[諸外国における原子力発電開発の動向]
主なできごと (2002年7月中旬〜8月中旬)

KEDO、北朝鮮の軽水炉建屋建設に着手

−米朝間の摩擦で先行きは不透明

 朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)は8月7日、北朝鮮東海岸の琴湖(クムホ)サイトで軽水炉の建屋本体部分の建設工事に着手した。同日には記念式典が行われ、原子炉を設置する土台部分のコンクリートが注入された。

 KEDOの軽水炉建設プロジェクトは、1994年の「米朝枠組み合意」に基づくもので、北朝鮮に核開発を断念させるのと引き換えに、100万kW級の軽水炉2基を提供するもの。総事業費は約46億jと見積もられている。

 式典に出席した米国のプリチャード特使は、2005年半ばに軽水炉の主要部品が搬送されるが、その前に北朝鮮は国際原子力機関(IAEA)による核関連施設の査察を受け入れるよう要求した。「米朝枠組み合意」では、搬入前にIAEAの査察を義務付けており、査察には3年程度かかるため、一日も早い受け入れを北朝鮮に求めている。一方、北朝鮮側はこれを拒否するとともに、軽水炉完成が当初の計画より大幅に遅れたため、米国に対してその補償を求めている。

 軽水炉建設プロジェクトの主契約者である韓国電力公社(KEPCO)は、KEDOによる北朝鮮への軽水炉提供は当初の予定の2003年から遅れて、早くとも2008年以降になる見通しを明らかにした。遅延の原因は、KEDOが軽水炉建設に従事している北朝鮮労働者の賃上げを拒否したため、北朝鮮が現場から労働者を引き上げさせたことにある。そのため、KEDOはウズベキスタン政府と協定を結び、約630人の代替労働者を雇用して、急場を凌いだ。

 こうした米朝間での摩擦によって、早くても2008年と見込まれている軽水炉の運転開始が、さらに遅れる可能性がある。また、査察問題が解決しても、北朝鮮の送電網が整備されていないという問題がある。軽水炉建設プロジェクトではKEDOに送電線敷設の義務がないため、現在検討中である。

 なお、琴湖の建設サイトでは、すでに1997年8月から基礎工事がスタートしており、1999年12月には、KEDOとKEPCOとの間で本体工事のターンキー契約が結ばれた。契約調印を受け、KEPCOは日韓の企業と下請け契約を結び、1次系(原子炉系統)は韓国の斗山重工業が、2次系(タービン・発電機系統)を斗山重工業と日本の日立製作所、東芝がそれぞれ供給することになった。

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