[諸外国における原子力発電開発の動向]
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米国:NRC、相次いで出力増強を承認

 米原子力規制委員会(NRC)は5月、相次いで下記の原子力発電所3基で合計4万3,000kW(電気出力換算、以下同)の出力増強を承認した。

5月5日ドナルド・C・クック2号機の1.5%(1万8,000kW)
5月12日ピルグリム発電所の1.5%(1万kW)
5月23日インディアンポイント2号機の1.4%(1万5,000kW)

 NRCは、原子炉蒸気発生設備(NSSS)や計装制御系統、電気系統、事故評価、放射線影響、運転・技術仕様の変更などに焦点をあてて検討を行った。原子炉の出力を安全に増強(power uprate)することができると判断した。

 NRCは2002年に入ってからこれまでに、この3基を加えた全部で22基の原子力発電所(74万7,000kW相当)の出力増強を承認した。また、パロベルデ2号機、エドウィン・I・ハッチ1、2号機、キウォーニ発電所など計4基の原子力発電所の出力増強を現在審査中で、これ以外にも、計35基(227万kW相当)の原子力発電所が2003年から2007年にかけて、NRCに出力増強を申請する予定である。

 米国は現在、103基(1億199万8,000kW)が稼働する世界最大の原子力発電国で、1974年以降、新規の原子力発電所の着工は実質的に1基も行なわれていない。しかし、NRCは1970年代から出力増強の申請を審査してきており、1977年のカルバートクリフス1号機を承認した以降、その合計は約400万kWに達している(2003年5月末現在)。この規模は100万kW級の原子力発電所の4基分に匹敵する。

 電力会社は、電力市場の自由化に伴なう先行き不透明の中、既存の原子力発電所から少しでも多くの電力を作り出そうとしている一方、NRCも出力増強申請を最重要許認可案件の1つと認識しており、審査日程もできるかぎり短くするとの方針を打ち出している。

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