[諸外国における原子力発電開発の動向]
主なできごと (2002年11月中旬〜12月中旬)

英国:BE社、カナダの原子力発電事業から撤退

―事業再編計画で建て直し

ブルース発電所(A:1〜4号機:CANDU、各90.4万kW:96〜98年から運転休止/B:5〜8号機 各84.0万kW、CANDU=運転中)を運転するブルース・パワー(BP)社の15%を所有しているカメコ社は2002年12月23日、カナダの2社とコンソーシアムを組み、英国のブリティッシュ・エナジー(BE)社からBP社の79.8%を取得することで合意したと発表した。またBE社は、残りの2.6%をブルース発電所労組に売却することでも合意、カナダの原子力発電事業から完全に撤退することになった。正式契約は2003年2月14日までに行われる。

BP社は、BE社のカナダ法人であるBEカナダ社(82.4%)、カメコ社(15%)、ブルース発電所の2労組(合わせて2.6%)がブルース発電所の運転のために設立した電気事業者。2001年5月にカナダ原子力安全委員会(CNSC)から運転認可の発給を受けて、同発電所を所有するオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社との間でリース契約を結んだ。

カメコ社とコンソーシアムを組むのは、トランスカナダ・パイプライン社(TransCanada)とBPCジェネレーション・インフラストラクチャー・トラスト(BPC)の2社。コンソーシアムはまた、BE社が所有しているオンタリオ州で最初の風力発電会社であるフーロン・ウィンド社の50%も取得することで合意している。

合意では、カメコ社がBEカナダ社からおよそ1億9,800万カナダドル(契約完了時点で金額が若干修正される可能性がある)で新たにBP社の16.6%を獲得し、既存の15%と合わせて31.6%を所有する。TransCanadaとBPCもそれぞれBP社の31.6%を所有する。

コンソーシアムは、休止中のブルースA発電所3、4号機の運転再開作業を引き続き進めるとしており、計画通り4号機は2003年4月に、3号機は同6月に運転開始する見込み。

カメコ社はBP社に対する増資により、ブルース発電所のリース期間中にBP社がOPG社に支払う総額2億2,500万カナダドルの3分の1に相当する7,500万カナダドルを分担する。また、CSNCは運転認可の発給に際して、何らかの原因によりブルース発電所の長期間の運転停止が生じた場合に備えて、収入がなくても6カ月間はプラントの維持・管理ができる財務保証を要求しており、カメコ社は出資分に応じて負担する。

TransCanadaは北米で天然ガスと電力の供給を行っている一大エネルギー企業で、今回の契約完了時点で所有する運転中または建設中の発電設備容量は415万kWになる。BPCはオンタリオ州被雇用者退職機構(OMERS)によって設立されたカナダ最大の年金基金で、運用資産は340億カナダドル。

経営不信に陥ったBE社の建て直しのため、英国政府は2002年9月に同社に対する6億5,000万英ポンドの緊急財政支援を決定。同11月28日には、2003年半ばまでに北米資産を売却するなどとした同社の事業再編計画を承認した。事業再編計画に沿ってBE社は、2003年2月14日までにカナダBP社の保有株式を売却するとともに、同6月30日までに米国のアマージェン社の50%を売却する協定を締結することを決定した。BE社はこれらの所有資産売却から得られた資金を英国政府に対する債務の支払いの一部に充当する。

[終わり]

Copyright (C) JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. (JAIF) All rights Reserved.