[諸外国における原子力発電開発の動向]
主なできごと (2004年1月中旬〜2004年2月中旬)

ドミニオン社、サリー原子力発電所の使用済み燃料中間貯蔵施設の拡張を計画

ヤッカマウンテン・プロジェクトの難航を見越し、2019年までの貯蔵容量を確保

 ドミニオン社は2月6日、同社のサリー原子力発電所(PWR×2基、1号機:81万kW、2号機:81万5000kW)の使用済み燃料中間貯蔵施設の拡張計画を発表した。

サリー原子力発電所では、現在、合計965トンの使用済み燃料がサイト内貯蔵されているが、同原子力発電所の貯蔵容量が限界に近づいていることから、ドミニオン社は2004年6月から9ヶ月をかけて使用済み燃料中間貯蔵施設の拡張工事(590トン)に着手する予定で、この拡張工事が完成すれば2019年までの貯蔵容量が確保される。

米国では1982年の放射性廃棄物政策法と1987年の同改正法により、米エネルギー省(DOE)は1998年1月31日までに原子力発電所で貯蔵されている使用済み燃料の引取りが義務付けられており、@使用済み燃料の中間貯蔵施設の建設、A使用済み燃料の輸送ルートの確保、B最終処分場の建設を行うことが定められている。

このためDOEは、過去20年間に総額70億ドルを投じて最終処分場の立地作業(6州の9地点を候補地として検討)と1987年改正法で最終候補地とされたネバダ州ヤッカマウンテンのサイト特性調査を実施してきた。

2002年にはブッシュ大統領と連邦議会が建設計画を了承しているが、ネバダ州はこれを不服として連邦控訴裁判所に提訴するなど計画は難航しており、ヤッカマウンテンへの最終処分場の建設計画は当初予定より12年あまり遅れている。

このため米国では用済み燃料貯蔵プールの貯蔵容量が逼迫する原子力発電所が相次ぎ、原子力発電所を所有・運転する電力会社は、燃料交換ができなくなることで原子炉の運転を停止する事態を避けるため、サイト内での使用済み燃料の一時貯蔵を余儀なくされている。

乾式貯蔵は、使用済み燃料貯蔵プールに代わる中間貯蔵施設として、貯蔵プールで1年以上冷却した使用済み燃料を金属製キャスクに封入し、その周囲を鋼鉄製またはコンクリート製の生体遮蔽体で覆った貯蔵容器(最終処分場への輸送容器を兼ねる)を原子力発電所のサイト内に建設した乾式貯蔵施設(ボールト)で貯蔵するものである。

米国で最初にサイト内での乾式貯蔵が米原子力規制委員会(NRC)から認可されたのは、1986年のサリー原子力発電所で、以降、米国では使用済み燃料貯蔵プールの貯蔵容量の逼迫に伴い、乾式貯蔵施設が相次ぎ建設されており、2003年12月末現在、全米22州の25の原子力発電所とアイダホ国立環境・工学研究所(スリーマイルアイランド2号機のデブリを保管)とゼネラル・エレクトリック社(GE)のミッドウェスト再処理工場(閉鎖)で使用済み燃料が貯蔵されている。さらに、これらに加えて2008年までに45基の原子力発電所で使用済み燃料貯蔵プールが限界に達し、サイト内貯蔵が必要となるとみられている。

 DOEは2004年にNRCに建設認可を申請する予定だが、原子力発電所を所有・運転する電力会社は、放射性廃棄物政策法で定められたDOEのバックエンド対策のため220億ドルあまりの放射性廃棄物基金を国庫に積立てていることもあり、DOEの使用済み燃料引取り義務違反に対しては、2004年1月末時点で61件もの訴訟が政府を相手取って起こされている。(2月6日)


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