[諸外国における原子力発電開発の動向]
最近の動き (2003年5月中旬〜2003年6月中旬)

[中 国] 秦山V-2号機が初送電

 浙江省海塩で建設を進めている秦山V期プロジェクトの2号機(CANDU、70万kW)は6月12日に東部送電網に接続した。同機は4月29日には初臨界に達していた。

 秦山V-2号機は、当初の計画より91日早く発電を開始したことから、7月中にも営業運転に入る可能性が高くなった。

 秦山V期プロジェクトは第9次5ヵ年計画に組み込まれており、1号機は1998年6月、2号機は同9月にそれぞれ着工した。建設費は2基合わせて40億jで、カナダの政府系金融機関から融資を受けている。なお、同じサイトにある1号機(同)は2002年12月31日に営業運転を開始している。

[米 国] ディアブロキャニオン発電所の運転認可移転が承認

 米原子力規制委員会(NRC)事務局は6月3日、ディアブロキャニオン原子力発電所(PWR、110万kW2基)の運転認可をパシフィック・ガス&エレクトリック(PG&E)社からエレクトリック・ジェネレーションLLC社とディアブロ・キャニオンLLC社への移転を承認した。

 PG&E社は2001年11月30日、同社の破産にともなう財政再建計画の一環として、NRCに対し運転認可の移転を申請しており、移転後は間接的な完全子会社2社がディアブロキャニオン発電所を所有することになる。なお、同発電所の廃炉措置に関する資金供給は全面的に新しい所有者が責任を負う。

学校給食に放射線照射挽き肉を採用へ

米農務省(USDA)は5月29日、対象者が約2700万人にも達する学校給食プログラム(National School Lunch Program:NSLP)のもとで提供される放射線照射挽(ひ)き肉に関する仕様を公表。来年1月から、放射線照射された挽き肉を学校給食に出すことができるようになった。照射挽き肉を採用するかどうかの判断は各学校区に委ねられる。USDAの食品・栄養局(Food and Nutrition Service)は、判断材料とするための広報資料をすべての学校区に対して提供することになっている。

2002年農業法案は、NSLPのもとで購入される食品については、承認された食品安全技術の利用を妨げないようUSDAに対して指示している。こうした技術の中には放射線照射(食品照射)も入っている。食中毒の原因となるサルモネラ菌や大腸菌などの殺菌に放射線照射が有効であることが40年以上に及ぶ試験から立証されている。

今回、NSLPで使用することができるようになった挽き肉については、食品医薬品局(FDA)が1997年に生肉と家禽(かきん)製品への照射を承認している。FDAは、世界中で実施された膨大な調査に科学的な検討を加え、病気の原因となる微生物を減らす上で放射線を照射することは安全であるだけでなく、照射された製品の栄養価が損なわれるようなこともないと結論付けた。USDAの食品安全検査局も99年、生肉と家禽製品への放射線照射を承認した。

USDAのムラノ食品安全担当次官は、食品を媒介とする病気から一般公衆をまもることがUSDAに課せられた優先課題であるとした上で、放射線照射技術は食品の安全をさらに高める方法であると指摘している。

[英  国] NDA設立法案を発表

 政府は6月24日、原子力廃止措置機関(NDA:Nuclear Decommissioning Agency)の設立に向けた法案を発表した。今後、同案に対する意見を聴取し、年内に議会へ提出、2005年4月までにNDAを立ち上げる予定である。

 NDA(2003年2月にLMA:Liabilities Management Agencyより改称)は省庁から独立した公的機関として位置付けられ、英原子燃料会社(BNFL)と英原子力公社(UKAEA)が保有する施設の法的、財務面の責任を負う。実際の施設運営はこれまで通り各社が行うが、NDAは施設所有者と規制当局の間に立ち、廃炉・除染の計画を推進することになる。

 1940年代から1960年代にかけて政府によって建設された施設と、各種の活動によって発生した廃棄物、そして1960年代から1970年代に設計・建設されたマグノックス炉(現在はBNFL所有)が原子力債務の85%を占めている。これらの債務は政府が引き受けているのに対し、民間企業であるブリティッシュ・エナジー社は、廃炉費用を化石燃料賦課金と自社内部の基金で負担している。貿易産業省が2002年7月に公表した白書によると、2002年3月段階で廃炉・除染にともなう債務は、BNFLが405億ポンド、UKAEAが74億ポンドと試算されている。

