決定を承認するとの見方が一般的だが、全議員による採決にどう影響を及ぼすかは流動的。

全議員を対象に実施されたアンケート調査によると、200名中、78名が賛成、84名が反対、残る38名は態度を保留している。「ふげん」で2月13日に発見された、濃縮廃液貯蔵タンク下部からのわずかな漏えいが“事故”として取り上げられるなど、反対派の活動が熱をおびてきている。

原子力発電所の建設主体であるテオリスーデン・ボイマ社(TVO)は日本原子力産業会議の質問に答え、「現時点では結果は全く予想できない。世界のあらゆるニュースが採決に影響することもあり、予断を許さない状況にある」と語った。

[ロシア]

ロスエネルゴアトム、2002年に2原発の建設再開へ

ロシアの国営原子力発電会社ロスエネルゴアトムのヤコブレフ上級役員は1月下旬、同社の2001年の事業総括と2002年の重点計画を発表。その中で、バラコボ5号機(VVER-1000、100万kW)とボルゴドンスク2号機(VVER-1000、100万kW)の建設再開の承認を2002年中に得る計画であることを明らかにした。

同氏は、2001年の重要な成果として、ボルゴドンスク1号機(VVER-1000、100万kW)の営業運転開始と、ノボボロネジ3号機(VVER-440、41万7,000kW)の大規模な近代化工事と運転期間の延長、クルスク1号機(RBMK-1000、100万kW)の近代化工事の第2段階における主な作業の終了をあげた。

また、2002年の重点計画として、2原発の建設再開に加え、建設中のカリーニン3号機(VVER-1000、100万kW)の調整運転の開始と、ノボボロネジ4号機(VVER-440、41万7,000kW)の運転期間延長が盛り込まれている。

ノボボロネジ3、4号機はともにVVER-440型炉のプロトタイプで、それぞれ設計上の運転期間(30年間)の終了が2001年12月と2002年12月となっている。これに対して、ロシア原子力省(MINATOM)は2001年7月、同型炉では初めてとなる、両機の運転期間の15年延長を承認。このうち、3号機は準備工事のために2001年4月から運転が停止され、安全性向上のための22項目からなるシステムと機器のアップグレードが実施された。同機は11月12日に再び送電網に接続された。

ロスエネルゴアトム、新総裁にサラエフ氏

MINATOMはロスエネルゴアトムの新総裁にO.サラエフ氏を指名。同氏は2月12日に正式に就任した。

サラエフ新総裁は、1986年より今日までベロヤルスク原子力発電所の所長を務める一方で、2000年から2001年にかけてはロシア原子力学会の会長も務めていた。前総裁のポディシェフ氏は、ロスエネルゴアトムの一セクションである、総合検査局の局長に就任した。

[各国の2001年の運転実績]

パキスタン

パキスタンの2001年の原子力発電電力量は前年の約83%に相当する9億kWh増の19億8,000万kWhを記録。総発電電力量に占める原子力発電の割合も前年の1.7%から2.9%と大幅に上がった。これは、2000年9月に営業運転を開始したチャシュマ原子力発電所(PWR、32万5,000万kW)が通年で稼働したため。

パキスタンには現在、チャシュマ発電所のほかにカラチ原子力発電所(CANDU、13万7,000kW)が運転中で、2001年の平均設備利用率はそれぞれ、60.2%と37.6%。

ブラジル

国営電力会社であるエレクトニュークリア社(ETN)によると、ブラジルの2001年の原子力発電電力量は前年(61億kWh)より134%増の143億kWhで、平均設備利用率が83%を記録した。これは、建設中であったアングラ2号機(PWR、130万9,000kW)が2000年9月から送電を開始したことが寄与している。

ブラジルは現在、アングラ2号機のほかに同1号機(PWR、65万7,000kW)が運転中で、同じサイトには、建設が中断している3号機(PWR、130万9,000kW)もあるが、資金調達のメドがたたず完成が遅れている。

