[諸外国における原子力発電開発の動向]
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米国:エンタジー社、バーモントヤンキー発電所の買収を完了

 エンタジー社は7月31日、バーモントヤンキー・ニュークリア・パワー(VYNP)社所有のバーモントヤンキー原子力発電所(BWR、54万kW)の買収が完了したと発表した。

 エンタジー社は2001年8月、バーモントヤンキー発電所を1億8,000万jで買収することでVYNP社と原則合意した。合意内容では、廃炉措置が完了する2022年以降に廃炉基金から余剰金が出た場合、エンタジー社とVYNP社の出資者が受け取ることになっていた。しかし、バーモント州の公益事業委員会(PSB)は今年6月、エンタジー社が余剰金の全額を消費者に返納するよう合意事項の修正を求めた。エンタジー社は、これを不服としてPSBに再考を求めた。しかし、PSBが申し入れを拒否したことから、同社はVYNP社側に合意内容が認められなければ契約を破棄する旨を通知した。その後7月22日、契約内容を1部変更することでエンタジー社とVYNP社が基本合意した。

 最終的なエンタジー社とVYNP社の契約内容は、@VYNP社の共同出資会社8社のうち、バーモント州以外の6社の電力需要家によって拠出された廃炉基金の余剰金だけをエンタジー社が受け取ること、A元所有者が今後10年間にバーモントヤンキー発電所で発電された電力を購入すること――というもの。

 VYNP社は1999年10月、バーモントヤンキー発電所を2,350万jでアメージェン社へ売却することで合意、2000年7月には原子力規制委員会(NRC)から運転認可の移転も承認された。しかし、エンタジー社が2001年1月にバーモント州の公益事業委員会に対し同発電所を入札にかけるよう要請し、さらに買収額としてアメージェン社の2倍以上に相当する5,000万jを提示した。

 これを受け、PSBは2001年2月、入札で売却することが同発電所の価値を最大限に高めることができると判断、アメージェン社との取引そのものを却下した。その後、VYNP社は同3月に同発電所を入札で売却することと決定。同発電所の競争入札には、エンタジー社とアメージェン社のほか、ドミニオン・リソーシーズ社とコンステレーション・エナジー社が参加、最終的にエンタジー社が落札していた。

 なお、エンタジー社は、バーモントヤンキー発電所を買収したことによって、合計10基の原子力発電所を所有することになった。

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