[フランス] フェニックス、4年半ぶりに運転再開

 改造工事のため運転を停止していた高速増殖炉(FBR)原型炉のフェニックス(25万kW)が6月14日、約4年半ぶりに運転を再開した。同炉を所有・運転する原子力庁(CEA)は、閉鎖予定である2008年まで同炉を用いて長寿命核種の分離・核変換に関する12の研究プロジェクトを実施する予定。

 同炉は運転開始から25年がたった1998年に運転を停止し、約2億5,000万ユーロをかけて総点検を行い、中間熱交換器の交換のほか、炉心の支持構造物や耐震防護施設に改造が施された。今年1月7日には、原子力安全・放射線防護総局(DGSNR)により運転再開が許可されたが、臨界前試験が長引き、再稼働が遅れていた。

 フランスでは、1991年に施行された放射性廃棄物管理研究法にしたがい、将来の長寿命核種の処分方法を選択するため、CEAと放射性廃棄物管理庁(ANDRA)が分担して分離・核変換のほか深地層処分や中間貯蔵に関する研究成果を2006年までに国民議会に提出することになっている。フェニックスは、前政権が経済性を理由に閉鎖したFBR実証炉スーパーフェニックス(FBR、124万kW)に代わって分離・核変換研究に利用されることになっている。しかし、深地層処分研究も遅れていることから、予定通り研究成果が出揃うか疑問視されている。

[スイス] 反原子力イニシアチブに対する国民投票結果

 5月18日に実施された2つの反原子力イニシアチブ(国民発議)に対する国民投票は、以下のような結果となり否決された(詳細は6月号)。運転中の原子力発電所のうち、比較的古いベツナウ1、2号機(PWR、各38万kW)とミューレベルク(BWR、37万2,000kW)の3基をイニシアチブ可決後2年以内に、残りの2基を30年間の運転後に閉鎖するほか再処理も禁止する「パワー・ウィズアウト・ニュークリア(PWN)」というものと原子力発電所の新規建設をさらに10年間、凍結した上で、運転中の5基の原子力発電所の出力増強を禁止し、運転期間を40年間に制限する「モラトリアム・プラス(MP)」という2つの提案について賛否が問われた。

 イニシアチブは、「賛成」が投票総数の過半数を占めると同時に、23州(20州と6準州)のうち過半数以上の州が「賛成」した場合に成立する。なお、賛成を投じたバーゼル州(2つの準州)は、環境保護や反原子力の運動の拠点となっている。

○スイスの反原子力イニシアチブに関する国民投票結果 出典:スイス原子力協会(SVA)

[スウェーデン] バーセベック2号機の閉鎖時期、2004年末に延期

 スウェーデン議会は6月10日、今年末とされていたバーセベック2号機(BWR、61万5000kW)の早期閉鎖期限を2004年末まで延期することを承認した。政府は同閉鎖期限の延期を3月20日に議会に提案していた。

 バーセベック2号機の閉鎖期限はこれまで数回にわたって延期されてきた。政府が今回も延期を提案した理由は、これまでと同様2号機の閉鎖条件とされている閉鎖に伴う代替電源(約40億kWh)を確保する見通しが立たなかったためである。政府は2004年半ばまでには代替電源を確保する目処がつくとしているが、L.パグロツキー産業・雇用・通信相は、「2004年内の代替電源確保は難しい」との認識を示している。また同国の送電網を所有・運営するSvenska Kraftnät社が、「2号機が閉鎖された場合、南部スウェーデンへの電力供給は、厳冬期には電力輸入に頼るとしても危機に瀕する」と警告していることから、今回延期された2号機の閉鎖時期も今後さらに延期される可能性がある。

 スウェーデンでは2002年6月、原子力発電所の段階的廃止に期限を設定せず、ドイツと同様に脱原子力政策の継続について原子力発電事業者との合意を模索する内容を盛り込んだエネルギー政策法が成立している。これに従い政府は2002年夏から事業者との調整に乗り出しており、政府としては、バーセベック2号機の閉鎖問題も含め、国内すべての原子力発電所の段階的廃止政策について、2004年4月末までに事業者となんらかの合意に達したい意向である。

