[原子力産業新聞] 2001年9月13日 第2103号 <2面>

[サイクル機構] 大洗でFBRサイクルシンポを開催

新たな方向性をめぐって議論

核燃料サイクル開発機構は6日と7日の両日、大洗工学センターで「大洗FBRサイクルシンポジウム-国際的研究開発の中核を目指して−」を開催した。

シンポジウムは、国内外の有識者とFBRサイクル技術開発の新しい方向性を議論し、今後のサイクル機構の活動に反映させることをねらったもの。今年3月にFBRサイクル実用化研究の拠点となる「FBRサイクル国際研究開発センター」が完成したことも開催のきっかけとなった。

シンポジウムには、国内外から2日間で延べ約700名が参加した。

シンポジウム初日は都甲泰正理事長のあいさつに続いて、藤家洋一原子力委員長が基調講演の中で、核燃料サイクルの確立に向けた取組みの必要性とサイクル機構への期待を述べた。藤家氏は核燃料サイクルの歴史的意義に触れたうえで、国内での原子力の現実政策を見据え、今後は「もんじゅ」開発の今日的意義を国民に伝えることや国際協力に門戸を開放することの重要性も指摘した。

同日午後には「世界の高速炉開発と研究機関の現状」に関する発表が行われ、我が国のほか、米国アルゴンヌ国立研究所、フランス原子力庁、ロシアエネルギー技術研究所、韓国科学技術院からの参加者が各国でのFBR開発の状況を詳しく紹介した。大洗工学センターからは柳沢務所長が講演を行った。同氏は講演の中でオールジャパン体制で実施されているFBRサイクル実用化戦略調査研究の意義を強調したうえで、ハード面とソフト面が整備された同センターで国際協力の充実を図っていきたいとした。

続いて、「国際的研究開発の中核に求められるもの」をテーマにパネル討論が行われた。その中で参加者から、「世界の中核的拠点を目指すならばエネルギー問題での競争に打ち勝てる世界が頼れる原子力技術を完成させるとの姿勢が重要だ」との指摘や、「必要な時に迅速に市場商品化できる機動性・柔軟性をもった開発方式への転換が求められる」などといった発言がなされた。

さらに、翌日にも21世紀におけるFBRサイクル研究開発をめぐってパネリストらが活発な意見交換を図った。


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