ロシア国際ウラン濃縮センター(IUEC)に関する講演会を開催

 当協会は4月20日、ロシアから「国際ウラン濃縮センター」の取締役会会長であるアレクセイ・レベデフ氏(=写真)を招き、同センターの現状と将来展望に関する講演会を開催しました。講演会には日本の原子力産業界、駐日大使館関係者ら、およそ100名の参加者がありました。

 同センターは、2006年に当時のプーチン大統領の提唱に端を発し、翌年、ロシアの東シベリアにあるアンガルスク市に設立されました。同センター設立の主要目的は、原子力発電を新規導入する国が増大する中、新規導入国が自国で濃縮技術を取得することによる機微技術の拡散を防止し、政治的理由による核燃料の供給停止に備えるという「燃料供給保証」を実現することです。

 IAEAの監視下で、120トンの低濃縮ウランを備蓄する燃料バンクが同センターに設置されることになりますが、レベデフ会長は、これは米国のNTI(核脅威削減評議会)の核燃料バンク構想と共存しうるものであると語りました。

 同センターは、ロシアや他の加盟国の出資からなる株式会社であり、ロシア側の株式は、ロシア政府の委託によりその管理運営を任されているテネックス社が保有、アンガルスク濃縮工場の敷地内に設立されており、そこで生産される濃縮ウランを市場価格に沿って販売し、その利益を株主に配当します。

 同センターおよびその生産ベースとなるアンガルスク濃縮工場は、すでにIAEA保障措置の対象施設となっていますが、レベデフ会長は、現在、燃料バンク設置に関するIAEAとの協定締結の準備が鋭意進められており、早ければ年内にもセンターから初出荷したいと語りました。

 他の加盟国としては、センター設立当初からのカザフスタンに加えて、現在、アルメニア、ウクライナが加盟を決定、必要な手続きが実施中です。同氏は、韓国や南アフリカ、スロバキア、ブルガリア、フィンランド等が加盟に関心をよせていると紹介し、日本に対しても、加盟を呼びかけました。

4月20日の講演会 会場風景

お問い合わせは、国際部(03-6812-7109)まで