ベルギー

エレクトラベル社によると、昨年1年間の原子力発電量は441億kWhにのぼり、総発電電力量の58.2%を占めた。原子力発電量は前年より17億kWh減少したものの、電力消費量の伸びが前年の3.4%から今回は0.5%に落ち込んだため、結果的に原子力シェアは2.9ポイント上昇した。原子力シェアは通年、フランス、リトアニアに次いで世界第3位を記録している。平均設備利用率は、前年の91.3%より若干減少して87.7%だった。

スペイン

スペイン原子力産業会議によると、2001年の原子力発電量は636億kWhにのぼり、過去最高だった前年の記録を14億kWh上回った。これにより、原子力発電量は99年以来、3年連続の増加となった。ただ、総発電電力量も毎年、5〜6%の伸びを示しているため、原子力発電の占める割合は前年より0.8ポイント減少し、27%となった。9基の原子力発電所の平均稼働率は91%を記録し、99年以来、順調に成績を向上させている。

スイス

スイス原子力協会(SVA)によると、運転中の5基の原子力発電所による2001年の年間発電電力量は、過去最高だった前年を1.3%上回る253億kWhを記録した。平均稼働率は前年より0.6ポイント上昇して、90.6%を達成した。発電のほか、熱供給としてゲスゲン発電所が周辺の工場むけに1億8000万kWh、ベツナウが「レフナ」地域暖房システムむけに1億5000万kWhを供給した。2001年の各発電所の発電量と稼働率は以下の通り。

  • ライプシュタット 91億kWh (90.8%)
  • ゲスゲン 79億kWh (93.3%)
  • ベツナウ1号機 31億kWh (96.8%)
  • ベツナウ2号機 26億kWh (80.4%)
  • ミューレベルク 27億kWh (88.7%)
オランダ

EPZ社によると、ボルセラ原子力発電所(PWR、48万1000kW)は昨年、前年より5000万kWh多い37億5000kWhの電力を供給した。年間の保守と燃料装荷のための運転停止期間は、過去最短記録の14日を達成。また、稼働率も95.3%を記録した。同機はオランダ唯一の原子力発電所で、73年に運転を開始した独シーメンス社製PWR。

ロシア

2001年のロシアの原子力発電電力量は、前年の1,306億kWhより3.3%増の1,349億kWhで、計画値の103.2%を達成した。また、平均稼働率は70.3%で、前年より1.2ポイントのアップ。

総発電電力量に占める原子力の割合は15.4%で、前年より0.5ポイント上昇した。原子力による電力輸出はフィンランド向けの12億kWhのみで、前年の37億kWhより大幅に減少した。

ウクライナ

ウクライナの2001年の原子力発電電力量は762億kWhで、チェルノブイリ発電所の閉鎖にもかかわらず目標値を7.5%上回り、前年の774億kWhより僅かな減少に留まった。平均設備利用率は73.5%で、前年より4.8ポイントのアップ。2000年末のチェルノブイリ発電所3号機(RBMK-1000、100万kW)の運転終了に伴う電力供給の損失分を、既存の原子力発電所の好調な運転によりほぼカバーした。設備利用率が最も高かったのはロブノ2号機(VVER-440、41.6万kW)の83.5%で、最も低かったのは南ウクライナ1号機(VVER-1000、100万kW)の67.3%であった。

2001年に報告された異常事象は67件で、54件はINESのレベル0で、13件はレベル1であった。

リトアニア

リトアニアの2001年の原子力発電電力量は114億kWhで、前年の84億kWhより35%の増加となった。総発電電力量に占める原子力の割合は77.6%で、前年の73.7%より3.9ポイントの増加。

同国唯一の原子力発電所であるイグナリナ発電所(RBMK-1500、150万kW 2基)の2001年の平均稼働率は50%に達した。

アルメニア

アルメニアの2001年の原子力発電電力量は19億kWhとなり、前年の18億4,000万kWhより若干増加、総発電電力量に占める原子力の割合は前年(33.9%)とほぼ同じ34.8%となった。また、平均稼働率は60.5%で、前年とほぼ同じ。

南アフリカ

南アフリカの2001年の原子力発電電力量は113億kWhで、前年(130億kWh)より若干減少した。また、総発電電力量に占める原子力の割合は6%(前年6.8%)で、平均稼働率は68%(前年79.2%)であった。


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