[諸外国における原子力発電開発の動向]
主なできごと (2003年2月中旬〜2003年3月中旬)

スウェーデン政府、バーセベック2号機の閉鎖時期延期を提案

―代替電源の見通し立たず

 スウェーデン政府は3月20日、今年末とされていたバーセベック2号機(BWR、61万5000kW)の早期閉鎖期限を2004年末まで延期することを議会に提案した。議会は6月11日に採決の予定。

 バーセベック2号機の閉鎖期限はこれまで数回にわたって延期されてきた。政府が今回も延期を提案した理由は、これまでと同様2号機の閉鎖条件とされている閉鎖に伴う代替電源(約40億kWh)を確保する見通しが立たなかったためである。政府は2004年半ばまでには代替電源を確保する目処がつくとしているが、L.パグロツキー産業・雇用・通信相は、「2004年内の代替電源確保は難しい」と発言するなど、2号機の閉鎖時期については依然不透明感。

 送電網を所有・運営するSvenska Kraftnat社は現在、政府の要請に従い、代替電源の確保に奔走している。同社は、国内の2大電力会社であるバッテンフォール社とシドクラフト社に、石油火力発電所からの電力提供を呼び掛けているが、石油火力発電所の大部分は、1996年の電力市場自由化以来、運転を停止しているのが現状。

 スウェーデンでは2002年6月、原子力発電所の段階的廃止に期限を設定せず、ドイツと同様に脱原子力政策の継続について原子力発電事業者との合意を模索する内容を盛り込んだエネルギー政策法が成立している。これに従い政府が2002年夏から事業者との調整に乗り出しているが、政府は今回新たに、バーセベック2号機の閉鎖問題を事業者との交渉で解決する意向も明らかにした。

 しかし原子力発電事業者側は、同国の原子力発電所の経済性を損ねている要因である原子力発電税を撤廃しない限り、将来のエネルギー政策に関するいかなる交渉にも応じないと、激しく反発している。この原子力発電税は、実際の発電電力量ではなく認可出力に基づいて課税される固定税で、民営電力であるシドクラフト社は今年2月、原子力発電税の即時撤廃を要求。国営電力のバッテンフォール社も3月、このままでは今後2年以内にリングハルス1-4号機なども閉鎖せざるを得ないとの見方を示し、原子力発電税の廃止を強く訴えた。

[終わり]

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