[諸外国における原子力発電開発の動向]
話題を追って (2002年3月中旬〜5月中旬)

米国:2020年に世界のエネルギー消費が60%増加へ

米エネルギー省(DOE)エネルギー情報局(EIA)は3月26日、「2002年版世界エネルギー見通し」(International Energy Outlook 2002: IEO2002)を公表した。それによると、標準ケースの予測(以下同)では、世界のエネルギー消費量は1999年には382QBTU(1015BTU:英国熱量単位)であったが、今後21年間で60%増加し、2020年に612QBTUに達すると予測されている。

世界のエネルギー消費量は、前回予測(IEO2001)と同様に発展途上国を中心に増加傾向を示すとみられている。特にアジアと中南米の途上国では1999年から2020年にかけて2倍以上に拡大すると予測されている。

IEO2002では、1999年から2020年にかけての先進工業国のエネルギー消費量が、前回予測より0.1ポイント上がって年率1.3%で増加すると予測されている。とくに、旧ソ連諸国は2年連続でGDPがプラス成長となり、それにともなって同地域のエネルギー需要は1999年から2020年にかけて年率1.8%で増加すると予測されている。また、世界のエネルギー需要は、2002年には回復するとみており、石油需要もそれにともない日量60万バレル程度(2002年)増加すると予測されている。

2001年の国際石油価格は、石油輸出国機構(OPEC)が適正レンジ(価格幅)としている22j/バレル〜28j/バレルで推移。9月の米国での同時多発テロ以後はいったん高騰したものの、石油需要が大幅に低下したため、22j/バレル以上の価格設定は難しくなった。2020年の国際石油価格は2000年j平価で25j/バレル(名目で42j/バレル)に達すると予測されている。

燃料別にみた世界のエネルギー消費

過去数十年間にわたり最大の一次エネルギー源であった石油は、1999年から2020年の予測期間中もエネルギー消費量全体の40%を占めると予測されている。石油の消費量は年率2.2%で増加し、1999年の7,500万バレル/日から2020年には1億1,900万バレル/日に達する見通し。

最も消費量の増加が大きいと予測されるのは天然ガスで、2020年には1999年の倍近くの162兆立法フィートに達するとみられている。エネルギー消費量全体に占める割合も1999年の23%から2020年には28%に上昇する。とくに天然ガスは発電部門でのエネルギー消費量増加分の43%を占める。

石炭の消費量は予測期間中、年率1.7%と低調な伸びで、エネルギー消費量全体に占める割合は1999年の22%から2020年には20%に落ち込むとみられている。

前回予測(IEO2001)では、世界の原子力発電設備容量は2010年に3億6,500万kWに増加したあと、2020年には3億5,100万kWに低下すると予測されていた。しかし、IEO2002では、運転認可の延長により原子力発電所の閉鎖が先送りされるため、原子力発電設備容量の低下に歯止めがかかるとの見通しが示された。それによると、原子力発電設備容量は2000年の3億5,000万kWから2010年には3億6,500万kWに増加したあと、2020年に3億5,900万kWになると予測されている。

再生可能エネルギーは、予測期間中は53%増加するものの、エネルギー消費量全体に占める割合は現在の9%が2020年までに8%に低下すると予測されている。

世界の電力消費量は、1999年の13兆kWhから2020年には22兆kWhへと約1.5倍増になると予測されている。とくに、アジアの発展途上国では電力消費量が予測期間中に年率4.5%で増加するとみられている。

炭酸ガス排出

IEO2002では、世界の二酸化炭素排出量は1999年の61億dC(炭素換算d)から2010年には79億dC、また2020年には99億dCに達すると予測されている。炭酸ガス排出量の増加分の大半は発展途上国からのもので、予測増加分の全体に占める割合は2010年までで77%、2020年まででは72%とみられている。

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