 しかし原子力発電事業者側は、同国の原子力発電所の経済性を損ねている要因である原子力発電税を撤廃しない限り、将来のエネルギー政策に関するいかなる交渉にも応じないと、激しく反発している。この原子力発電税は、実際の発電電力量ではなく認可出力に基づいて課税される固定税で、民営電力であるシドクラフト社は今年2月、原子力発電税の即時撤廃を要求。国営電力のバッテンフォール社も3月、このままでは今後2年以内にリングハルス1-4号機なども閉鎖せざるを得ないとの見方を示し、原子力発電税の廃止を強く訴えた。

[ロシア] 第1再処理工場の改造、MINATOMが承認

ロシア原子力省(MINATOM)のルミャンツェフ大臣は6月上旬、オゼルスク(旧名:チェリャビンスク-65)にある生産合同マヤクの第1再処理工場(RT-1)の改造を承認した。

RT-1は、軍事用プルトニウム抽出施設として1948年から操業を開始した放射化学工場を、VVER-440、FBR(BN-600)、舶用炉、研究炉の使用済み燃料を再処理できるように改造したもので、1977年から運転を開始。処理能力は年間400tUで、現在はロシア国内のほか、ブルガリアやウクライナの使用済み燃料も再処理している。MINATOMによれば、今回承認された改造は、VVER-1000型炉の使用済み燃料の再処理も可能にするもので、あわせて施設に隣接する湖を水源とするチェシャ川への放射性物質の放出防止策もとる。完成は2011年の予定。

MINATOMは1984年、VVER-1000の使用済み燃料再処理のため、ジェレズノゴルスク(旧名:クラスノヤルスク-26)鉱山化学コンビナートに、年間処理能力1,000〜1,500tUの第2再処理工場(RT-2)の建設を開始した。当初は2005年に運転開始の予定であったが、資金難で建設が中断。2002年5月末のMINATOMの発表では完成は2020年頃の見込みになっている。

現在、国内外のVVER-1000型炉から発生した使用済み燃料は、鉱山化学コンビナート敷地内の施設に中間貯蔵されている。MINATOMは、RT-2が完成するまでの繋ぎとして、RT-1を改造してこれらの再処理に対応するとしている。

バラコボ発電所内の放射性廃棄物処理施設が運転開始

ロシアの国営原子力発電会社ロスエネルゴアトムは6月中旬、バラコボ発電所(VVER-1000、100万kW×4基)サイト内の放射性廃棄物処理施設が運転を開始したと発表した。処理施設では、バラコボ発電所内で貯蔵ならびに今後発生する固体廃棄物をカテゴリー別に分別した後、焼却減容が行われる。

施設の建設は、ロスエネルゴアトムとのターンキー契約に基づいて、ドイツのRWEニューケム社によって2002年に着工。同社は、施設の基本・詳細エンジニアリング、機器の搬入・据付ならびに起動の監督、従業員訓練などを実施した。

ロスエネルゴアトムは、2006年までに同様の固体放射性廃棄物処理施設を、クルスク、コラ、カリーニン、スモレンスクの各発電所サイトに設置する他、2005年までにレニングラード発電所サイトに液体放射性廃棄物処理施設を建設・運転することを計画している。

[ロシア−米国] プルトニウム生産炉の代替火力建設で米側の業者選定

米エネルギー省(DOE)国家安全保障局は5月27日、ロシアのシベリアにある旧秘密都市で稼働中の元兵器級プルトニウム生産炉3基の閉鎖に伴う代替石炭火力発電所の建設作業請負業者としてワシントン・グループ・インターナショナル(WGI)社とレイセオン・テクニカル・サービス社の2社を選定したと発表した。契約総額は4億6,600万米ドル。

