[諸外国における原子力発電開発の動向]
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米USEC、SILEX濃縮プロジェクトから撤退

 米国濃縮会社(USEC)は4月30日、1996年から出資してきたオーストラリアのSILEX(Separation of Isotopes by Laser Excitation)プロジェクトから撤退すると発表した。

 USECはSILEXプロジェクトから撤退する理由として、技術的に問題があり実用化にも時間を要することなどをあげている。同プロジェクトからの撤退を受け、USECは改良型ウラン遠心分離技術の研究開発と実証に活動の重点を移す。SILEXは、オーストラリアのSILEXシステム社が開発していたレーザー濃縮技術の1つで、1996年11月にUSEC社が同技術の独占使用権を買い取って開発が進められてきた。

 USECが1996年にSILEX技術の開発に参加して以来、1998年にはパイロット・モジュール・プログラム(小規模実験)が開始された。USECはこのプログラムの結果をみて、次の段階であるフルスケールのパイロット・モジュールの設計に着手することにしていた。

 USECは2002年9月、米エネルギー省(DOE)との間で、新型のウラン遠心分離機の共同開発に合意した。それによると、オハイオ州ポーツマスの実証施設で遠心分離法を採用した240台の遠心分離機がテストされることになっており、すでにUSECは2003年2月に同施設の設置許可を米原子力規制委員会(NRC)に申請した。NRCから承認が得られ次第、建設に着手し、2005年の稼働開始を目指す。総費用は1億5,000万j。

 USECは実証施設での運転を踏まえ、DOEと共同開発した遠心分離技術を採用した濃縮工場の建設に2007年以降に着手する予定。操業開始するのは早くても2009年以降とみられている。建設費用は10億j〜15億jと推定されている。

 なお、USECとDOEの共同プロジェクト以外にも、ヨーロッパの濃縮会社であるウレンコ社(英国、オランダ、ドイツの共同出資)主導のコンソーシアム(ルイジアナ・エナジー・サービス:LES)が最新の遠心分離技術を導入した濃縮工場をテネシー州ハーツビルに建設するプロジェクトを進めている。LESは今後、NRCに建設許可申請書を提出し、2005年の着工を目標としている。建設費は総額11億jで、2008年の操業開始を目指す。

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