[諸外国における原子力発電開発の動向]
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リトアニア:議会、イグナリナ2号機の2009年閉鎖を承認

リトアニア共和国議会(セイマス)は10月中旬、イグナリナ発電所1号機(RBMK-1500、150万kW)の2005年閉鎖に加えて、同2号機(同)の閉鎖を2009年とする国家エネルギー戦略の修正を承認した。修正エネルギー戦略では、同国唯一の原子力発電所であるイグナリナ発電所の完全閉鎖の期限を設定する一方で、今後も原子力発電オプションを保持することが盛り込まれている。

旧ソ連型炉の軽水冷却黒鉛減速炉(RBMK)であるイグナリナ発電所については、EUが安全性に対して強い懸念を示しており、閉鎖への支援ならびにリトアニアのEU加盟交渉の開始と引き替えに、同国に対して1号機を2005年、2号機を2009年までに閉鎖することを要求。これに対し、リトアニア議会は2000年5月、1号機を2005年に閉鎖し、2号機については閉鎖時期に関する議論を2004年以降に開始するとした国家エネルギー戦略を承認した。

しかし、EU側は加盟の条件として2号機の2009年閉鎖の確約を求める態度を緩めず、その後もリトアニア側と交渉が続けられた。そして今年6月、EUがイグナリナ発電所の閉鎖作業に加えて、閉鎖による国内経済への影響への対応も含めた広範な資金援助を行うことを条件に、リトアニアが2号機の2009年閉鎖を明確にするとの基本合意に達した。これを受けてリトアニア政府は7月、この合意に基づいた国家エネルギー戦略の修正を決定し、議会での審議が開始された。一方、EU側はこうした動きを受け、EU拡大の第一陣となる2004年加盟候補国のリストにリトアニアを正式に加えた。

リトアニアは6月下旬、イグナリナ発電所の廃止措置の費用として、1億2,500万米ドルの支援を受ける協定を出資者との間で締結した。出資者は欧州連合(EU)加盟8カ国、欧州復興開発銀行(EBRD)、ノルウェー、ポーランド。

なお、修正エネルギー戦略では、海外からの閉鎖のための十分な援助が受けられない場合と、閉鎖によって国内経済が深刻な影響を受ける場合には、イグナリナ2号機を2009年に閉鎖しないとしている。議会では、2005年の閉鎖が既に決まっている1号機についても、同様の条件を提示するとしている。

また、修正戦略では、リトアニアは原子力発電を放棄すべきでないとして、新規の原子力発電所建設への法的、財政的、政策的な支持を明らかにしている。そして、先ず原子力発電の再導入についての調査を開始すべきであるとしている。

イグナリナ発電所の2001年の発電電力量は114億kWhで、リトアニアの総発電電力量に占めるシェアは77.6%であった。(原産マンスリー2002年8月号参照)

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