ソ連時代に核兵器の開発拠点となっていた秘密都市にある軍事用プルトニウム生産炉は、ソ連崩壊と冷戦終了に伴いその多くが役割を終え、閉鎖された。しかし、ロシアの原子力産業が軍需から民需への転換を進める中で、セーベルスク(旧名:トムスク-7)のトムスク4、5号機(各LWGR、10万kW)と、ジェレズノゴルスク(旧名:クラスノヤルスク-26)にあるクラスノヤルスク3号機(LWGR、10万kW)の3基がコンビナートと都市への熱と電力の供給を目的に運転が続けられている。これらの元プルトニウム生産炉は、1日半の稼働で核弾頭約1基分の兵器級プルトニウムの生産能力があり、米国は核不拡散プログラムの中で閉鎖を重要なステップと位置付けている。

米露は今年3月12日、ロシアで稼働中の元プルトニウム生産炉3基の閉鎖に関する合意文書に調印。これら3基の閉鎖の見返りに、米国の支援により代替となる化石燃料火力による熱電併給プラントを建設することが取り決められた。米国側の作業契約発注先業者の選定は、具体的な閉鎖作業の開始に伴いDOEによって行われたもので、選定された2社はロシア側の閉鎖作業請負会社であるロスアトムストイとともに作業に従事する。DOEのエイブラハム長官はロシア原子力省のルミャンツェフ大臣に宛てた書簡の中で、2社とDOE国家安全保障局との契約締結を6月30日までに行うとしている。

WGIはセベルスクでの作業を担当し、既存の化石燃料火力発電所の改装を支援する。

主要な作業は、既存の石炭火力ボイラーの更新または交換、高圧石炭火力ボイラーの新設、タービン発電機の交換、燃料供給施設の完成、産業用熱供給施設ならびに補助システムの更新などで、作業期間はロスアトムストイとの契約締結後、原子炉閉鎖が完了するまでの5年間の予定。

また、レイセオン社はジェレズノゴルスクでの作業を担当し、8年間で新規の化石燃料施設の建設を支援する。主な作業は、熱電併給ボイラー、抽気復水蒸気タービン、熱供給ボイラー、燃料取扱システム、灰移送システムなどの建設、新設プラントと地域暖房システムとを接続する熱水パイプライン敷設など。

3基の元プルトニウム生産炉は、熱電併給プラントが完成するまで運転が続けられるが、設計、機器、材料などの面で欠陥が指摘されており、世界で最も危険性の高い部類の原子炉と認識されている。したがって運転継続には、早急に安全性向上のためのアップグレードが必要であり、DOEのパシフィック・ノースウェスト国立研究所が改良作業を担当することになっている。(原産マンスリー2002年4/5月号参照)

[ロシア−アルメニア] ロシア、アルメニアに新燃料輸送

ロスエネルゴアトムはこのほど、ロシアで製造された燃料集合体103体がアルメニア2号機(VVER-440、40万8,000kW)に輸送されたことを明らかにした。4月4日から運転を停止している同機は、燃料装荷後、ただちに運転を再開する予定。ロシアで送電網の運営と原子力以外の発電所の運転を行っているロシア単一電力系統(RAO EES)がロスエネルゴアトムから燃料集合体を購入して、アルメニアに供給した。

ロシアとアルメニアの間では、ロシアから輸出された核燃料の代金が、アルメニア国内の経済状況の悪化により未払いとなっていることが問題になり、新燃料の供給について両国間で協議が行われていた。2002年末、両国は今後の燃料供給と代金の返済方法についての取決めに合意し、RAO EESが燃料を供給する代わりにアルメニア発電所の財務管理を行うことになった。

ロシアとの合意についてアルメニアのモブシシャン・エネルギー大臣は、発電所の財務管理をロシア側に移管したことは、同国の経済見通しを考えての判断であるとした上で、国内の電力需要を賄うためにはアルメニア発電所の運転継続が最優先であるとの認識を示した。また、アルメニア発電所は国内需要を賄うだけではなく、国外に輸出する電力を生産する余裕もあり、政府としては、アゼルバイジャンやトルコなどの近隣諸国への電力輸出のアレンジをロシアに期待していると語った。

アルメニア2号機はアルメニアで運転中の唯一の原子力発電所で、2002年には21億kWh、同国の発電電力量の41%を供給した。

[南アフリカ] 環境保護団体のPBMR反対訴訟が棄却

プレトリア高等裁判所は6月3日、環境保護団体がペブルベッド・モジュール高温ガス炉(PBMR)原型炉建設計画を阻止するために起した訴えを棄却する判決を下した。

PBMR計画を中心となって進めている南アフリカ電力公社(Eskom)は5月中旬、政府によるライセンスの発給などの法的手続きが完了することを前提に、原型炉建設を開始する準備が整ったと発表。建設の許可を求める申請を環境・観光省(DEAT)に提出した。建設候補地には、ケープタウンに近いクバーク発電所サイトがあげられている。

