[諸外国における原子力発電開発の動向]
主なできごと (2002年6月中旬〜7月中旬)

米国:ヤッカマウンテン貯蔵所が正式決定

−両院の承認を受け、大統領が署名

ブッシュ大統領は7月23日、ネバダ州ヤッカマウンテンを核廃棄物(原子力発電所の使用済み燃料と軍事部門から発生した高レベル放射性廃棄物)の貯蔵所として認める共同決議案H.J.Res 87に署名した。これにより、ヤッカマウンテンに核廃棄物の貯蔵所を建設することが正式に決定した。ヤッカマウンテン・プロジェクトの実施主体であるエネルギー省(DOE)は正式決定を受け、原子力規制委員会(NRC)に提出する貯蔵所の建設許可申請の作成に着手する。申請書の提出は2004年末頃になるとみられている。

ブッシュ大統領は今年2月15日、エネルギー省(DOE)のエイブラハム長官の勧告を受け、ヤッカマウンテンを核廃棄物の貯蔵所とすることを承認した。しかし、ネバダ州のグイン知事が4月8日、核廃棄物政策法に規定された手続きにしたがい、大統領の決定に拒否権を行使することを議会に通知したため、最終決定は議会に委ねられることになった。

「ヤッカマウンテンを商業用原子力発電所の使用済み燃料と軍事計画にともなって発生した高レベル放射性廃棄物の永久的な地下処分施設として認める」という共同決議案(joint resolution)が下院で先議(下院先議の共同決議案はH.J.Resと銘打たれる)され、5月8日、306対117で承認された。また、上院でも7月9日に採決が行われ、60対39で承認されたため、今回、大統領による署名にこぎつけた。当初、民主党が多数を占める上院での採決が注目を集めたが、民主党議員15名が賛成に回ったため、大差での承認となった。

 一方、議会によって拒否権が覆されたネバダ州は、共和党のグイン知事を筆頭に、党派を越えて反対していく姿勢を崩していない。グイン知事は、ヤッカマウンテン・プロジェクトに異議を唱えて提訴した5件の訴訟を継続する意向を示している。

[終わり]

Copyright (C) JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. (JAIF) All rights Reserved.