[原子力産業新聞] 2001年9月13日 第2103号 <1面>

[原子力立地会議] 立地振興地域に福井、島根両県を初の指定

国から優遇措置、自治体振興計画の策定へ

今年4月に施行された「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」に基づいた第1回の原子力立地会議 (議長・小泉純一郎首相) が7日に開催された。福井県と島根県の関係市町村を初めて「原子力発電施設等立地地域」に指定した。これを受け両県は、総合的な地域振興をねらいとした指定地域の生活環境や産業基盤等の整備に向け地域振興計画案策定の準備を進めることになる。

原子力発電施設などの立地地域および周辺地域の産業、生活環境の整備を図ることを目的とした同法は、(1) 原子力発電施設等のある都道府県知事が立案した振興計画を原子力立地会議の審議に基づいて、道路や港湾、義務教育施設といった支援の特例措置の対象となるものの経費に対する国の補助割合を、通常の50%よりおおむね5%のかさ上げする (2) 振興事業のうち特例措置を受けるものについては、財源のために起こした地方債の元利償還に要する経費を、地方交付税額の算定に用いる基準財政需要額に算入する ---- などが主な特徴となっている。一般的に国からは財政上や金融上、税制上での優遇措置が図られることになる。

こうした措置を認める前提として、総理大臣を議長に、財務、文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通、環境の各大臣を議員として構成される原子力立地会議が立地地域を指定することが規定されている。

この日の会議では、あらかじめ福井、島根両県知事から申請されていた立地地域の指定を審議し、福井県の3市9町2村 (敦賀市、武生市、小浜市、池田町、南条町、今庄町、河野村、越前町、三方町、美浜町、上中町、名田庄村、高浜町、大飯町) を指定することを了承した。島根県に対しても松江市、鹿島町、島根町の1市2町が指定された。

今回の指定を受け、両県では各自治体が提出する案をもとに今後「原子力発電施設等立地地域の振興に関する計画」を作成。その後の原子力立地会議での承認を経て、首相が計面の決定を行うと、一般財源をも活用しての新たな地域振興支援の形が生み出される仕組みだ。


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