これに対して、環境保護団体「アースライフ・アフリカ(EA)」のケープタウン支部は5月19日、DEATの事務次官がPBMR原型炉建設の可否についての判断を下す前に、意見を述べる機会を与えることを求め、緊急請願を裁判所に提出した。EAはまた、事務次官が決定に際して判断材料とする全ての関係文書の閲覧も求めた。

6月3日の判決でプレトリア高等裁判所のウェブスター裁判長は、EAは6カ月以上前からPBMR原型炉建設計画が決定段階に達していたことを知っており、今回の請求は緊急性も納得できる理由もないとして棄却。同裁判長は、Eskomの建設申請が法律で定められた手続きを進めるように勧告されたのは3月であり、EAはこれ以降に権利を行使することも可能であったにも係らず、何も行わなかったと指摘した。

DEATは、Eskomが原型炉建設の申請を正式に行った後、公開ヒアリングや書面での公示を含む必要な意見聴取を実施した。また、環境影響評価報告書の草案が様々な団体に提出され、意見が求められた。なお、Eskomは2002年10月、各界からの意見を踏まえた環境影響報告書の最終版を取りまとめて、DEATに提出している。

裁判長は判決で、Eskomの計画に対する今後の政治的な議論について、DEAT事務次官による決定は大臣に対する助言に過ぎず、決定に際してはその理由も明らかにされるとした上で、PBMR原型炉建設の最終的な決定までにはまだ意見を述べる機会は残されているとした。

[IAEA] 2002年の世界の原子力発電量は2兆5,741億kWh

国際原子力機関(IAEA)は5月30日、各国からの報告をもとに、2002年末現在の世界の原子力発電の現状をとりまとめた。それによると、2002年の原子力発電電力量は前年実績の2兆5,440億kWhから1.2%増の2兆5,741億kWhとなった(表参照)。

2002年には、6基の原子力発電所が新たに送電網に接続された一方、4基が閉鎖された。また、2002年に新たに着工されたのは7基で、2002年末現在で建設中の原子力発電所は32基。

原子力発電シェアが50%を超えたリトアニア(80.1%)、フランス(78.0%)、スロバキア(65.4%)、ベルギー(57.3%)を含めて、19カ国・地域で原子力シェアが20%を超えた。

2002年末現在で運転中の原子力発電所は、31カ国・地域の合計441基・3億5,866万1,000kW。地域別では、西欧146基、北米118基、アジア101基、東欧・ロシア68基、中南米6基、アフリカ2基で、アジア地域が初めて100基を超えた。

2002年に送電網に接続されたのは、中国の秦山U期1号機(PWR、64万2,000kW:グロス値、以下同じ)、同V期1号機(CANDU、70万kW)、嶺澳1、2号機(各 PWR、99万kW)、韓国の霊光6号機(PWR、100万kW)、チェコのテメリン2号機(PWR、98万1,000kW)で、合計6基のうち5基がアジアであった。

一方、閉鎖されたのは、英国のブラッドウェル1、2号機(各 GCR、12万9,000kW)とブルガリアのコズロドイ1、2号機(各 VVER-440、44万kW)の4基で、いずれも旧世代炉。ブラッドウェル1、2号機は、英原子燃料会社(BNFL)が2000年5月に決定したマグノックス炉(GCR)閉鎖計画に基づき閉鎖された。また、コズロドイ1、2号機は、安全面での問題を理由に欧州連合(EU)から閉鎖を求められており、ブルガリアのEU加盟と引き換えに閉鎖された。

建設中の原子力発電所は32基で、殆どがアジア地域。内訳は、インド7基、中国とウクライナが各4基、日本とロシアが各3基、韓国、台湾、イラン、スロバキアが各2基、北朝鮮、アルゼンチン、ルーマニアが各1基。2002年中の新規着工はインド6基、韓国1基の合計7基。

【終わり】


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